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〜異世界に行くまで〜
神様vs私 2
しおりを挟む間違いなくかなりやばい。
異世界だって…?いやいやそれは困る。家族もいるし、大学にも通っているのに帰れないのは非常に困る。
「異世界になんていけません!元の場所に帰して下さい!」
かなり強く言ったつもりなのに、神様は
「いや~だって…ね~?☆」
これである。何がだってだ、だってもくそもないだろう。
「私には大学がありますし、何より家族がいます!異世界になんていけません、他の方にして下さい!」
異世界に行きたいという方もいらっしゃるだろうし、本気で行きたくない私よりも行きたい人に行ってもらった方がきっといい。
「いやいや、君が最適なんだよ☆」
そんなこと知ったこっちゃない。
「何が最適なんだよ☆ですかっ!何も最適じゃありませんっ!」
重度の人見知りもこの怒りには負けるらしい。こんなに人に強く言うことなんて産まれて初めてだ。
「君の魂はね、異世界に行くのに一番適してるんだよ、だから行ってきてねっ☆」
…だめだ、話が通じない。でも、この出入り口もない場所に連れてきたのは神様なのだから、きっと帰してくれるのも神様しかいない。
「本当に困るんです。家族もいますし、今日は弟妹達の誕生日なんです。早く家に帰して下さい!」
私の帰りたい理由を訴えてみる。もうこれしか私に出来る手段はない。
「え?家族?」
どうやらやっと、私の言葉が神様に聞いてもらえたらしい。前から訴えていたとは思うのだけれども、聞いてもらえたのならいい。
「そうです。私には大切な家族や、友達もいます。大学だってもうすぐ卒業なんです。申し訳ありませんが、異世界には行けません」
そうだ、本当に行けない。異世界になんて行ったら、大切な人達とはきっと会えなくなる。そんなの私には無理だ、重度の人見知りの私に、知らない人ばかりの異世界になんて行けるはずがない。
「じゃあ、君のその家族や友達の記憶から君を消せば問題ないよね?☆」
……うん? ちょっと待ってほしい、今神様はなんて言った?理解が追いつかない。
「…はい? 消す…?いやそう言うことではなくて」
まだ話の途中なのに
「だってさ、君が気にする1番は家族なんでしょう?だったら、家族が君を忘れてしまえば君は、なんの憂いもなく異世界に行けるよねっ?☆」
神様は私の話を遮って言った。いやいや、断じてそういうことではない。忘れられるなんて嫌だ。
この神様だいぶ人でなしだと思う。これで敬えって絶対に無理だ。
「ふざけないで下さい!そういうことではないんです!何の憂いもなく?ありまくりですよ!人の家族の記憶、勝手に消そうとしないで下さい!」
私は当たり前の主張をしているはずなのに、神様は不思議そうに私を見ている。不思議なのは神様の思考回路だと思う。意味がわからない。
「そうは言っても、もう決まったことだからさぁ~ 諦めてよっ☆ それにね、もう時間がないんだよ 向こうに行ってから詳しいことは説明するからさ、楽しんできてねっ☆」
私の体が、金色の光に包まれる。
「ま、待ってください!!」
必死に待ってもらえる様にお願いしたが、遅かったらしい。
「ご……ね……し……せに……」
神様が何か言っていたような気がするけれど、私は金色の光を最後に意識を失った。
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