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第五話
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不浄の輩が消え去った後の静寂は、重く、どこか物悲しく離れを支配していた。
晴明はマコを寝所の柔らかな寝台に横たえると、すぐさま家宝の蔵から、歴代の当主さえも触れることを許されなかった伝説の霊薬「白蓮の雫」を取り出してきた。
それは、古の神代において傷ついた神獣の毛並みを癒したと伝えられる、奇跡の滴である。
晴明の瞳は、いまだに濡れていた。
その震える指先が、マコの焦げた耳筋をなぞる。
「……私の慢心だ。これほどの至宝を預かる身でありながら、わずか数寸の毛先を守りきれなかった。万死に値する、許し難い失態だ」
「晴明様、もう、自分を責めないでくださいませ。私は無事なのですから……」
マコが言葉をかけるが、晴明の耳には届いていないようだった。
彼は神聖な儀式を執り行う司祭のような手つきで、霊薬を「神撫での櫛」に一滴だけ落とした。
その瞬間、室内には天界の楽園を思わせる、清冽な花の香りが満ち溢れる。
晴明はゆっくりと、マコの焦げた部分に櫛を当てた。
単に毛を整えるのではない。
彼は己の莫大な霊力を、霊薬の力を媒介にしてマコの耳の毛の一本一本へと流し込んでいた。
本来であれば数ヶ月を要する毛の再生を、自らの寿命を削るほどの莫大な気と霊薬の力で数秒に圧縮していく。
それは、凄まじい集中力を要する作業だった。
彼の額には大粒の汗が浮かび、白磁のような肌は微かに紅潮している。
マコは、その横顔をただ見つめることしかできなかった。
月明かりに照らされた晴明の姿は、狂気的でありながら、あまりに美しく、ひたむきだった。
これほどまでに必死に、ただ一つの目的のために己を削る男を、マコは他に知らない。
「……消えていく。穢れが、消えていくぞ」
晴明が歓喜に震える声を漏らした。
霊薬の輝きが焦げた毛先を包み込み、炭化していた部分が霧散するように消えていく。
代わりに、以前にも増して艶やかな、黄金色の新たな毛が芽吹くように再生していった。
再生の衝撃が、甘やかな刺激となってマコの脳を揺さぶる。
晴明の指が、再生したばかりの産毛を、宝物を慈しむように何度も、何度も愛撫した。
「ああ……。戻った。いや、以前よりも密度が増し、光の屈折さえも完璧なものに昇華されている。マコ、お前の耳は、もはやこの世の理を超えた」
晴明は安堵のあまり、そのままマコの膝元に崩れ落ちた。
最強の陰陽師と呼ばれた男が、ただ一握の毛並みが元通りになったというだけで、まるで幼子のように安堵の吐息を漏らしている。
その姿を見た時、マコの胸の奥で、何かが熱く、激しく波打った。
最初は他人には無関心の、冷酷な男だと思っていた。
そしてただの「もふもふ変態」だと思っていた。
けれど、彼はこれほどまでに私(の耳)を大切に想い、命を懸けて守ってくれた。
たとえその愛の形が、人とは少し、いや、決定的にズレていたとしても。
「晴明、さま……」
マコは、意識せずとも手を伸ばしていた。
晴明の、汗に濡れた前髪をそっとかき上げる。
至近距離で見つめ合う二人。
晴明の瞳に宿る、深い、底なしの執着と、それ以上に純粋な献身。
それらに触れた瞬間、マコの心臓は、これまでにないほど強く、熱い鼓動を刻んだ。
「私……私、晴明様のことが……」
言葉にしようとした瞬間だった。
マコの尾てい骨のあたりで、内側から突き上げてくるような、強烈な開放感と熱量が発生した。
耳の時とは比べ物にならないほど、莫大で、芳醇な妖力の奔流。
それは、彼に対する愛しさと、守られたことへの感謝が、封印の最後の一片を完全に焼き切った証だった。
──ボフッ
静かな室内に、耳よりもずっと大きな、重厚な音が響き渡る。
マコの着物の裾を豪快に撥ね除けて、そこから一本の、巨大な「光の塊」が飛び出した。
それは耳と同じく、黄金色に輝く、圧倒的な存在感を放つ妖狐の尻尾。
絹を万枚も重ね合わせたような密度、太陽の欠片を編み込んだような輝き、そして、一本一本の毛が独立して意志を持っているかのように美しく波打つ、究極の尾だった。
「……あ」
マコは、あまりの気恥ずかしさに顔を真っ赤にして固まった。
心が高ぶると、尻尾までが勝手に出てきてしまうなんて。
「……っ!」
晴明の反応は、劇的だった。
彼は膝をついた姿勢のまま、雷に打たれたかのように硬直した。
その瞳は、眼前に現れた「黄金の噴水」とも呼ぶべき美しさに、完全に奪われていた。
「これ、は……。何という、ことだ。私は、私は夢を見ているのか」
晴明の指が、震えながら尻尾の先端へと伸びる。
マコは逃げようとしたが、身体が熱くて力が入らない。
晴明の指先が尻尾の毛に触れた瞬間、彼は感極まったように、その場に平伏した。
「耳だけでも奇跡だと思っていたのに、これほど、これほどまでの質量を持った美が隠されていたとは。……ああ、神よ。冷泉家の数千年の祈りは、今日、この瞬間のために捧げられてきたのだな」
「晴明様、あの、あんまり見ないでくださいまし! 恥ずかしい、です……」
「恥じることなど何もない! マコ、お前は今、この世界で最も崇高な存在になった。……さあ、その尻尾を私の手に。この夜が明けるまで、いや、永遠が尽きるまで、私が一毛の乱れもなく、極上の輝きへと磨き上げ続けてやろう」
晴明は、もはや一寸の迷いもない動作でマコの腰を引き寄せた。
そして、現れたばかりの巨大な尻尾を抱きしめるようにして、狂おしいほどの情熱を込めたブラッシングを再開した。
「は、ひゃあ……っ、晴明様、そこは……ああっ!」
マコの甘い悲鳴が、月夜の離れに響き渡る。
その声は、かつて感じていた恐怖の色を失い、代わりに逃れられない愛着と、とろけるような幸福感に満ちていた。
最強の陰陽師と、至高の毛並みを持つ妖狐。
二人の新生活は、まだ始まったばかりだ。
晴明の「ブラッシングという名の愛」は、これからも日々、その重さと熱量を増していくことになるだろう。
マコは、彼の指先から逃れられないことを悟りながら、その官能的な安らぎの中で、ゆっくりと瞳を閉じた。
黄金の尻尾が、満足げにゆらりと揺れた。
(完)
晴明はマコを寝所の柔らかな寝台に横たえると、すぐさま家宝の蔵から、歴代の当主さえも触れることを許されなかった伝説の霊薬「白蓮の雫」を取り出してきた。
それは、古の神代において傷ついた神獣の毛並みを癒したと伝えられる、奇跡の滴である。
晴明の瞳は、いまだに濡れていた。
その震える指先が、マコの焦げた耳筋をなぞる。
「……私の慢心だ。これほどの至宝を預かる身でありながら、わずか数寸の毛先を守りきれなかった。万死に値する、許し難い失態だ」
「晴明様、もう、自分を責めないでくださいませ。私は無事なのですから……」
マコが言葉をかけるが、晴明の耳には届いていないようだった。
彼は神聖な儀式を執り行う司祭のような手つきで、霊薬を「神撫での櫛」に一滴だけ落とした。
その瞬間、室内には天界の楽園を思わせる、清冽な花の香りが満ち溢れる。
晴明はゆっくりと、マコの焦げた部分に櫛を当てた。
単に毛を整えるのではない。
彼は己の莫大な霊力を、霊薬の力を媒介にしてマコの耳の毛の一本一本へと流し込んでいた。
本来であれば数ヶ月を要する毛の再生を、自らの寿命を削るほどの莫大な気と霊薬の力で数秒に圧縮していく。
それは、凄まじい集中力を要する作業だった。
彼の額には大粒の汗が浮かび、白磁のような肌は微かに紅潮している。
マコは、その横顔をただ見つめることしかできなかった。
月明かりに照らされた晴明の姿は、狂気的でありながら、あまりに美しく、ひたむきだった。
これほどまでに必死に、ただ一つの目的のために己を削る男を、マコは他に知らない。
「……消えていく。穢れが、消えていくぞ」
晴明が歓喜に震える声を漏らした。
霊薬の輝きが焦げた毛先を包み込み、炭化していた部分が霧散するように消えていく。
代わりに、以前にも増して艶やかな、黄金色の新たな毛が芽吹くように再生していった。
再生の衝撃が、甘やかな刺激となってマコの脳を揺さぶる。
晴明の指が、再生したばかりの産毛を、宝物を慈しむように何度も、何度も愛撫した。
「ああ……。戻った。いや、以前よりも密度が増し、光の屈折さえも完璧なものに昇華されている。マコ、お前の耳は、もはやこの世の理を超えた」
晴明は安堵のあまり、そのままマコの膝元に崩れ落ちた。
最強の陰陽師と呼ばれた男が、ただ一握の毛並みが元通りになったというだけで、まるで幼子のように安堵の吐息を漏らしている。
その姿を見た時、マコの胸の奥で、何かが熱く、激しく波打った。
最初は他人には無関心の、冷酷な男だと思っていた。
そしてただの「もふもふ変態」だと思っていた。
けれど、彼はこれほどまでに私(の耳)を大切に想い、命を懸けて守ってくれた。
たとえその愛の形が、人とは少し、いや、決定的にズレていたとしても。
「晴明、さま……」
マコは、意識せずとも手を伸ばしていた。
晴明の、汗に濡れた前髪をそっとかき上げる。
至近距離で見つめ合う二人。
晴明の瞳に宿る、深い、底なしの執着と、それ以上に純粋な献身。
それらに触れた瞬間、マコの心臓は、これまでにないほど強く、熱い鼓動を刻んだ。
「私……私、晴明様のことが……」
言葉にしようとした瞬間だった。
マコの尾てい骨のあたりで、内側から突き上げてくるような、強烈な開放感と熱量が発生した。
耳の時とは比べ物にならないほど、莫大で、芳醇な妖力の奔流。
それは、彼に対する愛しさと、守られたことへの感謝が、封印の最後の一片を完全に焼き切った証だった。
──ボフッ
静かな室内に、耳よりもずっと大きな、重厚な音が響き渡る。
マコの着物の裾を豪快に撥ね除けて、そこから一本の、巨大な「光の塊」が飛び出した。
それは耳と同じく、黄金色に輝く、圧倒的な存在感を放つ妖狐の尻尾。
絹を万枚も重ね合わせたような密度、太陽の欠片を編み込んだような輝き、そして、一本一本の毛が独立して意志を持っているかのように美しく波打つ、究極の尾だった。
「……あ」
マコは、あまりの気恥ずかしさに顔を真っ赤にして固まった。
心が高ぶると、尻尾までが勝手に出てきてしまうなんて。
「……っ!」
晴明の反応は、劇的だった。
彼は膝をついた姿勢のまま、雷に打たれたかのように硬直した。
その瞳は、眼前に現れた「黄金の噴水」とも呼ぶべき美しさに、完全に奪われていた。
「これ、は……。何という、ことだ。私は、私は夢を見ているのか」
晴明の指が、震えながら尻尾の先端へと伸びる。
マコは逃げようとしたが、身体が熱くて力が入らない。
晴明の指先が尻尾の毛に触れた瞬間、彼は感極まったように、その場に平伏した。
「耳だけでも奇跡だと思っていたのに、これほど、これほどまでの質量を持った美が隠されていたとは。……ああ、神よ。冷泉家の数千年の祈りは、今日、この瞬間のために捧げられてきたのだな」
「晴明様、あの、あんまり見ないでくださいまし! 恥ずかしい、です……」
「恥じることなど何もない! マコ、お前は今、この世界で最も崇高な存在になった。……さあ、その尻尾を私の手に。この夜が明けるまで、いや、永遠が尽きるまで、私が一毛の乱れもなく、極上の輝きへと磨き上げ続けてやろう」
晴明は、もはや一寸の迷いもない動作でマコの腰を引き寄せた。
そして、現れたばかりの巨大な尻尾を抱きしめるようにして、狂おしいほどの情熱を込めたブラッシングを再開した。
「は、ひゃあ……っ、晴明様、そこは……ああっ!」
マコの甘い悲鳴が、月夜の離れに響き渡る。
その声は、かつて感じていた恐怖の色を失い、代わりに逃れられない愛着と、とろけるような幸福感に満ちていた。
最強の陰陽師と、至高の毛並みを持つ妖狐。
二人の新生活は、まだ始まったばかりだ。
晴明の「ブラッシングという名の愛」は、これからも日々、その重さと熱量を増していくことになるだろう。
マコは、彼の指先から逃れられないことを悟りながら、その官能的な安らぎの中で、ゆっくりと瞳を閉じた。
黄金の尻尾が、満足げにゆらりと揺れた。
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