- Mix blood -

久悟

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第三章 大陸冒険編

魔族の戦闘法

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 狩猟者協同組合ハンターギルドに着いた。
 その規模は、ゴルドホークはもちろん、レトルコメルスと比べても、さらに大きい。

「でかいな……。さっき、モレクさんは『南のギルド』って言い方をしていたね。他にもあるんだろうな、こんなに大きな都市だ」
「このレベルのギルドが、最低でも二つはあるのか。……入ってみよう」

 魔族も、当然のようにいる。
 Sランクの狩猟者ハンターなんて当たり前といったレベルだ。

「ここに来て、初めて鬼族を見たな。知り合いにでもなっていたら、始祖四王がおとぎ話じゃないってことに、もっと早く気づけていたんだろうな」
「アタシも、よく見かけはしたが、一緒に戦ったことはないな。戦闘法も知らない」
「私と出会ってからは、ジュリアはパーティを組まなかったからね」

 依頼を見てみよう。
 巨大な掲示板が数枚、依頼書で埋め尽くされている。これだけの都市だ、トラブルや討伐依頼は、後を絶たないんだろう。

「Sランクなんて、当たり前のようにあるな。むしろ、低ランクの依頼の方が少ないんじゃないか?」
「それか、これだけ狩猟者ハンターが多いと、低ランクの依頼はすぐに売れてしまうのかもしれないね。BランクやCランクを数こなした方が、安全に稼げるから」
「なるほどな。だから、低ランクの狩猟者ハンターは、地方の街で腕を磨くのか」

 依頼を見ながら話していると、モレクさんがバッチリとメイクを済ませて到着した。

「待たせたわね」
「わぁ! さっきは格好いい人だなって思ったけど、今度は、すごく綺麗になったね、モレクさん!」
「あら、ありがとう、お嬢ちゃん。私には『綺麗』の方が褒め言葉よ。……あなた達が、話に聞いていた仙族ね。私はモレク、よろしく」
「あぁ、こちらこそ、よろしく頼む。アタシはジュリア、こっちがエミリーだ」

 二人とモレクさんの自己紹介が終わった。

「ついでだから、依頼を受けてから行こうと思って、ここで待ち合わせたの。場所は、パラメオント山脈の麓でいいかしらね。あなた達のランクは?」
「四人とも、SSランクです。鳥の魔物の討伐依頼が多いですね。この、ロック鳥というのがAランクか」
「そう、それなら何でもいいわね。ロック鳥、ペガサス、後はSランクのワイバーンあたりでいいと思うわ。……あら、SSランクも出ているのね。また、グリフォンが発生したみたい。一応、これも持って行きましょう。途中で、昼食用のお弁当も買わないとね」
 

 パラメオント山脈の麓まで行くには、西門が近い。南のギルドから、西門を目指して歩き始める。

「モレクさんも、浮遊術を使うんですか?」
「えぇ。魔族は、風属性の魔力を浮力に使うの。けど、アレクサンドから仙術を教えてもらったから、こっちの方が効率がいいわね」
「なるほど。じゃあ、飛んで行きますか」

 浮遊術で浮き上がり、西門を抜け、山脈に向けて移動する。

「ちょっと! 何よ、そのスピードは!」
「え? すみません、早すぎましたか?」
「あぁ、そうか。モレクのスピードが、普通なんだ。アタシ達は、錬気れんきが混ざっているから、速いんだ」
「レンキ? それで、速くなるの?」
「いや、全ての術が、レベルアップすると思います」

 モレクさんに錬気術を教えるため、オレ達は一旦地上に降りた。これから教えてもらう身だ。モレクさんにも、メリットがあった方がいいだろう。
 早速、オレ達は錬気術を実演し、説明した。

「なるほどね……。これは、凄いわ。これで、スピードが上がるのね」

 そう言って、モレクさんは空高く打ち上がった。
 やっぱり、こうなるらしい。

「あぁ、びっくりしたわ……」
「小出しに使わないと、吹っ飛びますよ」
「えぇ。移動しながら、コツを掴むわ」

 さすがは、千年以上を生きる魔族だ。術の習得が早い。すぐに、普通についてきている。

「こんなに早く着くとは思わなかったわ。種族間の戦闘法を組み合わせるというのは、凄いのね」
「はい。オレ達も、もっと強くなりたいんです! よろしくお願いします!」

 モレクさんによる、魔族の戦闘法の指導が始まった。

 空には、巨大な怪鳥が飛んでいる。あれが、ロック鳥だろうか。
 
「さて、早速レクチャーするわね」
「よろしくお願いします!」

 オレ達四人を前に、モレクさんが説明を始めた。

「魔族の戦闘法を簡単に言うと、『圧縮』からの『解放』よ。まあ、聞くだけじゃ、分からないわよね」

 そう言って、モレクさんは実演を始めた。

「まず、気力で空気のボールを作るの。手のひらにね。その中に、魔力を注入していく。入れ続けると、このボールの中で魔力が圧縮されて、パンパンになる。暴発したら大変だから、気をつけてね」

 ボールの大きさは変わらないが、その中の魔力が、凄まじい勢いで膨張していくのを感じる。

「まずは、こんなものでいいかしら。このボールの、自分と反対側を割り、自分自身を、この割ったボールで守るの」

『風魔法 風殺ウインドキル

 鋭い風魔法が、風切り音を上げて、頭上を飛んでいたAランクの魔物、ペガサスを切り刻んだ。

「おぉ……。魔力だけで、これほどの威力か……」
「圧縮率と魔力の量で、威力はさらに増すわ。普通は時間がかかるけれど、前魔王アスタロスは、これ以上の魔法を瞬時に放っていたわね」

 オレ達は、その方法を頭に叩き込むと、まずはエミリーが前に出た。

「私からやってみていい? 錬気でボールを作ってみようかな。風遁を入れてみる!」

 確かに、錬気のボールなら、強度が高そうだ。
 エミリーは、拳よりも大きなボールを作り上げると、ゆっくりと風遁を注ぎ込んでいく。

「おぉー! すごいよ、これ! まだまだ入る! ……けど、怖いから、この辺で……」

『風遁 風刃ふうじん!』

 凄まじい風切り音と共に、上位の風遁である嵐塵らんじんをも超えるような威力の基礎術が、少し先を歩いていたペガサスを、跡形もなく切り刻んだ。

「ちょっと……なんなの、今の……。とんでもないものを、教えてしまったんじゃないかしら……?」
「これに自然エネルギーまで入れたら、とんでもないことになるぞ……」 

「モレクさん。普通に気力でボールを作るよりも、錬気の方が強度が高いです。これなら、一気に魔力を注入しても、暴発はしなさそうですね。一応、守護術を張って、やってみます」

 オレは、右の掌を上に向け、拳大の錬気のボールを作り上げた。
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