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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
39《精霊の加護》
しおりを挟む「ふふ、団長は甘えん坊ですね」
「ふっふっふっ、俺は赤ちゃん、甘えるのが仕事だからな」
調子に乗ってる俺は第3回戦目、当たり前のように抱っこされている。
この緑髪のマドンナは、第2回戦でハーピィ化して戦ってたハピナだな、まぁ男&子持ちではあるが、美人であることには変わりない。
それも露出多めで胸も大きい、抱かれるには最高の逸材。
「団長殿、どうして俺たちを下げたのでしょうか?」
「ん? ああ、そりゃまぁお前達はかなり群を抜いた強さを持ってたからだな……あとまぁ」
「ふえぇ……団長さま~みんな痛そうですよぉ~」
このちっこくて、やたらとロリロリした可愛らしい乳白色の髪色をした女の子はまぁ、このギルド唯一の回復魔法の使い手《ミルク》
「回復魔法無しの辛さをその身で味わってもらおうと思ってな~やっぱ口で言っても固定概念ってのは中々拭えないし、あとはまぁ……回復魔法無しでもやれる、自己回復の高いお前達も抜いたって訳だ」
「……そっそうですか……ですが、所詮回復魔道士1人抜いたぐらいで対して戦況に違いは…………なっ」
なんか言い張ろうとして口を閉じるラルフである。
その視線の先は勿論、いつもなら余裕で勝てるであろう底辺ギルド相手に大苦戦を強いてる仲間たちだな。
……ふむ、やはりちょうど良かったな。
相手ギルドは見た感じ、回復魔道士4人編成した15人のギルド。
に対し、こちらは攻撃特化? まぁそういうにはかなり火力不足を感じるが……相手の攻撃部隊と同等の強さだろう、17人の冒険者達。
こいつらの言う考えが正しければ、数の理もあり余裕で勝てるんだろうがな。
「はぁ……はぁ……こいつら、どうして……」
「1人も倒せない……なんでなの!?」
勿論こうなる。当然だな。
「どっどうして!?」慌て飛び出そうとするラルフ。
「おい、今飛び出すのは団長命令違反だぞ」強制的に呼び止める。なんせこいつら……控え室で待機してる時、ありえない言葉を発したからな、その罰だ。
……にしても、回復魔道士様に対して「お前は戦いにも参加せずに後ろで遊んでるだけでいいよな~」なんて言うなんてな。
俺の知ってるユグシルト・オンラインでは絶対ありえない事だったわ。
「ふえぇ……ごめんなさい~」
なんて、ミルクもミルクで言い返さないのもあれなんだが、回復魔法の使い手ってのは、基本的に前に出ないやつの方が圧倒的に助かる。
だからむしろ、回復魔法特化の使い手で、前に出ない内気な性格なんて……理想もいいとこだからな、ミルクはこれでいいんだ。
変わる必要があるのはこいつらだと俺は思ったんだ。
「がるるるるる……団長殿、お願いします!!!! 行かせてください!!」
とはいえ、こいつのこの仲間想いなとこも……俺はかってるんだけどな。
けど今はまだ「駄目だ、お前が言っても意味は無い」
「なっ!?」驚くラルフだが、これが事実なんだから仕方ないよな。
圧倒的に不利な戦況、誰が見てももう勝てないだろう状況。
だからこそ、今ここで俺は言う。
「ミルク、お前の回復魔法の距離と範囲は?」
「ふぇ……? 私……ですか? えぇと……です、距離だとたぶん……ここからみんなのとこぐらいです、範囲は無いです、個人個人に対してでしたら……まとめて回復出来ると思うです……ふぇえ、ごめんなさい!!」
なんで謝ってんだこいつ? まぁ可愛いしいいけど。
にしても……ミルクの言い方だと、範囲回復魔法は持ってないって言うことか、でも……いや、まさかそんなこと出来るのか?
たった1人で20人近くいるメンバー全員の回復を行うという、魔力的には低いがその魔力を最低限の使用で行っている。
考えたら……まじで出来たりして……
驚く俺だがまぁ、実際出来るかは見て見なきゃわからんな、なんか自信なさげだし何かの間違いかもしれないからな。
「ならやってみろ、ミルク……お前だけ、参戦を許可する」
「……!! ありがとうございます!! みんな痛そう……すぐに回復させていただきます!!」
ミルクはそう言って手に持つ自身の小さな体より大きな錫杖を、バシッと前に突き立てた。
「天蜂の巣より滴る純然たる蜜──
傷付き倒れし者達へ、一時の安らぎ齎す印を授けよ──」
「へ!?」いや、もうこれ驚きなんだけど!?
これって白魔法使いの中でも、かなりの修練を詰んで……しかも魔法ポイントを回復にのみ前フリした人にだけ使える……ああ
そういや、回復魔法しか使えないって言ってたか?
つまりこの世界においては、ゲームと違って操作で能力の振り分けなんて不可能、この子は……この性格から、全魔力ポイントを回復魔法に振り分けたって訳なのか……そりゃまぁ、回復魔法以外使えない訳だわ、なんせこの魔法……ユグシルト・オンラインの殆どの魔法を扱えた俺でも、そんな特殊な方法でしか習得できないから使えない魔法だからな。
ミルクの手に持つ錫杖から、真っ白な輝きを放つ光の粒が、解き放たれたように闘技場に舞い上がった。
光の粒は傷付いた冒険者達目掛け一気に舞い降り、全ての冒険者の頭の上でひかりの輪となる。
……これはリザレクションと同じく、連続詠唱魔法。
今ついたひかりの輪、あれが付くだけで冒険者達の傷を癒すヒーリングと同じ効果があるんだよな。
ほんと、反則級の魔法だわ。
「……いきます!!」内気な性格のミルクだが、少し強気な声を出し気合を入れ唱え始める。
「天より産まれし神の子にして、世界を照らす光の精霊達よ──
産まれ落ちた闇の中、願う想いへ集いたまえ、さすれば我はこいねがわん、傷付き倒れる者たちへ、光を守る力を……再び立ち上がる力を与えん!!《精霊の加護》」
……まじかよ、こいつ……
ぶるっと身震いした、正直……第1詠唱だけでも使えるだけ凄すぎるってのに、第2詠唱まで唱えきりやがった。
どう考えても劣勢の状況、普通の回復では中々に間に合わないだろう。
ある程度回復させたら、ラルフとハピナを参戦させて勝たせたらいいわ。ぐらいに思ってたが……その必要も無くなったな。
「………………………」
呆然とラルフは目を点にしてその状況を眺めていた。
この魔法は、印を付けた者の肉体を一定時間の間、回復魔法をかけ続けるぐらいの効果を与える。
つまり……
「力が……みなぎってくる?」
「回復……ありがたいわ」「これはミルクの……回復魔法がこんなにも大切だったなんてな」
「「これなら……勝てる!!!」」
頭に付くひかりの輪が高回転し、その光の粒で冒険者の肉体を癒していく。
まぁ全員全回復&自動回復状態、圧倒的に戦力差がある敵ならともかく、戦闘力の差があまりない敵に対して、この魔法は……余りにも「無敵すぎるな」
でもまぁ「ふえぇ……ごめんなさいですぅ……もう、魔力ないですぅ」流石にたった1回で魔力はそこを尽きるって感じか
「ミルク、充分だ、お前はかなり凄いやつだよ」
「そっそんなことないですよぉ……」
照れてるようだが、本当にそうなんだから仕方ないだろ?
たとえミルクの魔力が尽きようが、第2詠唱まで終えたこの魔法は、一定時間の間、消えることがないし勿論回復は続く。
そして……こいつらはよーく分かったようだな。真っ先に相手の回復魔道士達を仕留めに向かった。
あとはまぁ持久戦、てなると……持続回復持ちの奴らが回復できなくなった奴らに負けるわけはない。
「ふむ、まぁ当然の結果だな」
「……よっよかったですぅ……」
錫杖にもたれかかるミルク、魔力切れってのは船酔いのような感覚に見舞われて、自分の事だけでやっとだって言うのにな。
「……ミルク、今までバカにしてきたこと……ここに詫びさせてくれ」ラルフはそう言ってミルクへ頭を下げた。
「……!? そっそんな……頭をあげてくださいです!?」
慌てるミルク、そんな状態でも仲間たちの事を気にできる、こいつは俺が思ってるよりもかなり強いやつなのかもしれないな。
……将来的に美女に絶対なる見た目してるし、今のうちに手をつけておくのも有りだな。
まっという俺はまだ、赤ちゃんなんだけどな……
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