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第7話 セレブ=キケン⁉︎(1)
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「あーもう、ガーネットったら、わがままなんだから!」
朝から女子にかこまれて、あれだけ大変な目にあったっていうのに!
けっきょく、放課後までずーっとあたしにベタベタしっぱなしだったのよ⁉︎
体育の準備体操も、理科の実験も、ぜんぶいっしょがいいってきかないんだから!
……まったく、女子に毎回にらまれるこっちの身にもなってほしいわ。
とはいえ、あの期待にみちたまっすぐな目をむけられると……チョーシくるうのよね。
ついさっきだって、
『いっしょに帰りたいから、掃除当番がおわるまでまっててよね! お願い‼︎』
なーんて言われて、あっさりうなずいちゃったし。
「……ブラックはどう思う? あたしがあいつをあまやかしすぎているのか、それともあいつがあまえすぎなのか……?」
というわけで、ガーネットまちのあたしたちは、裏庭のベンチでひとやすみ。
桜のシャワーをあびながら、ボーっと空をながめていたの。
「おまえ、宝石言葉って知ってるか?」
ふと、ブラックに聞かれて、あたしは首をかしげた。
「宝石言葉? なによそれ?」
「宝石の性格や、力をあらわす言葉のことだ。ガーネットの宝石言葉は『愛情』。どこまでもいちずな愛の象徴――それがあいつという宝石男子だ」
ふーん、なるほどね。
宝石には、ひとつひとつ意味があるのか……花言葉みたいなかんじかな?
「って、それが原因じゃない⁉︎ あたしへの家族愛が強すぎるあまり、くっつき虫になってるのよ、きっと‼︎ そうにちがいないわ‼︎」
「……なんにせよまあ、それがあいつだ。大目に見てやってくれ」
見た目は王子系の美形なくせに、中身はあまえんぼうとか……。
見た目に中身をあわせなさいよね⁉︎ ずっと王子でいろ、王子で‼︎ ったくもう。
「で、あんたは? ブラックダイヤモンドの宝石言葉はなんなのよ?」
「俺か? 俺は『不屈』だ」
「え? それって、どーいう意味よ?」
「……自分で辞書引いて調べろ」
なによ、べつに教えてくれたっていいじゃない。
「はぁーあ」なんて、ふっかいため息までついちゃってさ!
「どうせあたしはムズカシイ言葉なんて知らない、脳筋ですよーだ!」
そのあきれた横顔に、がんがん言いかえせるくらい、頭よくなってやるんだから。
いまに見てなさいよね……たぶん!
と、そこへ太陽みたいに明るい声がして、あたしの意識はそっちへ引っぱられた。
「カナメ~、あとついでにブラック! 掃除おわったよ、いっしょに帰ろ!」
「コラ、声がでかい‼︎ あたしらが同じ家にすんでいるのが、クラスの女子にバレたらとんでもないことになるのよ⁉︎ そのへんちゃんとわかってる⁉︎」
あんたらはなんともないでしょうね、イケメンだから。
でもあたしはトーゼン女子からハブられるし、最悪、セレブの力によって社会的に抹殺……なんてこともないとは、言えないわね。
「だいじょーぶだって、そんなに心配なら裏道とおって帰ろうよ! そうすれば、だれにも見られずにすむんじゃない?」
「……まったく、チョーシいいんだから」
けっきょくあたしたちは、通学路からはずれた、せまい路地をとおって帰ることにしたの。
ただ家に帰るだけでも、性格でるわね――ガーネットはあたしの腕に、自分の腕をからめてはなれない……少女マンガにでてくる彼女キャラみたいだわ。
だけど、ブラックはちがう。
いまだって、ちょっとうしろを歩いてくれているし。
学校でも、なるべくあたしとかかわらないように気づかってくれる――影の騎士ってかんじね。
そんなブラックが、住宅街にさしかかったとき、わざわざ近づいて話しかけてきたの。
「……言いそびれていたが、この学園は思っていたより金もちの生徒が多いな?」
「そりゃそうよ、セレブがかよう学園だもの。いまさらどうしたっていうのよ?」
あたしがハテナをうかべながら聞くと、ブラックはまたもやあきれ顔。
「……悪党に、俺たちがさらわれたら大変だ。って、おまえ言ってたろ?」
「それは、そうだけど。セレブと悪党になんの関係があるのよ……?」
「俺も、おまえに言われてからいろいろ考えて――気づいたんだ。たしかに、宝石男子には敵が多い。カットしてジュエリーに加工すれば、何十億もの値がつくからな」
あたしはピタッと、足をとめた。
「い、いまの聞きまちがいよね? 何十億って、あんたたちが憶って、え?」
「マジだよカナメ~? 何百億と値段がついてもおかしくないかもね。全身宝石の生きた美少年なんて、ゲキレアじゃん? それこそ、セレブに大人気まちがいなしだよ!」
「……ああ、コソ泥どころか、世界中の大金もちや宝石コレクター、はたまた怪盗……俺たちを研究したい科学者だっているかもしれん。だれにいつねらわれても、おかしくない状況だな」
「ちょっ、ちょっとまちなさいよ‼︎ じゃあ、セレブの学園に入学するなんて命がけのキケンな行為なんじゃ――っ⁉︎」
って、やっぱキケンだったじゃないのよ‼︎
あたしが言いきるまえに、黒い車が猛スピードでうしろからせまってきて――っ急ブレーキであたしたちの背後にぴったりとまったの!
くっ、うしろがだめならまえ――っもだめね……クソ‼︎
前方からも、黒い車がせまってきて、あっという間のできごとだった。
まえとうしろ、二台の車に道をふさがれて、逃げ道を完全にたたれたわ‼︎
あたしはとっさに、ガーネットを背中にかばった。
ブラックはかたいし、戦えるから心配ない――むしろたよりになる戦力よ。
しずかな住宅街に、車のドアのしまる音が『バン‼︎』とひびきわたる。
ケーカイするあたしたちのまえに、あらわれたのは――、
「ち、チトセ……⁉︎」
そんな、あたしだって信じたくない。
でも、黒服の男たちを引きつれて車からおりてきたのは、まちがいなくチトセだったの……っ。
朝から女子にかこまれて、あれだけ大変な目にあったっていうのに!
けっきょく、放課後までずーっとあたしにベタベタしっぱなしだったのよ⁉︎
体育の準備体操も、理科の実験も、ぜんぶいっしょがいいってきかないんだから!
……まったく、女子に毎回にらまれるこっちの身にもなってほしいわ。
とはいえ、あの期待にみちたまっすぐな目をむけられると……チョーシくるうのよね。
ついさっきだって、
『いっしょに帰りたいから、掃除当番がおわるまでまっててよね! お願い‼︎』
なーんて言われて、あっさりうなずいちゃったし。
「……ブラックはどう思う? あたしがあいつをあまやかしすぎているのか、それともあいつがあまえすぎなのか……?」
というわけで、ガーネットまちのあたしたちは、裏庭のベンチでひとやすみ。
桜のシャワーをあびながら、ボーっと空をながめていたの。
「おまえ、宝石言葉って知ってるか?」
ふと、ブラックに聞かれて、あたしは首をかしげた。
「宝石言葉? なによそれ?」
「宝石の性格や、力をあらわす言葉のことだ。ガーネットの宝石言葉は『愛情』。どこまでもいちずな愛の象徴――それがあいつという宝石男子だ」
ふーん、なるほどね。
宝石には、ひとつひとつ意味があるのか……花言葉みたいなかんじかな?
「って、それが原因じゃない⁉︎ あたしへの家族愛が強すぎるあまり、くっつき虫になってるのよ、きっと‼︎ そうにちがいないわ‼︎」
「……なんにせよまあ、それがあいつだ。大目に見てやってくれ」
見た目は王子系の美形なくせに、中身はあまえんぼうとか……。
見た目に中身をあわせなさいよね⁉︎ ずっと王子でいろ、王子で‼︎ ったくもう。
「で、あんたは? ブラックダイヤモンドの宝石言葉はなんなのよ?」
「俺か? 俺は『不屈』だ」
「え? それって、どーいう意味よ?」
「……自分で辞書引いて調べろ」
なによ、べつに教えてくれたっていいじゃない。
「はぁーあ」なんて、ふっかいため息までついちゃってさ!
「どうせあたしはムズカシイ言葉なんて知らない、脳筋ですよーだ!」
そのあきれた横顔に、がんがん言いかえせるくらい、頭よくなってやるんだから。
いまに見てなさいよね……たぶん!
と、そこへ太陽みたいに明るい声がして、あたしの意識はそっちへ引っぱられた。
「カナメ~、あとついでにブラック! 掃除おわったよ、いっしょに帰ろ!」
「コラ、声がでかい‼︎ あたしらが同じ家にすんでいるのが、クラスの女子にバレたらとんでもないことになるのよ⁉︎ そのへんちゃんとわかってる⁉︎」
あんたらはなんともないでしょうね、イケメンだから。
でもあたしはトーゼン女子からハブられるし、最悪、セレブの力によって社会的に抹殺……なんてこともないとは、言えないわね。
「だいじょーぶだって、そんなに心配なら裏道とおって帰ろうよ! そうすれば、だれにも見られずにすむんじゃない?」
「……まったく、チョーシいいんだから」
けっきょくあたしたちは、通学路からはずれた、せまい路地をとおって帰ることにしたの。
ただ家に帰るだけでも、性格でるわね――ガーネットはあたしの腕に、自分の腕をからめてはなれない……少女マンガにでてくる彼女キャラみたいだわ。
だけど、ブラックはちがう。
いまだって、ちょっとうしろを歩いてくれているし。
学校でも、なるべくあたしとかかわらないように気づかってくれる――影の騎士ってかんじね。
そんなブラックが、住宅街にさしかかったとき、わざわざ近づいて話しかけてきたの。
「……言いそびれていたが、この学園は思っていたより金もちの生徒が多いな?」
「そりゃそうよ、セレブがかよう学園だもの。いまさらどうしたっていうのよ?」
あたしがハテナをうかべながら聞くと、ブラックはまたもやあきれ顔。
「……悪党に、俺たちがさらわれたら大変だ。って、おまえ言ってたろ?」
「それは、そうだけど。セレブと悪党になんの関係があるのよ……?」
「俺も、おまえに言われてからいろいろ考えて――気づいたんだ。たしかに、宝石男子には敵が多い。カットしてジュエリーに加工すれば、何十億もの値がつくからな」
あたしはピタッと、足をとめた。
「い、いまの聞きまちがいよね? 何十億って、あんたたちが憶って、え?」
「マジだよカナメ~? 何百億と値段がついてもおかしくないかもね。全身宝石の生きた美少年なんて、ゲキレアじゃん? それこそ、セレブに大人気まちがいなしだよ!」
「……ああ、コソ泥どころか、世界中の大金もちや宝石コレクター、はたまた怪盗……俺たちを研究したい科学者だっているかもしれん。だれにいつねらわれても、おかしくない状況だな」
「ちょっ、ちょっとまちなさいよ‼︎ じゃあ、セレブの学園に入学するなんて命がけのキケンな行為なんじゃ――っ⁉︎」
って、やっぱキケンだったじゃないのよ‼︎
あたしが言いきるまえに、黒い車が猛スピードでうしろからせまってきて――っ急ブレーキであたしたちの背後にぴったりとまったの!
くっ、うしろがだめならまえ――っもだめね……クソ‼︎
前方からも、黒い車がせまってきて、あっという間のできごとだった。
まえとうしろ、二台の車に道をふさがれて、逃げ道を完全にたたれたわ‼︎
あたしはとっさに、ガーネットを背中にかばった。
ブラックはかたいし、戦えるから心配ない――むしろたよりになる戦力よ。
しずかな住宅街に、車のドアのしまる音が『バン‼︎』とひびきわたる。
ケーカイするあたしたちのまえに、あらわれたのは――、
「ち、チトセ……⁉︎」
そんな、あたしだって信じたくない。
でも、黒服の男たちを引きつれて車からおりてきたのは、まちがいなくチトセだったの……っ。
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