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ねこのこ編予告、第一章《偽りのねこのこ》
02《大賢者様の子孫》
しおりを挟む魔王の子孫である私にはススム以外に友達が居なかった。
けど……
「泣いてるの?」
「ふぇ? ……だれ?」
あの日、私は自分が魔王だと言うことに、御屋敷の誰も来ない場所でこっそり泣いてたんだけど……彼女は現れた。
「ボクはハルだよぉ?」
「……? 女の子?」
コクコクと頷く彼女の名はハル。
後で知ったんだけど、大賢者様の子孫にあたる女の子。
♢
ススムは勉強ばかりで忙しく、私は暇をしてる日が多かった。
そんな日は決まって御屋敷の庭にあるお花畑に来ていた。
「お名前は無いの?」
「……ちがうの、私……魔王の子孫だから、名前は言ったらダメって……」
「そうなんだ……でも、ボクは君と友達だから……お名前で呼びたかったかも……」
「ふぇ!?」
驚く私、仕方ないよね? 私は魔王の子孫なんだよ? ススムもそうだけど……どうして沢山人を殺した忌まわしい生き物の子供の私に、こんなこと言えるんだろう?
「えっ!? ボッボク……友達じゃなかったの……」
それに、なんでハルは泣きそうになってるの?
訳が分からない、分からないけど……でも、嬉しい。
そう思ってしまって、私はまだ当時は子供で……だから許されない事をしてるって言う事に気が付かなかった。
「えと、ねっねこのこ!! なっなんか……ススムが、チビで泣き虫だからって……私の事、そう呼んでる……むぅ」
考えてみたら、ススムって私の事……絶対女の子として見てないよね!! まぁ……私は魔王だし、仕方ないけどさ……
「ねこのこちゃん!! 可愛いお名前!! えと……名前を教えてくれたってことは、友達で……いいのかな?」
「うっうん!」お名前じゃないけど……本名はお父様にダメって言われてたし、仕方ないよね?
ちなみに私の本名はススムも知らない。
魔王である私の名前には呪い? があって……その名前を呼ぶだけで耐性の無い人間、子供なんて当然呪われるとか……
だから本当はちゃんとお名前で呼んで欲しいけど、ススムにも内緒にしてる。
「えへへ、ねこのこちゃんって魔法使えるの?」
「私は魔法ダメって言われてるから使えないの」
「ふぇ~そうなんだ、でもどうしてなんだろ~?」
「んと、私の魔法……とっても危ないって、使うならおっきくなって、魔法を制御できるようにならなくちゃなんだって」
「えぇ~ねこのこちゃんの魔法って凄いんだね~大勇者様に言われるなんてすっごいよ! ならボクはねこのこちゃんが魔法使えないうちにたっくさん練習して追い付かなきゃ!」
「ハルは大賢者様の子孫だっけ? だったらねこのこより絶対すごくなるよ!!」
「うん!! ボクねこのこちゃん大好き! 大きくなって困ってたら、絶対助けてあげるからね!!」
「ふぇ!? ……だっだめだよ、私はとっても悪い魔王になっちゃうから……」
「そうなの?」
「うん……でも、それなら……ハル、私のお願い……聞いてくれる?」
「いいよ!」
「えへへ、あのね……もし、私がわるーい魔王になったら……ススムに倒されるの嫌だから……だから、ハルにお願いしたいの……」
「? ねこのこちゃんは悪くならないよ? とっても可愛いし、とっても良い子だもん!」
「かっかわいい……えへへ、でも私は魔王だし……」
「んーなら、ボクはねこのこちゃんが悪くならない魔法を使えるように頑張るね!」
そうなったらいいな。でもね……ごめんねハル。
私は私の中のこの黒い何かを1番知ってるんだ……でもハルがそう言ってくれるの、とっても嬉しいよ。
……ハル、とっても大好き。
あれからすぐに親友って呼んでくれたよね。
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