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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
38《魔獣化魔法》
しおりを挟む拝啓、俺をこんなとこに1人で向かわせたねこのこ殿、現在第2回戦中なのですが、俺は今すっごい幸せです──
俺の身体を支えるそれなりに大きな双子山。
赤子の身体を初めて気遣ってくれてると思う、優しく包み込むように抱いてくれてるのは勿論女性の腕。
「君の名前は?」かっこよく尋ねる俺はもちろん。
「はっはい、私の名はリズです!」茶髪の女性に抱っこされている。
目の前では、うぉおおおおおお!!!! なんて、剣を振り上げ果敢に挑む冒険者達一同。
なんか「団長は見ててください!!」なんて、こいつらマジで最高だと思うわ。
それに思ったんだが……こいつら、魔力の総量とかはひと目でわかる雑魚どもなんだけどな。
下位ギルドの中でも上位のギルドに居たって事だけはある。
「行くあてのない俺たちを拾い上げてくれた団長殿にいいとこ見せる!!《魔獣化魔法・ウルフ》……がるるるる!!」
「そうね、あのセクハラ団長の元で仕事しなくていいんだもん、やる気が出るわ!!《魔獣化魔法、ハーピィ》」
かなりレアな魔法、魔獣化の使い手までいるなんてな。
ウルフ、全身が青い毛皮で彩られた、鋭い爪、鋭い牙を持つ魔物。森の狩人とも呼ばれるだけあって、障害物の多い場所でも素早い動きを可能とする。攻撃力、素早さともに高い優秀な魔物だな。
ハーピィ、元々人の姿に近い、腕に大きな翼、鷲掴みを可能とする鷹の足をもった魔物。
風の魔力に愛された魔物で、翼を振るだけで巨大な風を巻き起こす事が可能。
……ていうかあれ、水着みたいにうっすい服着てる!! なんて思ってたんだけど、この為だったんだなぁ。
第2回戦の敵ギルド、はっきり言って当たり。
1回戦で戦ったこいつら、サウザントライスの奴らより弱く、そして数も10人程度だからな。
素早いウルフの動きに追いつく奴も居なさそうだし、ハーピィの巻き起こす風を防ぐ術も無いみたいだな。
「ふぅん、あいつらの名前ってなんて言うんだ?」
「ラルフとハピナさんです、あの二人は夫婦で魔獣化魔法を扱える獣魔人なのですよ~」
ふむふむ……夫婦か、そりゃまぁ……息が合う訳だわ。
なんとかウルフの動きに付いて行こうとする敵、けれど剣を振り上げたり、魔法を使おうとすると襲い来るのは風。
砂混じりとなった砂塵は足元を掬うだけにのみならず、目に入り視界を遮ったり、唱える口に入り詠唱を遮る。
見事に取れた連携だな。
魔力は低いが……そもそも魔獣化魔法に魔力ってのは対して必要ない、必要なのは筋力とかだし、それなりに強いんじゃないのか?
今回俺のギルドに入った有象無象な奴らだが、よく見るとそれなりに伸びしろが有りそうな奴らばかりだな。
「ん? もしかしてあそこのちっこいやつ、あいつ聖魔法の中でも珍しい、光魔力を扱ってないか?」
「あの子は最年少でこの間入ってきたミルクですね、聖属性と光属性の魔法の使い手ですごい子なのですが、攻撃魔法が一切使えない残念な子ですね」
「へぇ~」
さっきから見てると、光魔力が扱えるからだろうな、遠く離れた仲間に対してピンポイントで回復を行ってる。
「ん~たぶん、お前らが今までやってこれたの、あの子のおかげだろうな~」
「へ!? そっそうなんですか!?」
いや、気付いてなかったの?? 回復特化の魔法使いってのは基本的に1人では何も出来ないという、1番優遇が悪く育つのは大変な職業だが……1人いるだけで戦力が何倍にもなる優れた職業って常識だろ??
「すっごい単純な事なんだけどな、戦闘力5分の奴らが戦うとする。回復魔道士無しの5人組、回復魔道士有りの5人組、どっちが勝つと思う?」
リズは俺が問うと少し悩んだ様子で答える。
「……えぇと、総合的な攻撃力で勝負は決まりますし、やはり攻撃人員が多い」……ふむ、こいつらの頭の中どうなってんだろ? まぁ教えたら済むだけだから別にいいけどさ
「あのな、回復魔道士が居るせいで4人対5人になって不利、なんて考えなら今すぐ捨てろ、回復魔道士が居ると4人は常に回復され、5人は戦うだけだからダメージも残れば疲労は積み重なる」
「……………あっ」
ふむ、流石にここまで言って気付かないほど馬鹿じゃなかったようだな。
ていうか……戦術の基本って本とか読まないのか? 回復を行える魔道士は編成の際、必ず1人は組まこまれるぐらい重要度が高いってのに……
ああ、もしかして……あのクソゴミ団長さんの入れ知恵か、あくまであれは団長だった訳だし、あいつが回復魔道士は役立たずだなんて、みんなに言ってたとしたら……ふむ。
「俺のギルドに入るからには、それなりの常識を知ってもらうからな……とりあえず、今言ったことは理解したか?」
「はい! 確かに……考えてみたら当然のことでした」
「わかればいいよ、とりあえず他の奴らとも学んだ事は共有する様にしてくれ、こんな雑魚戦ならいいが、猛者相手だと仲間同士がどこまで同じ知識を持ってるか、それも重要になってくるからな」
「わかりました!! ……それにしても、団長は本当に団長だったんですね」
「ん?」ああ、そういや俺って赤ちゃんだもんな、こいつらは仕事がなくて困るから藁にもすがる思いで入団したのだろうが、信用度はかなり低くて当然か
「まぁ団長だけど……基本団長らしいことはしたくない赤ちゃんでもある、だから俺を甘やかすことを許す!!」
「……はっはい! ……えと、甘やかすと言いますと……」
うわー真面目、ていうかそれ聞かれるのは中身がオッサンなだけに、言い辛いとこあるな。
「まぁ赤ちゃん見たいに扱えってことだな!」
とはいえ、俺は言っちゃうんだけどさ。
「ふふ、団長はしっかり者ですが……赤ちゃん見たいで、赤ちゃんでしたね……えぇと、では、お言葉に甘えて!! 失礼します!!」
この後、しっかりリズに甘やかされました。
撫でくり回されてる間に、第2回戦は圧勝という形で幕を閉じていたという……
……リズ、中々優秀な人材だ……
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