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トンズラ
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しおりを挟む先輩の命令は絶対!
俺は波多野先輩から憂(う)さ晴らしの暴力や不条理な命令を日々受けている。
だけどね、こういう悪の連鎖。つまり波多野にやられた理不尽を、俺の下の青ちゃんにも放つと、いずれ後輩ができる青ちゃんもその下の後輩に悪を伝播(でんぱ)する。
こういう浅はかで身勝手かつ悪の連鎖。
俺はこの連鎖を自分の代で好転させると決めた。
本人にとって目上の人というものは、やっぱり尊敬できて、その人について行きたいと思わせる人柄であるべきなんだと思う。
まあ、俺は俺自身が大した人間じゃないことは分かっている。
分かっているが、志(こころざし)だけは高くもちたい。
この店で唯一尊敬できる店長が、波多野の悪態を見透かし、俺に言った言葉がある。
『腐るなよ』
凄く短いこの言葉、だが睡眠時間4時間で休憩も無く、タコ部屋暮らしの出来損ないである俺には響(ひび)いた。だからこそ響いた。
店長は俺の劣悪な生活環境を理解している。
腐らない!
俺は15歳。
今は修行の身なんだ。
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