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第三章 大陸冒険編
魔法剣士ジュリア
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次の日の朝。
一週間予約していた部屋だったけど、キャンセルしてチェックアウトした。ここの朝食も美味かったな。熱風エンターテイメントも、素晴らしかった。昨夜も、もちろん楽しんだ。
ロビーには、オレが一番乗りだった。すぐに、トーマスとジュリアも降りてくる。今日、オレはジュリアの師匠だ。
「おはよう。じゃあ、ギルドに行こうか」
「おはよう。このホテルも良かったな」
「あぁ。あの熱風エンターテイナーは、他のホテルにもいるのかな?」
「泊まらなくても入れるらしいからな。また、他のサウナも巡ってみよう」
南の狩猟者協同組合の扉を開く。朝から、狩猟者たちで賑わっていた。
三人で、カウンター横の巨大な掲示板を眺める。
「やはり、美味しいのはワイバーンか」
「エミリーがいない今、SSランクは厳しいか?」
「いや、エミリーの代わりにオレが治療に回れば、問題ないだろう。今日はジュリアが剣技を存分に振るう日だ」
「じゃあ、SSランクも受けておくか。『ニーズヘッグ』というのは、一体しか確認されていない個体種らしいな。こういう奴は、ヤバいぞ……」
「うん、それはさすがに……エミリー抜きではやめておこうね……」
ニーズヘッグ。
パラメオント山脈に生息する個体種。確実に、良い革防具が作れるだろう。四人が揃ったら、挑戦してみても良いかもしれない。
「『ヒッポグリフ』というのにしようか。グリフォンと、雌馬の魔物の混血らしい」
「そういえば、強い魔物って、色々な生物が合体しているものが多いが、種の存続のために、長年かけて他の魔物の因子を取り込んできたんだろうな。一番手っ取り早いのが『混血』だ。オレの魔力が多いのも、なんとなく頷ける……」
「なるほどな。SSランクの魔物も、高すぎる魔力のせいで、凶暴性が増しているということなのかもしれないな」
Sランクのワイバーンでジュリアに剣技を練習させ、余裕があればSSランクの依頼に行く。Sランクの魔物を一人で倒せるようになるとは……オレ達も成長したもんだ。里の皆に感謝しないとな。
昼食用の弁当を買い、ジュリアに預ける。
空間魔法の中では、雑菌が全て死滅するらしい。食事の管理には最適だ。
「よし、行こうか!」
◇◇◇
目的地の手前に到着した。
Aランクの魔物、ロック鳥が空を飛んでいる。
今日の目的は、ジュリアに剣技を教えること。あらかじめ、遁術や剣技の指南書は渡してある。
「ジュリア、剣技の予習はしてきたか?」
「あぁ。あの本、面白いな! 遁術にも興味が出てきたよ。もう少し貸してくれないか?」
「あぁ、いつでもいい。よし、やるか」
ジュリアの剣は、ツヴァイハンダー。トーマスが砥いだとはいえ、斬ることに特化した武器じゃない。
「龍族の剣技は、刀で斬ることを想定した技なんだろ? ツヴァイハンダーでも、大丈夫なのか?」
「いや、龍族の剣技は、何も刀で斬るだけの技じゃない。兵法として、様々な武器で戦うことを想定しているらしい。武器がなければ、最悪、手刀で戦うとか、そういうことだ。木刀でもある程度の威力は出る」
「なるほどな。一応、このツヴァイハンダーも一級品だ。物としては、良いものだからな」
仙神国の名工の作品らしい。さすがは仙王の孫、良い武器を持っている。
「じゃあ、まずは基本だ。ジュリアはもう、剣に錬気を纏わせることはできる。直接斬りつけるような剣技は、型さえ覚えればいい。……ツヴァイハンダーの正しい持ち方というのは分からないけど……」
「持ち方? そんなものがあるのか?」
「いや、師匠とかに習わなかったのか?」
「あぁ、我流だからな」
持ち方も知らず、適当に振り回してあの強さか。仙族が誇る天才は、かなりの逸材らしい。
「刀の構えが、両手大剣の持ち方に通じるかは分からないけど……我流よりはマシじゃない?」
「そうだな。よし、まずは、左手で柄の末端を少し残して握り、右手は鍔に人差し指が少し付くような位置で握る」
「先生! 『ツカ』というのは?」
「持ち手のことだ」
「あぁ、グリップか! 『ツバ』というのは?」
「……それの言い方が分からないんだ。刀身と柄の間の装飾のやつ」
「あぁ、ガードのことだな。了解!」
オレも、かつては両手剣を使っていた身だ。各部の名称も知らないとは、少し恥ずかしい。
「上から見て、両手の親指と人差し指の間が、刀身の延長線上になるように合わせる。小指と薬指あたりで握り込み、人差し指に向けて、力を抜く。右足を前に出し、自然な位置で構えてみてくれ」
偉そうに解説しているけど、全て里長の受け売りだ。
「おぉ、しっくりくるな。すごく、振りやすい」
「その纏わせた錬気を、飛ばしてみよう。それが、基本の『剣風』だ。魔法剣技を使うなら、それが初歩になる。まあ、今のジュリアなら、造作もないことだろうけど」
ジュリアは、正面に構えていたツヴァイハンダーを、左脇へと構え直した。
『剣技 剣風!』
剣風がデカい。
少し先を飛んでいたロック鳥を、真っ二つにした。
「……できたぞ!」
「剣がでかいと、剣風もでかいな。確かに、刀と比べて鋭さはないけど、パワーがある。両手大剣の性質がそのまま出るんだな。面白い」
「剣には、風属性の仙術を込めるのか?」
「あぁ、色々試してみよう。太陽光のエネルギーも面白そうだ」
ジュリアは、大剣に仙術を一気に込めた。
『魔法剣技 剣風!』
俺が放ったものよりも、さらに巨大な剣風が、遠くの山を吹き飛ばした。
「……すごいな」
「もはや、兵器だな、これは……」
「なかなかの威力だ! 次は『横薙一閃』を太陽光のエネルギーで放ってみようか!」
山が、無くならないだろうな……?
ジュリアは、先程よりもさらに錬気を溜めて、構えた。
『魔法剣技! 横薙一閃!』
とんでもない光の斬撃が、山にぶつかり、大爆発を起こした。
「……オレ達は、とんでもない兵器を作り出してしまったんじゃないか……?」
「あぁ……。対多人数戦では、大活躍するだろうね……」
斬撃を飛ばすのはあまりにも危険だ。もう、やめさせよう。
「よし……ジュリア、今度は、敵に直接斬り掛かってみよう。この間、オレが見せた『五月雨』は、予習してきたか?」
「あぁ、完璧だ。見た技は、分かりやすい」
「まあ、完璧に真似る必要はない。自分のスタイルを乗せるのも面白いぞ」
ワイバーンの巣に行くと、早速三体が飛んできた。
「トーマス! 頼む!」
「了解」
トーマスの守護術を纏ったジュリアは、ワイバーン三体に向かいながら、仙術を込める。
『魔法剣技 五月雨!』
巨大な両手大剣が、無数の剣戟を描く。
まるで、木の枝でも振り回すかのように、ワイバーン三体を、いとも簡単に切り刻んでしまった。
「おいおい、Sランクの魔物を、一気に……」
「素晴らしいな、魔法剣技!」
新たに、ワイバーンが三体飛んできた。
「僕にも、斬らせてくれ!」
トーマスも『双葉』を構える。
『魔法剣技 踊り独楽』
繊細な剣技だ。踊るように回転しながら、風属性の斬撃で、ワイバーン三体を切り刻んだ。
「トーマスまで、三体一気に……」
「トーマスは、盾役にさせておくだけでは、もったいないな」
今度は、ワイバーンが四体、飛んできた。
「最後は、オレが貰うぞ!」
龍胆と春雪の二刀流だ。
風遁を、二本の刀に一気に込める。
『魔法剣技 双角』
二刀流の連続攻撃。四体を切り刻むまで、止まらない。風遁を込めているため、斬れ味も速さも段違いだ。
「二刀流、格好いいな……」
「剣技は奥が深い……。これは、楽しいぞ」
今日も、ワイバーンを十体仕留めた。体皮を処理し、火葬する。
一体につき、二~三個の魔晶石。合計で、25個もあった。今日も大儲けだ。
「どうする? ヒッポグリフにも会いに行くか?」
「行くぞ!」
「守りは、任せてくれ」
「じゃあ、オレはサポートと、足止めに回ろう」
オレ達は、目的地に向け、浮遊した。
一週間予約していた部屋だったけど、キャンセルしてチェックアウトした。ここの朝食も美味かったな。熱風エンターテイメントも、素晴らしかった。昨夜も、もちろん楽しんだ。
ロビーには、オレが一番乗りだった。すぐに、トーマスとジュリアも降りてくる。今日、オレはジュリアの師匠だ。
「おはよう。じゃあ、ギルドに行こうか」
「おはよう。このホテルも良かったな」
「あぁ。あの熱風エンターテイナーは、他のホテルにもいるのかな?」
「泊まらなくても入れるらしいからな。また、他のサウナも巡ってみよう」
南の狩猟者協同組合の扉を開く。朝から、狩猟者たちで賑わっていた。
三人で、カウンター横の巨大な掲示板を眺める。
「やはり、美味しいのはワイバーンか」
「エミリーがいない今、SSランクは厳しいか?」
「いや、エミリーの代わりにオレが治療に回れば、問題ないだろう。今日はジュリアが剣技を存分に振るう日だ」
「じゃあ、SSランクも受けておくか。『ニーズヘッグ』というのは、一体しか確認されていない個体種らしいな。こういう奴は、ヤバいぞ……」
「うん、それはさすがに……エミリー抜きではやめておこうね……」
ニーズヘッグ。
パラメオント山脈に生息する個体種。確実に、良い革防具が作れるだろう。四人が揃ったら、挑戦してみても良いかもしれない。
「『ヒッポグリフ』というのにしようか。グリフォンと、雌馬の魔物の混血らしい」
「そういえば、強い魔物って、色々な生物が合体しているものが多いが、種の存続のために、長年かけて他の魔物の因子を取り込んできたんだろうな。一番手っ取り早いのが『混血』だ。オレの魔力が多いのも、なんとなく頷ける……」
「なるほどな。SSランクの魔物も、高すぎる魔力のせいで、凶暴性が増しているということなのかもしれないな」
Sランクのワイバーンでジュリアに剣技を練習させ、余裕があればSSランクの依頼に行く。Sランクの魔物を一人で倒せるようになるとは……オレ達も成長したもんだ。里の皆に感謝しないとな。
昼食用の弁当を買い、ジュリアに預ける。
空間魔法の中では、雑菌が全て死滅するらしい。食事の管理には最適だ。
「よし、行こうか!」
◇◇◇
目的地の手前に到着した。
Aランクの魔物、ロック鳥が空を飛んでいる。
今日の目的は、ジュリアに剣技を教えること。あらかじめ、遁術や剣技の指南書は渡してある。
「ジュリア、剣技の予習はしてきたか?」
「あぁ。あの本、面白いな! 遁術にも興味が出てきたよ。もう少し貸してくれないか?」
「あぁ、いつでもいい。よし、やるか」
ジュリアの剣は、ツヴァイハンダー。トーマスが砥いだとはいえ、斬ることに特化した武器じゃない。
「龍族の剣技は、刀で斬ることを想定した技なんだろ? ツヴァイハンダーでも、大丈夫なのか?」
「いや、龍族の剣技は、何も刀で斬るだけの技じゃない。兵法として、様々な武器で戦うことを想定しているらしい。武器がなければ、最悪、手刀で戦うとか、そういうことだ。木刀でもある程度の威力は出る」
「なるほどな。一応、このツヴァイハンダーも一級品だ。物としては、良いものだからな」
仙神国の名工の作品らしい。さすがは仙王の孫、良い武器を持っている。
「じゃあ、まずは基本だ。ジュリアはもう、剣に錬気を纏わせることはできる。直接斬りつけるような剣技は、型さえ覚えればいい。……ツヴァイハンダーの正しい持ち方というのは分からないけど……」
「持ち方? そんなものがあるのか?」
「いや、師匠とかに習わなかったのか?」
「あぁ、我流だからな」
持ち方も知らず、適当に振り回してあの強さか。仙族が誇る天才は、かなりの逸材らしい。
「刀の構えが、両手大剣の持ち方に通じるかは分からないけど……我流よりはマシじゃない?」
「そうだな。よし、まずは、左手で柄の末端を少し残して握り、右手は鍔に人差し指が少し付くような位置で握る」
「先生! 『ツカ』というのは?」
「持ち手のことだ」
「あぁ、グリップか! 『ツバ』というのは?」
「……それの言い方が分からないんだ。刀身と柄の間の装飾のやつ」
「あぁ、ガードのことだな。了解!」
オレも、かつては両手剣を使っていた身だ。各部の名称も知らないとは、少し恥ずかしい。
「上から見て、両手の親指と人差し指の間が、刀身の延長線上になるように合わせる。小指と薬指あたりで握り込み、人差し指に向けて、力を抜く。右足を前に出し、自然な位置で構えてみてくれ」
偉そうに解説しているけど、全て里長の受け売りだ。
「おぉ、しっくりくるな。すごく、振りやすい」
「その纏わせた錬気を、飛ばしてみよう。それが、基本の『剣風』だ。魔法剣技を使うなら、それが初歩になる。まあ、今のジュリアなら、造作もないことだろうけど」
ジュリアは、正面に構えていたツヴァイハンダーを、左脇へと構え直した。
『剣技 剣風!』
剣風がデカい。
少し先を飛んでいたロック鳥を、真っ二つにした。
「……できたぞ!」
「剣がでかいと、剣風もでかいな。確かに、刀と比べて鋭さはないけど、パワーがある。両手大剣の性質がそのまま出るんだな。面白い」
「剣には、風属性の仙術を込めるのか?」
「あぁ、色々試してみよう。太陽光のエネルギーも面白そうだ」
ジュリアは、大剣に仙術を一気に込めた。
『魔法剣技 剣風!』
俺が放ったものよりも、さらに巨大な剣風が、遠くの山を吹き飛ばした。
「……すごいな」
「もはや、兵器だな、これは……」
「なかなかの威力だ! 次は『横薙一閃』を太陽光のエネルギーで放ってみようか!」
山が、無くならないだろうな……?
ジュリアは、先程よりもさらに錬気を溜めて、構えた。
『魔法剣技! 横薙一閃!』
とんでもない光の斬撃が、山にぶつかり、大爆発を起こした。
「……オレ達は、とんでもない兵器を作り出してしまったんじゃないか……?」
「あぁ……。対多人数戦では、大活躍するだろうね……」
斬撃を飛ばすのはあまりにも危険だ。もう、やめさせよう。
「よし……ジュリア、今度は、敵に直接斬り掛かってみよう。この間、オレが見せた『五月雨』は、予習してきたか?」
「あぁ、完璧だ。見た技は、分かりやすい」
「まあ、完璧に真似る必要はない。自分のスタイルを乗せるのも面白いぞ」
ワイバーンの巣に行くと、早速三体が飛んできた。
「トーマス! 頼む!」
「了解」
トーマスの守護術を纏ったジュリアは、ワイバーン三体に向かいながら、仙術を込める。
『魔法剣技 五月雨!』
巨大な両手大剣が、無数の剣戟を描く。
まるで、木の枝でも振り回すかのように、ワイバーン三体を、いとも簡単に切り刻んでしまった。
「おいおい、Sランクの魔物を、一気に……」
「素晴らしいな、魔法剣技!」
新たに、ワイバーンが三体飛んできた。
「僕にも、斬らせてくれ!」
トーマスも『双葉』を構える。
『魔法剣技 踊り独楽』
繊細な剣技だ。踊るように回転しながら、風属性の斬撃で、ワイバーン三体を切り刻んだ。
「トーマスまで、三体一気に……」
「トーマスは、盾役にさせておくだけでは、もったいないな」
今度は、ワイバーンが四体、飛んできた。
「最後は、オレが貰うぞ!」
龍胆と春雪の二刀流だ。
風遁を、二本の刀に一気に込める。
『魔法剣技 双角』
二刀流の連続攻撃。四体を切り刻むまで、止まらない。風遁を込めているため、斬れ味も速さも段違いだ。
「二刀流、格好いいな……」
「剣技は奥が深い……。これは、楽しいぞ」
今日も、ワイバーンを十体仕留めた。体皮を処理し、火葬する。
一体につき、二~三個の魔晶石。合計で、25個もあった。今日も大儲けだ。
「どうする? ヒッポグリフにも会いに行くか?」
「行くぞ!」
「守りは、任せてくれ」
「じゃあ、オレはサポートと、足止めに回ろう」
オレ達は、目的地に向け、浮遊した。
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番外編①~2020.03.11 終了
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