246 / 260
第六章 四種族大戦編
開戦
しおりを挟む
各自朝食を済ませ、携行食を持参して整列している。張り詰めた空気の中、各軍隊長の号令で北に向け進軍を開始した。
仙族軍、隊長は仙王ラファエロ。
龍族軍、隊長は龍王クリカラ。
仙人混合軍、隊長は仙王長兄ライアン。
そして王国軍第一、第二部隊はそれぞれ、レオナード王とシャルロット女王の実弟が軍隊長を務めている。
それぞれ二万づつの五軍隊で、合計十万の大軍勢だ。
ちなみにレオナード王とシャルロット女王は、王国軍上層部の猛反対を押し切り、仙族軍に所属している。相変わらず自由な人たちだ。
我が軍は、皆が聯気による浮遊術を習得している。とはいえ、十万の兵士の進軍だ。足並みを揃えるため速度はどうしても落ちる。それでも、徒歩の行軍とは比べ物にならない速度だ。午後には決戦の地である山間の平地を越えるだろう。
耳には、シャルロット女王が開発した小型通信機『インカム』が装着されている。里長以外の各軍隊長と、補佐役の数名がこれを装備している。オレもその一人だ。
ある一定以上の精度の聯気で送信が出来る仕組みだ。
仙王からの通信が飛ぶ。
『各隊長へ。わざわざ皆を集める事はせんかったが、斥候からの報告によると、敵は我々とほぼ同じタイミングで進軍を始めたようだ』
インカムから聞こえる声に、皆がざわめく。
「えっ……たまたま今日進軍を開始する予定だったのか、それともオレ達に合わせたのか……?」
「まさかとは思いますが、向こうにもこちらの動きを見ることが出来る者がいるのでは……? 仙王様と同じような能力を持つ者が」
皆が各々の考えを述べる中、仙王が冷静に言葉を継ぐ。
『何とも言えんな。はなから一日休んでそのまま出る予定だったのかもしれんし、何らかの手段で察知されたのかもしれん。だが、我が軍の方が数が多いのは事実だ。このままいけば予定通り山間の平地でぶつかるだろう。そのつもりで各軍指示を出してくれ』
通信を龍族軍に伝えると、里長が父さんに声をかけた。
「お主にとって奴らは行動を共にした仲間であろう?」
「……そうですね。気の良い奴らでしたが、中身はあの通りの悪党です。あの魔神を復活させようと画策するような奴らですから。……錬気術を奴らに指南してしまった事に、責任を感じています……」
父さんが苦い顔をする。
「気に病むでない。あの状況で、お主を責める者などここにはおらぬ」
「はい……俺は龍族です。我々に仇なす敵なら、誰であれ斬り捨てますよ」
父さんの瞳に迷いはなかった。
「左様か、ならば良い」
そして、里長は龍族の精鋭たちに鋭い目を向け、念を押すように言った。
「お主ら、いいか。周りの誰が倒れようとも、決して後ろを振り返るな。目の前の敵から目を逸らさぬ様に。一瞬の油断が死を招くぞ」
そこにいる皆が、無言で力強く頷いた。
里長が常に皆に言い聞かせていた言葉だ。戦場において、情けや迷いは自分だけでなく仲間の命をも奪う。
仙龍両軍を先陣に、オレたちは山間の平地に突入した。
そこには同時に、おびただしい数の魔族と鬼族の軍勢が布陣していた。
砂塵が舞う荒野で、両軍が対峙する。
我が軍の先頭には仙王と龍王。その両脇にそれぞれの幹部が並び立つ。
敵軍の先頭には、魔王マモンと鬼王シュテン。その脇には、不敵な笑みを浮かべるアレクサンドと、サランと呼ばれていたダークブラウン髪の仙人。そして、禍々しいオーラを放つ魔神ルシフェルだ。
あれ……?
オレは目を疑った。
敵軍の後方に、見覚えのある顔がある。
『女豹』のヴァロンティーヌさんたちだ。なぜ彼女たちがここに?
マモン達がレトルコメルス滞在中に、交流があったという事か。あるいは、脅されて協力させられているのか。
思考を巡らせる間もなく、新旧四王の睨み合いが始まった。
先に口を開いたのはマモンだった。
「お久しぶりね、仙王、龍王。この日を心待ちにしてたのよ。せいぜい楽しみましょ?」
妖艶な笑みを浮かべるマモン。
「戦を楽しむだと……? ふざけるな。貴様らの暇潰しで、どれだけの者が命を落とすと思っている。ここで再起不能になるまで叩き潰してやる」
仙王が怒気を孕んだ声で返す。
すると、アレクサンドが一歩前に出た。
「おやおや、怖い怖い。お祖父様、久しぶりだね。国外追放にしてくれたお陰で、毎日が刺激的で楽しいよ。さぁ、最高のショータイムといこうか!」
アレクサンドは自分に注目を集めるように、フワリと浮遊して大袈裟に両手を広げた。
その瞳が、怪しく輝く。
これは……不味いぞ……。
オレの脳裏に、最悪の未来が映った。
味方が味方を殺し合う、地獄絵図。
「みんなァ! 目を伏せろッ! アレクサンドの眼を見るなァ――!!!」
オレは喉が裂けんばかりに叫んだ。
『魅了眼 死の誘惑!』
アレクサンドの瞳から、妖しい波動が放たれる。
オレの声が届いた者は即座に目を伏せたが、この大軍勢だ。全員には届かない。
何より、敵の大将が前に出てきたんだ。兵士たちの視線は自然と奴に集まっていた。
「さぁ皆! 殺し合うがいいよ!」
アレクサンドと目が合った味方の兵士たちの目が虚ろになる。
彼らは無言で武器を抜き、隣にいる仲間に斬りかかった。
「うわぁっ! 何をする!」
「やめろ! 俺だ!」
悲鳴と怒号が飛び交う。
「まずい……アレクサンドの奴、あの様な力を……」
仙王が歯噛みする。
その時、エミリーが空へ浮遊した。
「私に任せて!」
エミリーは戦場を見渡せる高さまで浮上すると、頭上に太陽のような巨大な聯気の玉を作り出した。
『治療術 快癒!』
聯気の玉が弾け、光の雨となって戦場全域に降り注いだ。
圧縮と聯気で極限まで効果の上がった治癒のシャワーが、味方兵士たちを包み込む。
光を浴びた兵士たちの瞳から狂気が消え、正気を取り戻して武器を下ろした。アレクサンドの魅了の力が強制的に解除された。
同時に、同士討ちで負傷した兵士たちの傷も癒えていく。
「なっ……なんだと……?」
アレクサンドが信じられないといった表情で、空のエミリーを睨みつけている。自分の最強の手札があっさりと破られたショックは大きいようだ。
エミリーはアレクサンドに見向きもせず、地上に向かって叫んだ。
「怪我人を後ろに下げて治療して! 誰も死なせちゃダメだよ!」
同時に、メイファさんがインカムで的確な指示を飛ばす。
『各隊、負傷者を直ちに後方に下げて治療せよ! 四肢の欠損がある者は部位を確保し、適切に保存する事! ライアン隊、前線の穴埋めに増援を頼む!』
『了解!』
ライアンさんの部隊が即座に動く。
一瞬の攻防。エミリーの快癒は、精神干渉すらも「異常状態」として治療する万能ぶりを見せつけた。
敵はアレクサンドの眼の力で、開幕早々こちらの戦力を半減させ、混乱に乗じて攻め込むつもりだったんだろう。
予想外の展開に、敵の動きが完全に止まっている。
それを好機と見た里長が、圧倒的な覇気を纏って動いた。
「若造共が。身の程を知るが良い。儂が『龍王』たる所以を見せてやろう」
里長がフワリと浮き上がり、戦場の中心で軽く両手を開く。
大気がバチバチと音を立てて爆ぜる。
『雷遁 雷霆万鈞』
雷遁……?
初めて見る、雷属性の特異能力だ。
気力だけで空を駆ける程に精度を高めた『聯気』で増幅されたその術は、もはや天災だ。
黒雲が渦巻き、無数の極太の雷柱が敵軍に降り注ぐ。
『ギィヤァァ――!!』
雷鳴にかき消されそうなほどの絶叫が木霊する。
敵の前衛が吹き飛び、黒焦げになっていく。
しかし、奴らの幹部を筆頭に能力の高い者たちは、各自見たことも無い障壁や守護術を張って、降り注ぐ雷を防いでいる。
「ほう……やりおる」
里長が感心したように呟く。
一撃でかなりの数を削った。けと、敵の回復術師も優秀なようで、倒れた兵士たちに回復の光が飛んでいる。
だが、敵を襲う里長の強力無比な遁術を目の当たりにして、我が軍の士気は最高潮に達した。
仙王が剣を抜き放ち、声を張り上げる。
「仙龍連合軍! 今だ! 奴らを根絶やしにしてしまえ! かかれェ――!!」
ウォーッ! という鬨の声と共に、全軍が突撃を開始した。
互いの兵士が入り乱れる大混戦の幕開けだ。
最前線で雷遁を放った里長の傍に、シャオウさん、ヤンさん、そして父さんが駆けつけ、鉄壁の護衛陣形を組む。里長の警護はあの三人なら十分すぎるほどだ。
オレは戦場を見渡し、魔神ルシフェルを探す。
奴は乱戦の中、悠然と歩いていた。その眼の色が、いつの間にか琥珀色に変わっている。
『魔眼』だ。時を止める能力を持つ奴の相手は、同じ力を持つオレにしかできない。
その時。
里長たち四人に向けて、強力な術が飛んできた。
『守護術 堅牢・陣!』
ヤンさんが前に出て盾を構え、その術を完全に打ち消した。
「ほう……懐かしい術が飛んできたと思うたら、お主か」
里長が視線を向ける。
そこには、一人の老人が立っていた。見たところ原初の鬼族か。
その横には鬼王シュテン。青年のような外見の鬼と、一際大きい初老の男鬼も並んでいる。
「お互い年を取ったのぉ、龍王」
老人がニヤリと笑う。
四人の強力な鬼族が、里長達四人の前に立ちはだかった。
仙族軍、隊長は仙王ラファエロ。
龍族軍、隊長は龍王クリカラ。
仙人混合軍、隊長は仙王長兄ライアン。
そして王国軍第一、第二部隊はそれぞれ、レオナード王とシャルロット女王の実弟が軍隊長を務めている。
それぞれ二万づつの五軍隊で、合計十万の大軍勢だ。
ちなみにレオナード王とシャルロット女王は、王国軍上層部の猛反対を押し切り、仙族軍に所属している。相変わらず自由な人たちだ。
我が軍は、皆が聯気による浮遊術を習得している。とはいえ、十万の兵士の進軍だ。足並みを揃えるため速度はどうしても落ちる。それでも、徒歩の行軍とは比べ物にならない速度だ。午後には決戦の地である山間の平地を越えるだろう。
耳には、シャルロット女王が開発した小型通信機『インカム』が装着されている。里長以外の各軍隊長と、補佐役の数名がこれを装備している。オレもその一人だ。
ある一定以上の精度の聯気で送信が出来る仕組みだ。
仙王からの通信が飛ぶ。
『各隊長へ。わざわざ皆を集める事はせんかったが、斥候からの報告によると、敵は我々とほぼ同じタイミングで進軍を始めたようだ』
インカムから聞こえる声に、皆がざわめく。
「えっ……たまたま今日進軍を開始する予定だったのか、それともオレ達に合わせたのか……?」
「まさかとは思いますが、向こうにもこちらの動きを見ることが出来る者がいるのでは……? 仙王様と同じような能力を持つ者が」
皆が各々の考えを述べる中、仙王が冷静に言葉を継ぐ。
『何とも言えんな。はなから一日休んでそのまま出る予定だったのかもしれんし、何らかの手段で察知されたのかもしれん。だが、我が軍の方が数が多いのは事実だ。このままいけば予定通り山間の平地でぶつかるだろう。そのつもりで各軍指示を出してくれ』
通信を龍族軍に伝えると、里長が父さんに声をかけた。
「お主にとって奴らは行動を共にした仲間であろう?」
「……そうですね。気の良い奴らでしたが、中身はあの通りの悪党です。あの魔神を復活させようと画策するような奴らですから。……錬気術を奴らに指南してしまった事に、責任を感じています……」
父さんが苦い顔をする。
「気に病むでない。あの状況で、お主を責める者などここにはおらぬ」
「はい……俺は龍族です。我々に仇なす敵なら、誰であれ斬り捨てますよ」
父さんの瞳に迷いはなかった。
「左様か、ならば良い」
そして、里長は龍族の精鋭たちに鋭い目を向け、念を押すように言った。
「お主ら、いいか。周りの誰が倒れようとも、決して後ろを振り返るな。目の前の敵から目を逸らさぬ様に。一瞬の油断が死を招くぞ」
そこにいる皆が、無言で力強く頷いた。
里長が常に皆に言い聞かせていた言葉だ。戦場において、情けや迷いは自分だけでなく仲間の命をも奪う。
仙龍両軍を先陣に、オレたちは山間の平地に突入した。
そこには同時に、おびただしい数の魔族と鬼族の軍勢が布陣していた。
砂塵が舞う荒野で、両軍が対峙する。
我が軍の先頭には仙王と龍王。その両脇にそれぞれの幹部が並び立つ。
敵軍の先頭には、魔王マモンと鬼王シュテン。その脇には、不敵な笑みを浮かべるアレクサンドと、サランと呼ばれていたダークブラウン髪の仙人。そして、禍々しいオーラを放つ魔神ルシフェルだ。
あれ……?
オレは目を疑った。
敵軍の後方に、見覚えのある顔がある。
『女豹』のヴァロンティーヌさんたちだ。なぜ彼女たちがここに?
マモン達がレトルコメルス滞在中に、交流があったという事か。あるいは、脅されて協力させられているのか。
思考を巡らせる間もなく、新旧四王の睨み合いが始まった。
先に口を開いたのはマモンだった。
「お久しぶりね、仙王、龍王。この日を心待ちにしてたのよ。せいぜい楽しみましょ?」
妖艶な笑みを浮かべるマモン。
「戦を楽しむだと……? ふざけるな。貴様らの暇潰しで、どれだけの者が命を落とすと思っている。ここで再起不能になるまで叩き潰してやる」
仙王が怒気を孕んだ声で返す。
すると、アレクサンドが一歩前に出た。
「おやおや、怖い怖い。お祖父様、久しぶりだね。国外追放にしてくれたお陰で、毎日が刺激的で楽しいよ。さぁ、最高のショータイムといこうか!」
アレクサンドは自分に注目を集めるように、フワリと浮遊して大袈裟に両手を広げた。
その瞳が、怪しく輝く。
これは……不味いぞ……。
オレの脳裏に、最悪の未来が映った。
味方が味方を殺し合う、地獄絵図。
「みんなァ! 目を伏せろッ! アレクサンドの眼を見るなァ――!!!」
オレは喉が裂けんばかりに叫んだ。
『魅了眼 死の誘惑!』
アレクサンドの瞳から、妖しい波動が放たれる。
オレの声が届いた者は即座に目を伏せたが、この大軍勢だ。全員には届かない。
何より、敵の大将が前に出てきたんだ。兵士たちの視線は自然と奴に集まっていた。
「さぁ皆! 殺し合うがいいよ!」
アレクサンドと目が合った味方の兵士たちの目が虚ろになる。
彼らは無言で武器を抜き、隣にいる仲間に斬りかかった。
「うわぁっ! 何をする!」
「やめろ! 俺だ!」
悲鳴と怒号が飛び交う。
「まずい……アレクサンドの奴、あの様な力を……」
仙王が歯噛みする。
その時、エミリーが空へ浮遊した。
「私に任せて!」
エミリーは戦場を見渡せる高さまで浮上すると、頭上に太陽のような巨大な聯気の玉を作り出した。
『治療術 快癒!』
聯気の玉が弾け、光の雨となって戦場全域に降り注いだ。
圧縮と聯気で極限まで効果の上がった治癒のシャワーが、味方兵士たちを包み込む。
光を浴びた兵士たちの瞳から狂気が消え、正気を取り戻して武器を下ろした。アレクサンドの魅了の力が強制的に解除された。
同時に、同士討ちで負傷した兵士たちの傷も癒えていく。
「なっ……なんだと……?」
アレクサンドが信じられないといった表情で、空のエミリーを睨みつけている。自分の最強の手札があっさりと破られたショックは大きいようだ。
エミリーはアレクサンドに見向きもせず、地上に向かって叫んだ。
「怪我人を後ろに下げて治療して! 誰も死なせちゃダメだよ!」
同時に、メイファさんがインカムで的確な指示を飛ばす。
『各隊、負傷者を直ちに後方に下げて治療せよ! 四肢の欠損がある者は部位を確保し、適切に保存する事! ライアン隊、前線の穴埋めに増援を頼む!』
『了解!』
ライアンさんの部隊が即座に動く。
一瞬の攻防。エミリーの快癒は、精神干渉すらも「異常状態」として治療する万能ぶりを見せつけた。
敵はアレクサンドの眼の力で、開幕早々こちらの戦力を半減させ、混乱に乗じて攻め込むつもりだったんだろう。
予想外の展開に、敵の動きが完全に止まっている。
それを好機と見た里長が、圧倒的な覇気を纏って動いた。
「若造共が。身の程を知るが良い。儂が『龍王』たる所以を見せてやろう」
里長がフワリと浮き上がり、戦場の中心で軽く両手を開く。
大気がバチバチと音を立てて爆ぜる。
『雷遁 雷霆万鈞』
雷遁……?
初めて見る、雷属性の特異能力だ。
気力だけで空を駆ける程に精度を高めた『聯気』で増幅されたその術は、もはや天災だ。
黒雲が渦巻き、無数の極太の雷柱が敵軍に降り注ぐ。
『ギィヤァァ――!!』
雷鳴にかき消されそうなほどの絶叫が木霊する。
敵の前衛が吹き飛び、黒焦げになっていく。
しかし、奴らの幹部を筆頭に能力の高い者たちは、各自見たことも無い障壁や守護術を張って、降り注ぐ雷を防いでいる。
「ほう……やりおる」
里長が感心したように呟く。
一撃でかなりの数を削った。けと、敵の回復術師も優秀なようで、倒れた兵士たちに回復の光が飛んでいる。
だが、敵を襲う里長の強力無比な遁術を目の当たりにして、我が軍の士気は最高潮に達した。
仙王が剣を抜き放ち、声を張り上げる。
「仙龍連合軍! 今だ! 奴らを根絶やしにしてしまえ! かかれェ――!!」
ウォーッ! という鬨の声と共に、全軍が突撃を開始した。
互いの兵士が入り乱れる大混戦の幕開けだ。
最前線で雷遁を放った里長の傍に、シャオウさん、ヤンさん、そして父さんが駆けつけ、鉄壁の護衛陣形を組む。里長の警護はあの三人なら十分すぎるほどだ。
オレは戦場を見渡し、魔神ルシフェルを探す。
奴は乱戦の中、悠然と歩いていた。その眼の色が、いつの間にか琥珀色に変わっている。
『魔眼』だ。時を止める能力を持つ奴の相手は、同じ力を持つオレにしかできない。
その時。
里長たち四人に向けて、強力な術が飛んできた。
『守護術 堅牢・陣!』
ヤンさんが前に出て盾を構え、その術を完全に打ち消した。
「ほう……懐かしい術が飛んできたと思うたら、お主か」
里長が視線を向ける。
そこには、一人の老人が立っていた。見たところ原初の鬼族か。
その横には鬼王シュテン。青年のような外見の鬼と、一際大きい初老の男鬼も並んでいる。
「お互い年を取ったのぉ、龍王」
老人がニヤリと笑う。
四人の強力な鬼族が、里長達四人の前に立ちはだかった。
0
あなたにおすすめの小説
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる