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60 出発
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お父様とお母様に許可をもらってから、さまざまな根回しが完了するまでに一ヶ月ほどかかった。
それでも、早い方だという。
私自身は特別な準備があるわけでもなかったので、神殿での活動をしながら待とうと思っていた。
ところが、佳乃の一言に戦慄することになる。
「結界の中に入った複数の人を、触れずに治癒できるのですか?」
――そうだ。私はこれまで、結界を通じて治癒を行ったことがなかったのだ。
佳乃が指摘してくれなければ、本番でいきなり試すことになっていた。
そこで水無瀬家の討伐隊の協力を得て、練習を始めることになった。
私の本来のやり方は、まず相手の手を握り、悪い箇所を確かめてから治癒を施すというもの。
だが今回は、結界に入った人すべてに触れずに治癒を行い、同時に浄化までかけなければならない。
理屈はわかっていても、実際にやってみると難しい。
個別に行うのとは違い、治せるのは疲労や軽い怪我程度で、骨折や古傷までは直接治癒をかけないと効果がなかった。
しかしそこで新たな発見があった。浄化だけでも、疲労や軽い怪我は改善できたのだ。
さらに、副次的な効果として「鬱々と悩んでいたのに、結界から出たら気持ちが軽くなった」と話す隊員もいた。
今回の目的においては、結界には浄化の力だけを注ぎ込むことで十分だ。
これは、禍憑を閉じ込めたときにも無意識に行っていたことだった。
そうして一ヶ月が経ち、いよいよ出発の日を迎える。
十日以上の滞在に備えるにしては、荷物は意外と少ない。
服は動きやすいワンピースと、神殿から送られた神官見習い用のローブ。これがあれば見た目にも信憑性が増すだろう。
馬車もまた、水無瀬家嫡男が乗っているとは思えないほど簡素な造りだ。
だが、乗り心地は最高で頑丈にできている。盗賊対策として用意された特別な馬車なのだという。
「無理して不正を暴こうとしなくていいわ。とにかく危ないことはしないでね」
「克己、子どもたちを頼んだぞ」
「ああ、任せてくれ。行ってくるよ」
「お父様、お母様、行ってまいります!」
両親に見送られ、私は叔父様、光矢、佳乃とともに馬車へ乗り込む。
胸を弾ませながら、意気揚々と屋敷を後にした。
それでも、早い方だという。
私自身は特別な準備があるわけでもなかったので、神殿での活動をしながら待とうと思っていた。
ところが、佳乃の一言に戦慄することになる。
「結界の中に入った複数の人を、触れずに治癒できるのですか?」
――そうだ。私はこれまで、結界を通じて治癒を行ったことがなかったのだ。
佳乃が指摘してくれなければ、本番でいきなり試すことになっていた。
そこで水無瀬家の討伐隊の協力を得て、練習を始めることになった。
私の本来のやり方は、まず相手の手を握り、悪い箇所を確かめてから治癒を施すというもの。
だが今回は、結界に入った人すべてに触れずに治癒を行い、同時に浄化までかけなければならない。
理屈はわかっていても、実際にやってみると難しい。
個別に行うのとは違い、治せるのは疲労や軽い怪我程度で、骨折や古傷までは直接治癒をかけないと効果がなかった。
しかしそこで新たな発見があった。浄化だけでも、疲労や軽い怪我は改善できたのだ。
さらに、副次的な効果として「鬱々と悩んでいたのに、結界から出たら気持ちが軽くなった」と話す隊員もいた。
今回の目的においては、結界には浄化の力だけを注ぎ込むことで十分だ。
これは、禍憑を閉じ込めたときにも無意識に行っていたことだった。
そうして一ヶ月が経ち、いよいよ出発の日を迎える。
十日以上の滞在に備えるにしては、荷物は意外と少ない。
服は動きやすいワンピースと、神殿から送られた神官見習い用のローブ。これがあれば見た目にも信憑性が増すだろう。
馬車もまた、水無瀬家嫡男が乗っているとは思えないほど簡素な造りだ。
だが、乗り心地は最高で頑丈にできている。盗賊対策として用意された特別な馬車なのだという。
「無理して不正を暴こうとしなくていいわ。とにかく危ないことはしないでね」
「克己、子どもたちを頼んだぞ」
「ああ、任せてくれ。行ってくるよ」
「お父様、お母様、行ってまいります!」
両親に見送られ、私は叔父様、光矢、佳乃とともに馬車へ乗り込む。
胸を弾ませながら、意気揚々と屋敷を後にした。
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