《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

文字の大きさ
49 / 82
ねこのこ編予告、第一章《偽りのねこのこ》

03《惨劇の始まり》

しおりを挟む

15歳、ススムは勇者となり、ハルルはそのパーティに加わり、そして私は魔王となった……成人を迎えた日、あの日から少しづつ私の身体は狂っていった。

最初に訪れた変化は、周りのちょっとした変化だった。

魔王の子である私、子供に罪はないとススムの両親が救ってくれたものの、周りの人間達は私の事を避けていた。
なのに……その日から、不思議と人々は私に優しくしてくれた。

喉が渇いた、そう思えばジュースを用意してくれた。

お腹が減った、そう思えばご飯を用意してくれた。

あれが欲しいと思えば、すぐに買ってくれて、どこかに行きたい……そう思うと連れてってくれた。

そんな日が続くと、私に欲しいものは何も無くなり、当然のように思ったのは……暇。

暇な毎日、平和な世界。
魔王達の記憶がある私はそんな世界でも、それを容易に考えてしまった。

「やっやめて!! やめて、そんなの私は求めてないから!!」

私は叫んだ、けれどもう……気付いたのが遅すぎた。

私は15歳となり、魔王の能力に目覚めていた事に──

「魔王様、たのしいですか? がふっ! ……たのしいで……」

自身の首を私の方を見て笑顔で切ったのは……私を育ててくれた、愛すべき……父であった。

「やだ!! やだ……いや……どうして、どうしてぇーー!!」
頭が狂いそうになった。……ちがう、あの時……私はもう狂ってしまったんだ。

御屋敷の人は私が叫ぶと次々にやってきた。

目の前で突如繰り広げられたのは大道芸。
様々な魔法を駆使し、私を慰めようとしている。

けれど私はそれを見ることは出来なかった。
泣き止む事もありえなかった。

大道芸の足元、まるで……無いような扱い、踏みつけられているのは……私とススムが父と崇める存在の……遺体。

悪いのはこの人達ではない。
悪いのは全部自分。
魔王と化した私は無意識に洗脳魔法を放っていた。
そして、私は……運悪く……歴代魔王の中で、最も優れた才能を持つ魔王だったらしい。

人々の心の1片も残すこと無く洗脳してしまい、人々はただ私の言う事に素直に従っただけだった。

「やだ……やだやだやだやだやだやだ!!!! みんな……みんなどっかいって!! 私の目の前から消えてぇーー!!」

ぽとっぽとぽとぽと……

「え──」自分の目を疑った。

目の前には、自分の首を……何故か切り落とした人達が立っている。

ばさっと、時間差で倒れていく人々の身体。転がる顔は苦痛に満ちる痛々しい表情……などではなく、何故か私の方を笑顔で見ている。

「………………………」
私の感情はぶつりと、無くなった。

もう何も考えない……もう何もしたくない。

私はもう……私を捨てる。

黒い胸の中に秘められたもやもやしたもの、小さい頃からこれはずっと外に出ようとしていた。
でもこれを抑える気力ももう無い。
勝手にしたらいい、みんな死ぬんだ。私なんかを救った人間が悪いんだ。私は……私を……生かした、みんなが憎い。

おぞましい黒いもやは次第に大きくなり私を取り込んだ。

ススムにいつまでもガキンチョ~とからかわれた身体は一気に成長を遂げ、まるでおとぎ話に出てくるサキュバスクイーンの様に妖美で美しい身体になった。

ススムに唯一褒められたエメラルドみたいな目、目の前に転がる惨状を映すように真っ赤に染まった。

頭に着いた、可愛いなーってはるるに言われて嬉しかった小さな角、……こんな醜い魔王の角になってしまった。

「どうして……どうして、私は……」
声も、顔も、体も……私は完全に魔王になってしまったらしい。

「……もう、ススムにもハルルにも……会えない──」

暗雲が心を染める。
私はもう……死にたい──




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...