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第三章 大陸冒険編
ショーパブ
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「とりあえず、当分はここに腰を据えないか? 魔人達の情報があるとしたら、ここ王都のはずだ。狩猟者協同組合もあるし、依頼もこなせる」
「そうだね。ここを拠点にするのが一番良さそうだ」
「あぁ、アタシは皆に任せるよ。それより、お祖父ちゃんから王二人への手紙を預かっているんだろ? アタシは二人共面識があるから、面会は問題なく出来るぞ」
「さすがは始祖四王の孫だな……」
オレの言葉に、三人が一斉にこちらを向いた。
「いやいや、ユーゴもそうじゃないか」
「あ、そうか……。里長って呼びすぎて、すっかり忘れてた」
「明日の朝、まずはどちらかの王の城に手紙を渡しに行こうか」
「だったら、オーベルジュ王に会わせてくれないかな? 可能性は低いだろうけど、母さんのこと、何か聞きたいんだ……」
「分かった。まずは、オーベルジュ王に面会を求めよう」
明日の午前の予定は決まった。
レトルコメルスも良かったが、王都の料理も美味い。この獣の腸に肉を詰めた、『ソーセージ』という料理がすっかり気に入った。あまり加工肉というものを食べたことがなかったからな。
「このソーセージは、ビールとの相性が抜群だな」
「うん。まだまだ、食べたことのない料理が沢山あるんだろうな」
ここでも、『冒険野郎』はオレ達狩猟者の味方だ。間違いなく、行きつけの店になるだろう。
「さて、エミリー。ここのカジノは初めてだろ? 行くぞ!」
「うん、初めてだね! レトルコメルスの最後のカジノは、ユーゴのせいで不完全燃焼だったんだよ!」
「おいおい、勝たせてもらったくせに、オレのせいはないだろ!」
「あれは、ギャンブルじゃない!」
「まあ、オレはもうカジノはいいな……。いつか、捕まりそうだ」
女性二人は、いつものようにカジノへと消えていった。
「いやぁ、美味かった。この店、他にも店舗があるのかな?」
「ありそうだな。これだけ手広く展開しているんだ。もしかしたら、この店で魔人達の情報が手に入るかもしれない」
「店員さんに聞いてみるか。これだけの人気店だ、情報が集まりやすいはずだ」
会計の際、オレは店員の男性に魔人について尋ねてみた。
「この店、手広く展開してるんですね。レトルコメルスと、ここ以外にもあるんですか?」
「はい、あと一店舗ございますよ」
「やっぱりそうですか、そこも行ってみたいな。……あと、一つお聞きしたいんですが、赤髪で、化粧をした、女言葉の魔族の男を見かけたことはありませんか?」
「はい、存じておりますよ」
店員の男は、さも当たり前のようにそう答えた。オレとトーマスは、不意を突かれ、咄嗟に言葉が出なかった。
「……えぇ!? 本当ですか!?」
「はい。ここから少し南門の方に戻り、路地に入ったところにある、ショーパブ『リバティ』という店で働いてる方ですね。地図をお描きしましょうか?」
「お願いします!」
なんと、普通に働いているらしい。
店員に地図を書いてもらい、オレ達はその店へと向かった。
少し南門方面に戻り、路地を少し入ると、大通りとは全く雰囲気の違う、妖しげな光を放つ繁華街が広がっていた。
「ここだな。『リバティ』って書いてある」
「でも、オレ達は武器を持っていないぞ……?」
「さすがに、自分の店で暴れたりはしないだろう」
「……トーマスは、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫。前回は、あまりに突然のことで頭に血が上ってしまったけど、今は冷静だ」
「よし、入るか」
ドアを開ける前から漏れ聞こえていたが、開けた瞬間、大音量の音楽が全身を叩いた。ステージでは、化粧をした男達が華麗なダンスを披露し、客席は熱狂に包まれている。
「いらっしゃいませ~! あら、また可愛い子達が来たわね! こっちに座って!」
「ほんと、若い子なんて珍しいわね~。何飲む?」
「あ、ウイスキーの水割りをください」
「僕も、それで」
慣れた手つきで作られた水割りが、二つ。いや、彼女たちの分も合わせて四つだ。
「あたしたちも頂くわよ! 心配しないで、自分のお金で払うから! ギャッハッハ!」
「いやいや、オレ達が払いますよ」
「ほんとに!? いいの? 優しくて、いい子ねぇ! 食べちゃいたい!」
よく喋るな……。
トーマスが、分かりやすく引いている。
「あの、一つお聞きしたいのですが」
「ん~? なぁに? 何でも聞いてくれていいわよ? 下半身のことかしら? ギャッハッハ!」
すごいバイタリティだ……。
「こちらの店に、赤髪の魔族の方がいると聞いて来たんですが、いらっしゃいますか?」
「あぁ、ママのお客さんだったのね! なら、早く言ってちょうだいよ! 今日はまだお客さんが少ないから、ママと交代してあげる!」
そう言って、名前も知らない元気な二人が、奥へと下がっていった。
「すごい店だな……。普通に来たら楽しそうだ」
「そう……か? 僕は少し苦手だな……」
少しすると、赤髪の人物がやって来た。暗くて、顔がよく見えない。
「いらっしゃい。ご指名みたいだけど、私、あなた達についたこと、あったかしら?」
違う。
赤髪に鋭い犬歯は魔族の証だが、確か魔人には鋭い犬歯はなかったはずだ。この男は、人族で言うところの40代くらいに見える。オレ達が探している魔人は、オレより少し年上くらいの見た目だった。
「いえ、人違いのようです。失礼しました」
「あら、そう。もしかして、探しているのは『マモン』じゃないかしら?」
「……知っているんですか!?」
「えぇ、よく知ってるわ。元々あの子もここで働いていたから。……あなた、龍族ね? そっちの子は……なるほど、仙人か」
「はい。マモンのその後のことを、ご存じないですか?」
「残念ながら、ここを出てからのあの子のことは、何も知らないの」
「そうですか……」
「もしかして、あの子が何かしたのかしら?」
トーマスが、言いにくそうに口を開いた。
「はい。僕の一族は、マモンに皆殺しにされました……」
魔族の男は、小さく息を呑むと、驚いた顔でトーマスを見つめた。
「あの子が……そんな事を……。そう……あなたにとって、マモンは仇なのね……。でもね、信じられないかもしれないけれど、あの子は、そんな事をする子じゃなかった。とても、優しい子だったの。……でも、徐々に、徐々に、変わっていってしまったのよ……」
「よろしければ、詳しく教えていただけませんか? もちろん、お時間を頂いた分の料金はお支払いします」
「分かったわ。ここじゃ、うるさいでしょう。奥に案内するわ。……あなた達! お店は任せたわよ!」
『はぁ~い!』
オレ達は、奥のVIPルームへと案内された。
「部屋代は気にしなくていいわ。飲み代だけで結構よ。おかわりは、水割りでいいかしら?」
「いえ、当然、部屋代もお支払いします。こちらがお願いしたことですから。水割りでお願いします」
「あら、そう? まあ、安くしておくわね」
「オレはユーゴ、こちらはトーマスです。よろしくお願いします」
水割りをそれぞれに作りながら、魔族の男は話を始めた。
「ユーゴ君に、トーマス君、よろしくね。まず、私の名前は『モレク・シルヴァニア』。前魔王アスタロスと、現魔王リリスの孫なの。マモンは、リリスの末の息子。つまり、マモンは、私のかなり年下の叔父にあたるのよ」
大物だな……。そんな人が、なぜこんな場所に……。
「『なぜ、こんな場所に』って、思ったかしら? これから、それを話すわね」
モレクさんは、マモンとの関係を、静かに語り始めた。
「そうだね。ここを拠点にするのが一番良さそうだ」
「あぁ、アタシは皆に任せるよ。それより、お祖父ちゃんから王二人への手紙を預かっているんだろ? アタシは二人共面識があるから、面会は問題なく出来るぞ」
「さすがは始祖四王の孫だな……」
オレの言葉に、三人が一斉にこちらを向いた。
「いやいや、ユーゴもそうじゃないか」
「あ、そうか……。里長って呼びすぎて、すっかり忘れてた」
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「だったら、オーベルジュ王に会わせてくれないかな? 可能性は低いだろうけど、母さんのこと、何か聞きたいんだ……」
「分かった。まずは、オーベルジュ王に面会を求めよう」
明日の午前の予定は決まった。
レトルコメルスも良かったが、王都の料理も美味い。この獣の腸に肉を詰めた、『ソーセージ』という料理がすっかり気に入った。あまり加工肉というものを食べたことがなかったからな。
「このソーセージは、ビールとの相性が抜群だな」
「うん。まだまだ、食べたことのない料理が沢山あるんだろうな」
ここでも、『冒険野郎』はオレ達狩猟者の味方だ。間違いなく、行きつけの店になるだろう。
「さて、エミリー。ここのカジノは初めてだろ? 行くぞ!」
「うん、初めてだね! レトルコメルスの最後のカジノは、ユーゴのせいで不完全燃焼だったんだよ!」
「おいおい、勝たせてもらったくせに、オレのせいはないだろ!」
「あれは、ギャンブルじゃない!」
「まあ、オレはもうカジノはいいな……。いつか、捕まりそうだ」
女性二人は、いつものようにカジノへと消えていった。
「いやぁ、美味かった。この店、他にも店舗があるのかな?」
「ありそうだな。これだけ手広く展開しているんだ。もしかしたら、この店で魔人達の情報が手に入るかもしれない」
「店員さんに聞いてみるか。これだけの人気店だ、情報が集まりやすいはずだ」
会計の際、オレは店員の男性に魔人について尋ねてみた。
「この店、手広く展開してるんですね。レトルコメルスと、ここ以外にもあるんですか?」
「はい、あと一店舗ございますよ」
「やっぱりそうですか、そこも行ってみたいな。……あと、一つお聞きしたいんですが、赤髪で、化粧をした、女言葉の魔族の男を見かけたことはありませんか?」
「はい、存じておりますよ」
店員の男は、さも当たり前のようにそう答えた。オレとトーマスは、不意を突かれ、咄嗟に言葉が出なかった。
「……えぇ!? 本当ですか!?」
「はい。ここから少し南門の方に戻り、路地に入ったところにある、ショーパブ『リバティ』という店で働いてる方ですね。地図をお描きしましょうか?」
「お願いします!」
なんと、普通に働いているらしい。
店員に地図を書いてもらい、オレ達はその店へと向かった。
少し南門方面に戻り、路地を少し入ると、大通りとは全く雰囲気の違う、妖しげな光を放つ繁華街が広がっていた。
「ここだな。『リバティ』って書いてある」
「でも、オレ達は武器を持っていないぞ……?」
「さすがに、自分の店で暴れたりはしないだろう」
「……トーマスは、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫。前回は、あまりに突然のことで頭に血が上ってしまったけど、今は冷静だ」
「よし、入るか」
ドアを開ける前から漏れ聞こえていたが、開けた瞬間、大音量の音楽が全身を叩いた。ステージでは、化粧をした男達が華麗なダンスを披露し、客席は熱狂に包まれている。
「いらっしゃいませ~! あら、また可愛い子達が来たわね! こっちに座って!」
「ほんと、若い子なんて珍しいわね~。何飲む?」
「あ、ウイスキーの水割りをください」
「僕も、それで」
慣れた手つきで作られた水割りが、二つ。いや、彼女たちの分も合わせて四つだ。
「あたしたちも頂くわよ! 心配しないで、自分のお金で払うから! ギャッハッハ!」
「いやいや、オレ達が払いますよ」
「ほんとに!? いいの? 優しくて、いい子ねぇ! 食べちゃいたい!」
よく喋るな……。
トーマスが、分かりやすく引いている。
「あの、一つお聞きしたいのですが」
「ん~? なぁに? 何でも聞いてくれていいわよ? 下半身のことかしら? ギャッハッハ!」
すごいバイタリティだ……。
「こちらの店に、赤髪の魔族の方がいると聞いて来たんですが、いらっしゃいますか?」
「あぁ、ママのお客さんだったのね! なら、早く言ってちょうだいよ! 今日はまだお客さんが少ないから、ママと交代してあげる!」
そう言って、名前も知らない元気な二人が、奥へと下がっていった。
「すごい店だな……。普通に来たら楽しそうだ」
「そう……か? 僕は少し苦手だな……」
少しすると、赤髪の人物がやって来た。暗くて、顔がよく見えない。
「いらっしゃい。ご指名みたいだけど、私、あなた達についたこと、あったかしら?」
違う。
赤髪に鋭い犬歯は魔族の証だが、確か魔人には鋭い犬歯はなかったはずだ。この男は、人族で言うところの40代くらいに見える。オレ達が探している魔人は、オレより少し年上くらいの見た目だった。
「いえ、人違いのようです。失礼しました」
「あら、そう。もしかして、探しているのは『マモン』じゃないかしら?」
「……知っているんですか!?」
「えぇ、よく知ってるわ。元々あの子もここで働いていたから。……あなた、龍族ね? そっちの子は……なるほど、仙人か」
「はい。マモンのその後のことを、ご存じないですか?」
「残念ながら、ここを出てからのあの子のことは、何も知らないの」
「そうですか……」
「もしかして、あの子が何かしたのかしら?」
トーマスが、言いにくそうに口を開いた。
「はい。僕の一族は、マモンに皆殺しにされました……」
魔族の男は、小さく息を呑むと、驚いた顔でトーマスを見つめた。
「あの子が……そんな事を……。そう……あなたにとって、マモンは仇なのね……。でもね、信じられないかもしれないけれど、あの子は、そんな事をする子じゃなかった。とても、優しい子だったの。……でも、徐々に、徐々に、変わっていってしまったのよ……」
「よろしければ、詳しく教えていただけませんか? もちろん、お時間を頂いた分の料金はお支払いします」
「分かったわ。ここじゃ、うるさいでしょう。奥に案内するわ。……あなた達! お店は任せたわよ!」
『はぁ~い!』
オレ達は、奥のVIPルームへと案内された。
「部屋代は気にしなくていいわ。飲み代だけで結構よ。おかわりは、水割りでいいかしら?」
「いえ、当然、部屋代もお支払いします。こちらがお願いしたことですから。水割りでお願いします」
「あら、そう? まあ、安くしておくわね」
「オレはユーゴ、こちらはトーマスです。よろしくお願いします」
水割りをそれぞれに作りながら、魔族の男は話を始めた。
「ユーゴ君に、トーマス君、よろしくね。まず、私の名前は『モレク・シルヴァニア』。前魔王アスタロスと、現魔王リリスの孫なの。マモンは、リリスの末の息子。つまり、マモンは、私のかなり年下の叔父にあたるのよ」
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