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85 依頼4
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村長さんと話していると、先ほどの息子さんが顔をのぞかせ、
「親父、客人だ」
と言って、振り向き声をかけた。
「どうぞ、入ってください」
「どうも、お邪魔します」
「お邪魔します」
そう言いながら入ってきたのは叔父様と光矢だった。
「それじゃあ、俺はこれで」
息子さんはぺこりと頭を下げて部屋を出ていった。
「さあ、座ってください」
村長は叔父様と光矢に席をすすめる。
二人は奉仕活動者ではないので、村長も神守に対する丁寧な態度で対応していた。
私と佳乃は、これまでの経緯と、先ほど村長さんから聞いた話をまとめて説明した。
叔父様はしばらく考え込んだあと、尋ねた。
「なるほど……確かに、最近は穢れが発生していない土地からも禍憑の出現が報告されています。村長さん、実際に見せていただけますか?」
「ええ、もちろんです」
一同は、やぎ小屋へ向かうと、やぎ坊は干し草を食べながら、先ほどの息子さんにブラッシングされているところだった。
「首に注射の跡があるんです」
叔父様はやぎ坊の首元をじっくり確認し、全身を撫でて確かめると、神具を取り出して何やら診察を始めた。
「穢れはまったく残っていませんね。内臓も損傷なし、怪我もありません。いたって健康な山羊です」
「ほんとですか!? 気になっていたんです。ありがとうございます!」
息子さんがそう言い安堵の笑顔を見せた。村長さんも嬉しそうだ。
「叔父様、まるで獣医さんみたいですね」
「叔父さんはね、獣医免許を持っているし、なんなら医師免許も持ってるんだよ」
と光矢が誇らしげに言う。
「えっ! 本当ですか? すごい……」
叔父様は軽く笑って肩をすくめた。
「研究のためさ。動物も人も、身体の仕組みを知っておきたくてね。どうせなら免許も取っておこうかと」
「叔父様は、研究のためなら何でもやっちゃう人なんですよ」
「まあまあ、私の話はさておき――」
叔父様は真剣な表情に戻り、やぎ坊を見つめた。
「この山羊ですが、首からの注射によって“穢れを液体に凝縮したもの”を注入された可能性があります。穢れは血管を通って全身を巡り、肉体を侵食していったのでしょう。
実は、穢れを液体化する技術が存在することは以前から分かっており、私も実験で確かめたことがあります。害獣として捕獲された鼠に穢れを注入したところ、穢鼠となり、浄化すれば元の鼠に戻ったのです。まさに、この山羊と同じ現象です」
「……やっぱり、やぎ坊は無理やり禍憑にされたのか。あいつら、許せねぇ!」
村長は拳を握りしめ、怒りに顔を歪めた。
息子さんは言葉を失い、ただやぎ坊を抱き寄せたまま、じっと黙っていた。
「村長さん、先ほどおっしゃっていた三人の男たちの名前は分かりますか?」
「一応わかります。村に移住を希望する者には、名前や経歴を書いてもらってますので。ただ、本名かどうかは怪しいです……」
「構いません。それでも十分です」
「わかりました。すぐ用意はできますので、帰るときにお渡しします」
村長のその言葉に、叔父様は静かにうなずいた。
「親父、客人だ」
と言って、振り向き声をかけた。
「どうぞ、入ってください」
「どうも、お邪魔します」
「お邪魔します」
そう言いながら入ってきたのは叔父様と光矢だった。
「それじゃあ、俺はこれで」
息子さんはぺこりと頭を下げて部屋を出ていった。
「さあ、座ってください」
村長は叔父様と光矢に席をすすめる。
二人は奉仕活動者ではないので、村長も神守に対する丁寧な態度で対応していた。
私と佳乃は、これまでの経緯と、先ほど村長さんから聞いた話をまとめて説明した。
叔父様はしばらく考え込んだあと、尋ねた。
「なるほど……確かに、最近は穢れが発生していない土地からも禍憑の出現が報告されています。村長さん、実際に見せていただけますか?」
「ええ、もちろんです」
一同は、やぎ小屋へ向かうと、やぎ坊は干し草を食べながら、先ほどの息子さんにブラッシングされているところだった。
「首に注射の跡があるんです」
叔父様はやぎ坊の首元をじっくり確認し、全身を撫でて確かめると、神具を取り出して何やら診察を始めた。
「穢れはまったく残っていませんね。内臓も損傷なし、怪我もありません。いたって健康な山羊です」
「ほんとですか!? 気になっていたんです。ありがとうございます!」
息子さんがそう言い安堵の笑顔を見せた。村長さんも嬉しそうだ。
「叔父様、まるで獣医さんみたいですね」
「叔父さんはね、獣医免許を持っているし、なんなら医師免許も持ってるんだよ」
と光矢が誇らしげに言う。
「えっ! 本当ですか? すごい……」
叔父様は軽く笑って肩をすくめた。
「研究のためさ。動物も人も、身体の仕組みを知っておきたくてね。どうせなら免許も取っておこうかと」
「叔父様は、研究のためなら何でもやっちゃう人なんですよ」
「まあまあ、私の話はさておき――」
叔父様は真剣な表情に戻り、やぎ坊を見つめた。
「この山羊ですが、首からの注射によって“穢れを液体に凝縮したもの”を注入された可能性があります。穢れは血管を通って全身を巡り、肉体を侵食していったのでしょう。
実は、穢れを液体化する技術が存在することは以前から分かっており、私も実験で確かめたことがあります。害獣として捕獲された鼠に穢れを注入したところ、穢鼠となり、浄化すれば元の鼠に戻ったのです。まさに、この山羊と同じ現象です」
「……やっぱり、やぎ坊は無理やり禍憑にされたのか。あいつら、許せねぇ!」
村長は拳を握りしめ、怒りに顔を歪めた。
息子さんは言葉を失い、ただやぎ坊を抱き寄せたまま、じっと黙っていた。
「村長さん、先ほどおっしゃっていた三人の男たちの名前は分かりますか?」
「一応わかります。村に移住を希望する者には、名前や経歴を書いてもらってますので。ただ、本名かどうかは怪しいです……」
「構いません。それでも十分です」
「わかりました。すぐ用意はできますので、帰るときにお渡しします」
村長のその言葉に、叔父様は静かにうなずいた。
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