好感度マイナス999%の勇者だけど、幼馴染の巫女は崇拝されている

hijikichiiiiii

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第2話「勇者、民衆に讃えられたい」

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――王都 冒険者ギルド――

「なぁリリエル、これってどう考えてもおかしいよな?」

俺はギルドの掲示板を見つめながら、信じがたい気持ちで口を開いた。

「ううん、普通の依頼だよ?」

隣のリリエルは、神託の巫女らしい清らかな微笑みで頷く。

《討伐依頼》:王都近郊のスライム討伐
報酬:5銀貨/1体
依頼人:農民ギルド

「……いや、俺、勇者なんだが?」

「うん、そうだよ?」

「魔王を討つために召喚された勇者が、スライム退治から始めるのってどう考えても変だろ!?」

「でも、王様に言われたでしょ? 『まずは民の信頼を得よ』 って。」

「それが納得いかねぇんだよ!!」

俺は王城を出た瞬間から民衆に忌避されていた。

最初は気のせいかと思った。

だが、宿屋では部屋を貸し渋られ、露店では露骨に売り渋られられ、道行く人々は俺を見るたびに顔をしかめる。

そのくせ――

「リリエル様! 今日もお美しい!」
「巫女様、お困りごとはありませんか?」
「私どもでお手伝いできることがあれば何なりと!」

リリエルに対する民衆の対応は180度違った。

「……お前、王都の人間からめちゃくちゃ好かれてるよな?」

「そ、そうかな?」

「俺とお前、なんでこんなに扱いが違うんだよ……。」

「うーん、たぶん……巫女だからかな?」

神託の巫女――オラクル。

神の意志を代弁し、未来を予言し、人々の信仰の中心に立つ存在。

「神託の巫女はね、昔から人々の信頼を集める役職なんだよ。だから、自然とこういう扱いになってるのかも……?」

「逆に俺は、信頼がなさすぎるってことか……。」

「……うん。」

リリエルが申し訳なさそうな、なんとも形容し難い表情で頷いた。

「でも、王様も言ってたでしょ? 勇者として認めてもらうために、地道に信頼を積み重ねていくしかないって。」

「……くっ、俺は本来、讃えられるべき存在なのに……!」

俺の矜持は、民衆に讃えられる勇者であることだ。

「よし、やるぞ!」

「えっ、本当に!?」

「ああ、好感度を上げるためなら、スライム退治でも何でもやってやる!」

こうして、俺の情けない初仕事が始まった。



――王都郊外 スライム出没エリア――

「……いるな。」

「うん、10体くらいいるね。」

草むらの向こうで、ゼリー状の青いスライムがぴょこぴょこと跳ねていた。

スライム。

異世界モノでは定番のザコモンスター。

普通なら、剣を一振りすれば倒せる相手なのだが――

「俺、剣も魔法も使用の禁止令が出されてるんだよな……。」

「うん、王様に『好感度最低の勇者が必要以上に国民に迷惑をかけたら困る』って言われてね……。」

「俺、そんなに信用されてないのか……?」

「……と、とりあえず、シンのスキルで戦おう?」

「はぁ……仕方ねぇ……。」

俺はスキル一覧を開く。



・《精密小石投擲》(どんな状況でも的確に小石を投げられる)
・《雑草操作》(雑草を少し生やせる)



「……うん、クソみたいな選択肢しかねぇ。」

「が、がんばって!」

「っしゃあ! いくぞ!」

俺は地面に落ちていた小石を拾い、スライムに狙いを定め、力を込めて拾った小石を指で弾いた。

ヒュッ!

パシィッ!!

「ぴぎゅっ!?」

「……お?」

スライムの中心――いわゆるコアの部分に直撃し、スライムが震えながら地面に溶けていく。

「えっ!? 小石で倒せたの!?」

「お、おお!? これ、意外と使えるんじゃね!?」

俺は調子に乗って、連続で小石を投げた。

ヒュッ! ヒュッ! ヒュッ!

パシィッ! パシィッ! パシィッ!

「ぴぎゅっ!?」

「ぐぼっ!?」

「ぺぎぇぇぇ!!」

次々とスライムが消滅していく。

「……やるじゃん、シン!」

「ふっ、まぁな……!」

こうして、俺は「小石だけでスライムを狩る勇者」という前代未聞の称号を手に入れたのだった。




《ゴミスキルを獲得しました》

《水分吸収》
【効果】少量の水分を吸い上げて掴むことができる。



「いらねぇぇぇぇ!!!」

だが、確実に俺の好感度は上がっている。

「ねえ、シン!」

リリエルが嬉しそうにステータス画面を覗き込む。

「ほら、好感度が-999%から-990%になってるよ!依頼を達成したことで国民からの好感度が少し上がったのかな?」

「いやいやっ!変化がミリ単位すぎるだろ!!!」

俺は天を仰いだ。

「……いいか? 俺は、勇者なんだぞ。」

「う、うん。」

「民衆に讃えられ、名声を轟かせるために戦ってるんだ!」

「……うん。」

「このまま、スライム退治なんてやってていいのか!?」

「……でも、シンが讃えられるには、こうやって少しずつ信頼を得るしかないよ?」

「……ッ!!」

ぐぬぬ……。

確かにリリエルの言う通りだ。

好感度が低すぎるせいで、俺は勇者として認められてすらいない。

だが、このまま雑用をこなし続けていては、ゴミスキルのコレクションが増える一方だ。

「くそっ、どうすればいいんだ……!」

俺は悩みながらも、好感度を上げる道を模索することを決意したのだった。

次回予告:第3話「勇者、早くも水不足になる」

・次の依頼は「井戸掃除」
・ゴミスキル《水分吸収》、まさかの活躍!?
・勇者、またしても嫌われる!?
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