理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界に転移しました

街の人の力

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 俺とミミはダンカンさんが提供してくれた倉庫をなんとか診療所に改装しようとしていたが、さすがに2人だと少しきついなと思っていた時に、ダンカンさんが街の若い衆という名の男達を俺達の前に連れてきてくれた。

 状況が今一つ呑み込めない俺はダンカンさんに尋ねる。

「あのうダンカンさん、こちらの人達は一体どういう人達なんですか?」
「ああ、そういやあ言ってなかったな。実は俺、果物屋をやる前はこの街の警備隊長でな、こいつらは今は兵士の仕事はないが、そん時の俺の部下だ」

 ああ、なるほど、だから自分で危険地帯に行きながら、果物を仕入れつつ、怪物とも戦えたんだ。ただ昨日出くわした怪物が想定以上に強かったから、この人自身は別に無謀な人ではないんだな。

「さあ、あんちゃん、こいつらに何をして欲しいか指示を出してくれ」
「え、俺がですか⁉」
「当たり前だろ、誰の為に呼んだと思ってんだ」
「ええと、とりあえず皆さん聞いてくださーーい!」

 とりあえず俺は集まった人達にどうして欲しいかの指示を出していき、俺自身も動き、ミミも疲れているはずなのに一生懸命やってくれて、そして夕方にはなんとか改装が終わった。

 自分で最終確認を行ってみたが、何とか俺のイメージする診療所が完成した。これからここで俺はミミが治癒魔法で治した患者に対して俺のスキルで後遺症を取り除き、日常に復帰させることができるんだ。

「皆さん、本当にありがとうございました!ただ手伝ってもらったんですが、俺は皆さんに返せるものがありません。だから……」
「何言ってんだ、これから俺達はあんたの世話になるかもしんねえんだから、変な遠慮はすんな」
「ダンカンさんから話は全部聞いている、俺にも嫁と子供がいるし、あんた達がいてくれりゃあ安心だ」

 この人達はダンカンさんの話をすべて聞いたうえで、俺達を手伝ってくれたんだな、自分達が安心して暮らせるために、それなら俺とミミは頑張っていかなくてはいけないな。

 俺が密かに決意をしている中、街の人達はそれぞれ家路について行く。

「ユーイチ様、お疲れさまでした。大変でしたね」
「ミミもお疲れ様、これから夕飯を一緒に食べないか?」
「いいですね、食べましょう!」

 ミミはそう強く返答するが、次の瞬間にはっと思い出した事を俺に言う。

「あの、ユーイチ様、私の活動は事前に領主様の方に話を通しているんですが、ユーイチ様の診療所までは話が行き届いてないかと」
「それなら、どうすればいいんだ?」
「新たに許可をいただかなければいけません」

 一難去ってまた一難、今度は許可という壁が俺を待っていた。
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