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第三章 大陸冒険編
エミリーの恋 3
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王都に帰ってきた。
マシューは王都の住民カードを持っているから、あの長い検問の列に並ぶ必要はない。
彼が案内してくれたのは、路地裏にあるこぢんまりとしたお店だった。ドアを開けると、食欲をそそる独特な香りが漂ってくる。
「ここのカレーライスが絶品なんだ」
「カレーライス?」
「うん、肉や野菜をスパイスで煮込んだ料理だよ。僕はライスにかけて食べるのがお気に入りだ」
初めて聞く料理名だ。私はマシューのおすすめ通りに注文した。
運ばれてきたのは、とろりとした茶色のソースがかかったライス。湯気と共に鼻をくすぐる香りに、喉が鳴る。
「この料理は初めてだね、大抵食べたと思ったけど……」
スプーンですくって口に運ぶ。
その瞬間、鮮烈なスパイスの香りが鼻から抜け、その後に深いコクや野菜の甘み、肉の旨味が口いっぱいに広がった。
「美味しい! なにこれ!」
「良かった! 気に入ってくれたかな」
「うん、ライスとすっごく合うね!」
「スパイスでもっと辛くしたりできるんだよ。僕はもう少し辛いのが好きだな」
これは皆にも教える必要がある。特にトーマスなら、スパイスの調合からこだわって再現するに違いない。
半日以上マシューと一緒にいて、緊張も解け、ようやく彼の目をしっかり見て話せるようになってきた。
屈託のない笑顔を向けてくれるマシューを見ているだけで、心が浮き立つような楽しい気分になる。もっと一緒にいたい。
「マシュー、今日はこれから用事ある?」
「いや、今日はお店にも行かないからね。何もないよ?」
チャンスだ。私は勇気を出して切り出した。
「あの……今日一日遊ばない……?」
「うん、いいよ! どこに行こっか?」
「ホントに!?」
嬉しさのあまり声が裏返りそうになる。
「私はギャン……いや、あまり遊びに行く事が少ないから、マシューにお任せしたいな」
危ない。うっかり「ギャンブル」と言いかけて飲み込んだ。カジノに入り浸っているなんて知られたら引かれてしまうかもしれない。
マシューが真剣な顔で考えてくれている。
正直、彼と一緒ならどこでも良いんだけど。
「ベタだけど、シャーリーズパークに行く?」
「行ったことないな」
「ホントに? じゃ、行こうよ! 僕も小さい頃に行ったっきりだ」
店を出て西エリアに向かった。
大きなゲートが見えてくる。いつも空を飛んで通り過ぎていただけだったから、ここ何なのか気にもしていなかった。
ただの公園かと思っていたけど、中には色鮮やかな建物や、たくさんのキャラクターたちが歩いているのが見える。
「シャーリー・ベルナールっていうデザイナーがデザインしたキャラクターのテーマパークだよ」
「あ、あれ見たことある!」
「あぁ、ピンキーキャットだね。一番人気の猫のキャラクターだよ」
チケットを買うための列に並ぶ。
「私が誘ったんだ、払うよ!」
「ダメだよ、ここを選んだのは僕なんだから」
「んー、分かった! 自分の分は自分で買おう!」
「えー、良いのにホントに」
「いいの! また遊んで欲しいんだから!」
そう言って、私は自分の財布を取り出した。「また次がある」という口実を作りたかったんだ。
チケットを買い、パーク内へと足を踏み入れる。
あちこちに可愛いキャラクターたちがいて、音楽が流れている。対象年齢は低そうだけど、不思議な高揚感があって大人でも十分楽しめそうだ。
「あ、エミリー! あれに乗ろうよ!」
マシューが指差した先には、コーヒーカップのような形をした乗り物がクルクルと回っていた。
「うん、行ってみよう!」
二人乗りのカップにマシューと乗り込み、肩が触れ合う距離にドキドキしながらベルトを締める。
軽快な音楽と共に、カップが支柱を中心に回転し始めた。
「へー! すごいねこれ!」
「うん、子供の乗り物だけどね。童心に帰れてなかなか良いだろ?」
回る景色の中でマシューが笑う。なんて可愛い笑顔なんだろう。胸が締め付けられるように愛おしい。
「今度はあれに乗ろうよ!」
それから私達は、子供のようにはしゃいでパーク中を走り回った。
いつもの三人と一緒にいるのもすごく楽しいし、居心地がいい。でも、マシューとの時間は何かが違う。胸の奥が甘く痺れるような、特別な楽しさだ。
陽が傾き始め、空がオレンジ色に染まり始めた頃。
「最後に観覧車乗ろうよ!」
「あのおっきいやつ?」
私たちは、ゆっくりと回る巨大な輪の下へと向かい、二人きりの小さなゴンドラへと乗り込んだ。
マシューは王都の住民カードを持っているから、あの長い検問の列に並ぶ必要はない。
彼が案内してくれたのは、路地裏にあるこぢんまりとしたお店だった。ドアを開けると、食欲をそそる独特な香りが漂ってくる。
「ここのカレーライスが絶品なんだ」
「カレーライス?」
「うん、肉や野菜をスパイスで煮込んだ料理だよ。僕はライスにかけて食べるのがお気に入りだ」
初めて聞く料理名だ。私はマシューのおすすめ通りに注文した。
運ばれてきたのは、とろりとした茶色のソースがかかったライス。湯気と共に鼻をくすぐる香りに、喉が鳴る。
「この料理は初めてだね、大抵食べたと思ったけど……」
スプーンですくって口に運ぶ。
その瞬間、鮮烈なスパイスの香りが鼻から抜け、その後に深いコクや野菜の甘み、肉の旨味が口いっぱいに広がった。
「美味しい! なにこれ!」
「良かった! 気に入ってくれたかな」
「うん、ライスとすっごく合うね!」
「スパイスでもっと辛くしたりできるんだよ。僕はもう少し辛いのが好きだな」
これは皆にも教える必要がある。特にトーマスなら、スパイスの調合からこだわって再現するに違いない。
半日以上マシューと一緒にいて、緊張も解け、ようやく彼の目をしっかり見て話せるようになってきた。
屈託のない笑顔を向けてくれるマシューを見ているだけで、心が浮き立つような楽しい気分になる。もっと一緒にいたい。
「マシュー、今日はこれから用事ある?」
「いや、今日はお店にも行かないからね。何もないよ?」
チャンスだ。私は勇気を出して切り出した。
「あの……今日一日遊ばない……?」
「うん、いいよ! どこに行こっか?」
「ホントに!?」
嬉しさのあまり声が裏返りそうになる。
「私はギャン……いや、あまり遊びに行く事が少ないから、マシューにお任せしたいな」
危ない。うっかり「ギャンブル」と言いかけて飲み込んだ。カジノに入り浸っているなんて知られたら引かれてしまうかもしれない。
マシューが真剣な顔で考えてくれている。
正直、彼と一緒ならどこでも良いんだけど。
「ベタだけど、シャーリーズパークに行く?」
「行ったことないな」
「ホントに? じゃ、行こうよ! 僕も小さい頃に行ったっきりだ」
店を出て西エリアに向かった。
大きなゲートが見えてくる。いつも空を飛んで通り過ぎていただけだったから、ここ何なのか気にもしていなかった。
ただの公園かと思っていたけど、中には色鮮やかな建物や、たくさんのキャラクターたちが歩いているのが見える。
「シャーリー・ベルナールっていうデザイナーがデザインしたキャラクターのテーマパークだよ」
「あ、あれ見たことある!」
「あぁ、ピンキーキャットだね。一番人気の猫のキャラクターだよ」
チケットを買うための列に並ぶ。
「私が誘ったんだ、払うよ!」
「ダメだよ、ここを選んだのは僕なんだから」
「んー、分かった! 自分の分は自分で買おう!」
「えー、良いのにホントに」
「いいの! また遊んで欲しいんだから!」
そう言って、私は自分の財布を取り出した。「また次がある」という口実を作りたかったんだ。
チケットを買い、パーク内へと足を踏み入れる。
あちこちに可愛いキャラクターたちがいて、音楽が流れている。対象年齢は低そうだけど、不思議な高揚感があって大人でも十分楽しめそうだ。
「あ、エミリー! あれに乗ろうよ!」
マシューが指差した先には、コーヒーカップのような形をした乗り物がクルクルと回っていた。
「うん、行ってみよう!」
二人乗りのカップにマシューと乗り込み、肩が触れ合う距離にドキドキしながらベルトを締める。
軽快な音楽と共に、カップが支柱を中心に回転し始めた。
「へー! すごいねこれ!」
「うん、子供の乗り物だけどね。童心に帰れてなかなか良いだろ?」
回る景色の中でマシューが笑う。なんて可愛い笑顔なんだろう。胸が締め付けられるように愛おしい。
「今度はあれに乗ろうよ!」
それから私達は、子供のようにはしゃいでパーク中を走り回った。
いつもの三人と一緒にいるのもすごく楽しいし、居心地がいい。でも、マシューとの時間は何かが違う。胸の奥が甘く痺れるような、特別な楽しさだ。
陽が傾き始め、空がオレンジ色に染まり始めた頃。
「最後に観覧車乗ろうよ!」
「あのおっきいやつ?」
私たちは、ゆっくりと回る巨大な輪の下へと向かい、二人きりの小さなゴンドラへと乗り込んだ。
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