9 / 37
お掃除はじめましょ!
しおりを挟む
廊下や壁にはスライムの通った跡があちこちに付いている。壁は石造りで出来ており、廊下は…なんだこれ?
大理石みたいな見た目だけど大理石とは違う。これもまた異世界特有の材料なのだろう。腕輪を付け自洗機を押して廊下を進む。元々が汚いせいか、水だけでも差がハッキリと分かるくらいキレイになる。だが、5メートル程進んだところで気付く。
(これ先に壁を掃除したほうがいいな)
掃除の基本は『上から』である。天井は下から見た感じだと、さほど汚れていないので壁からでいいだろう。壁は高圧洗浄機で水を撃ち汚れを落とす。当然水は下に流れるので、そちらは自洗機で回収しながら廊下も洗う。今回はそんな感じで進めよう。一度鍛冶場に戻り高圧洗浄機を取りに行く。皆さんご存知だとは思うが、高圧洗浄機とはCMでよくやってる『やたら汚い車』や『わざと泥塗った?壁』等をキレイにするケ◯ヒャー等でお馴染みのアレだ。
しかしガンバスの作ったモノは一味違う。本来であれば水道からホースを繋ぎ、本体から持ち手まで高圧ホースで繋げなければならないが、流石はガンバス印の特別製。持ち手のガンの部分だけで完結している。
説明を聞いた限りだと、魔力を通しながら持ち手のトリガーを引くと水が出る。これはスプラッシュウォーターという魔法を中で発生させているらしい。なので給水は要らない、との事だ。まぁこちらとしては使えれば問題ない。
「創士、それは何?武器みたいだけど」
「これは水を撃ち出す道具で、水の勢いで汚れを落とします」
壁を撃ちながら説明をする。
「へぇ~、名前は?」
「高圧洗浄機…ですかね」
「コ、コウア…?長いわね。ちょっと貸して」
そう言ってデッドアイはガンを握り壁に向けると試し打ちを始めた。しかし明らかに創士の時と威力が違う。
「ちょ、ストップストップ!」
「え!?何?」
水を止める。よく見ると壁には穴が空いている。なぜ同じ道具でこんなにも違うのか。
「なにこれ!やっぱり武器じゃない!」
「えー…。僕の時は普通だったのに?」
もう一度、創士が試す。丁度良い水圧で汚れを落としていく。
「もしかして、魔力を抑えたりとかって…出来ます?」
「あ~、そういう事ね!わかったわ」
創士の手からガンを奪い取ると、もう一度壁に試し撃ちをする。今度は創士と同じくらいの水圧だ。
「スゴイスゴイ!見て!水を撃った所と撃ってない所でこんなに差が!」
通販番組の女性よりもハイテンションで喜ぶデッドアイ王女。ハッと気付いたような顔でこちらに振り返った。
「これって壁全部やるのよね!?」
「そうですね、大変ですが」
「ちょっと待ってて!良いものがあるの!」
そう言い残し、F1のような速さで駆けていった。壁を掃除しながら待っているとデッドアイが戻ってきた。
「ジャジャーン!これを見なさい!」
「なんですか?コレは。石?」
「これは飛翔石!こーやって足に装備させて…ほら!」
ふわっと飛び上がるアイ王女。
「コレで高い所も出来るわ!」
廊下の天井は高く、壁の上の方をどのようにやろうかと迷っていたところだった。
「そんな便利なものがあるんですね。ソレ、貸していただけるんですか?」
「ダメよ。魔力制御が難しいし、魔力切れになったらアナタ落ちちゃうじゃない」
「え、そしたら僕どうやって掃除しましょう?」
「だーかーらー、この…コウ…コウア。めんどくさいわね!ウォーターガンね!威力似てるから!このウォーターガンは私がやるわ!だからあなたは下をやりなさい!」
奇しくも元の世界でも通じる名前となった高圧洗浄機。デッドアイはこのウォーターガンをいたくお気に召した様だ。確かに汚れが落ちていく様はストレス発散にもなる。そういうゲームも作られるくらいだ。ある一定の需要があるのだろう。
こうして王女が壁を洗い、僕が床を洗う日々が始まるのであった。
―――魔王城 玉座―――
魔王エルキオは、サスタスに尋ねた。
「アイは何をしている。あの人間を連れて行ったっきり姿を見せん」
「はい、デッドアイ王女は沖田殿と魔王城の清掃計画を立てております」
「…どういう事だ?」
「私にもよく分かりませんが、ガンバス殿に異世界の掃除道具を再現してもらっている様ですよ」
魔王は眉をひそめ、大きく息を吐いた。
「あの人間…もしや…」
魔王から怒りにも似たオーラが溢れる。
「アイを独り占めする気か?」
セスタスは日夜、この親バカ発言を笑わない様に堪えるので必死だ。
大理石みたいな見た目だけど大理石とは違う。これもまた異世界特有の材料なのだろう。腕輪を付け自洗機を押して廊下を進む。元々が汚いせいか、水だけでも差がハッキリと分かるくらいキレイになる。だが、5メートル程進んだところで気付く。
(これ先に壁を掃除したほうがいいな)
掃除の基本は『上から』である。天井は下から見た感じだと、さほど汚れていないので壁からでいいだろう。壁は高圧洗浄機で水を撃ち汚れを落とす。当然水は下に流れるので、そちらは自洗機で回収しながら廊下も洗う。今回はそんな感じで進めよう。一度鍛冶場に戻り高圧洗浄機を取りに行く。皆さんご存知だとは思うが、高圧洗浄機とはCMでよくやってる『やたら汚い車』や『わざと泥塗った?壁』等をキレイにするケ◯ヒャー等でお馴染みのアレだ。
しかしガンバスの作ったモノは一味違う。本来であれば水道からホースを繋ぎ、本体から持ち手まで高圧ホースで繋げなければならないが、流石はガンバス印の特別製。持ち手のガンの部分だけで完結している。
説明を聞いた限りだと、魔力を通しながら持ち手のトリガーを引くと水が出る。これはスプラッシュウォーターという魔法を中で発生させているらしい。なので給水は要らない、との事だ。まぁこちらとしては使えれば問題ない。
「創士、それは何?武器みたいだけど」
「これは水を撃ち出す道具で、水の勢いで汚れを落とします」
壁を撃ちながら説明をする。
「へぇ~、名前は?」
「高圧洗浄機…ですかね」
「コ、コウア…?長いわね。ちょっと貸して」
そう言ってデッドアイはガンを握り壁に向けると試し打ちを始めた。しかし明らかに創士の時と威力が違う。
「ちょ、ストップストップ!」
「え!?何?」
水を止める。よく見ると壁には穴が空いている。なぜ同じ道具でこんなにも違うのか。
「なにこれ!やっぱり武器じゃない!」
「えー…。僕の時は普通だったのに?」
もう一度、創士が試す。丁度良い水圧で汚れを落としていく。
「もしかして、魔力を抑えたりとかって…出来ます?」
「あ~、そういう事ね!わかったわ」
創士の手からガンを奪い取ると、もう一度壁に試し撃ちをする。今度は創士と同じくらいの水圧だ。
「スゴイスゴイ!見て!水を撃った所と撃ってない所でこんなに差が!」
通販番組の女性よりもハイテンションで喜ぶデッドアイ王女。ハッと気付いたような顔でこちらに振り返った。
「これって壁全部やるのよね!?」
「そうですね、大変ですが」
「ちょっと待ってて!良いものがあるの!」
そう言い残し、F1のような速さで駆けていった。壁を掃除しながら待っているとデッドアイが戻ってきた。
「ジャジャーン!これを見なさい!」
「なんですか?コレは。石?」
「これは飛翔石!こーやって足に装備させて…ほら!」
ふわっと飛び上がるアイ王女。
「コレで高い所も出来るわ!」
廊下の天井は高く、壁の上の方をどのようにやろうかと迷っていたところだった。
「そんな便利なものがあるんですね。ソレ、貸していただけるんですか?」
「ダメよ。魔力制御が難しいし、魔力切れになったらアナタ落ちちゃうじゃない」
「え、そしたら僕どうやって掃除しましょう?」
「だーかーらー、この…コウ…コウア。めんどくさいわね!ウォーターガンね!威力似てるから!このウォーターガンは私がやるわ!だからあなたは下をやりなさい!」
奇しくも元の世界でも通じる名前となった高圧洗浄機。デッドアイはこのウォーターガンをいたくお気に召した様だ。確かに汚れが落ちていく様はストレス発散にもなる。そういうゲームも作られるくらいだ。ある一定の需要があるのだろう。
こうして王女が壁を洗い、僕が床を洗う日々が始まるのであった。
―――魔王城 玉座―――
魔王エルキオは、サスタスに尋ねた。
「アイは何をしている。あの人間を連れて行ったっきり姿を見せん」
「はい、デッドアイ王女は沖田殿と魔王城の清掃計画を立てております」
「…どういう事だ?」
「私にもよく分かりませんが、ガンバス殿に異世界の掃除道具を再現してもらっている様ですよ」
魔王は眉をひそめ、大きく息を吐いた。
「あの人間…もしや…」
魔王から怒りにも似たオーラが溢れる。
「アイを独り占めする気か?」
セスタスは日夜、この親バカ発言を笑わない様に堪えるので必死だ。
0
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる