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ねこのこ編予告、第一章《偽りのねこのこ》
03《惨劇の始まり》
しおりを挟む15歳、ススムは勇者となり、ハルルはそのパーティに加わり、そして私は魔王となった……成人を迎えた日、あの日から少しづつ私の身体は狂っていった。
最初に訪れた変化は、周りのちょっとした変化だった。
魔王の子である私、子供に罪はないとススムの両親が救ってくれたものの、周りの人間達は私の事を避けていた。
なのに……その日から、不思議と人々は私に優しくしてくれた。
喉が渇いた、そう思えばジュースを用意してくれた。
お腹が減った、そう思えばご飯を用意してくれた。
あれが欲しいと思えば、すぐに買ってくれて、どこかに行きたい……そう思うと連れてってくれた。
そんな日が続くと、私に欲しいものは何も無くなり、当然のように思ったのは……暇。
暇な毎日、平和な世界。
魔王達の記憶がある私はそんな世界でも、それを容易に考えてしまった。
「やっやめて!! やめて、そんなの私は求めてないから!!」
私は叫んだ、けれどもう……気付いたのが遅すぎた。
私は15歳となり、魔王の能力に目覚めていた事に──
「魔王様、たのしいですか? がふっ! ……たのしいで……」
自身の首を私の方を見て笑顔で切ったのは……私を育ててくれた、愛すべき……父であった。
「やだ!! やだ……いや……どうして、どうしてぇーー!!」
頭が狂いそうになった。……ちがう、あの時……私はもう狂ってしまったんだ。
御屋敷の人は私が叫ぶと次々にやってきた。
目の前で突如繰り広げられたのは大道芸。
様々な魔法を駆使し、私を慰めようとしている。
けれど私はそれを見ることは出来なかった。
泣き止む事もありえなかった。
大道芸の足元、まるで……無いような扱い、踏みつけられているのは……私とススムが父と崇める存在の……遺体。
悪いのはこの人達ではない。
悪いのは全部自分。
魔王と化した私は無意識に洗脳魔法を放っていた。
そして、私は……運悪く……歴代魔王の中で、最も優れた才能を持つ魔王だったらしい。
人々の心の1片も残すこと無く洗脳してしまい、人々はただ私の言う事に素直に従っただけだった。
「やだ……やだやだやだやだやだやだ!!!! みんな……みんなどっかいって!! 私の目の前から消えてぇーー!!」
ぽとっぽとぽとぽと……
「え──」自分の目を疑った。
目の前には、自分の首を……何故か切り落とした人達が立っている。
ばさっと、時間差で倒れていく人々の身体。転がる顔は苦痛に満ちる痛々しい表情……などではなく、何故か私の方を笑顔で見ている。
「………………………」
私の感情はぶつりと、無くなった。
もう何も考えない……もう何もしたくない。
私はもう……私を捨てる。
黒い胸の中に秘められたもやもやしたもの、小さい頃からこれはずっと外に出ようとしていた。
でもこれを抑える気力ももう無い。
勝手にしたらいい、みんな死ぬんだ。私なんかを救った人間が悪いんだ。私は……私を……生かした、みんなが憎い。
おぞましい黒いもやは次第に大きくなり私を取り込んだ。
ススムにいつまでもガキンチョ~とからかわれた身体は一気に成長を遂げ、まるでおとぎ話に出てくるサキュバスクイーンの様に妖美で美しい身体になった。
ススムに唯一褒められたエメラルドみたいな目、目の前に転がる惨状を映すように真っ赤に染まった。
頭に着いた、可愛いなーってはるるに言われて嬉しかった小さな角、……こんな醜い魔王の角になってしまった。
「どうして……どうして、私は……」
声も、顔も、体も……私は完全に魔王になってしまったらしい。
「……もう、ススムにもハルルにも……会えない──」
暗雲が心を染める。
私はもう……死にたい──
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