理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界生活は大変です

傭兵の街

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 診療所に泥棒が入り、往診の前にセキュリティ強化の為の相談を詰所に訪れアレフさんにしたが、警備を診療所付近に増やしてもらう案は却下された。

 その代わりに別の方法があるという事を俺に告げ、俺は思わずアレフさんに聞き返す。

「それで、その方法とは何ですか?」
「傭兵を雇うというのはどうだね」
「よ、傭兵ですか?」

 傭兵って金を払って、自分の護衛とかを頼むあの傭兵のことだよな?でもこの街にそんな人っていたっけ?

「このキッコの街より少し離れるが、ボッズという街に傭兵ギルドなるものが存在する。そこで君の診療所を守ってくれる傭兵を雇うのが良いだろう」
「それはありがたいんですが、でも傭兵を雇う余裕が俺には……」
「心配いらん、君が届けてくれた診療記録とやらの報酬と例の老婆への往診に対する報酬をまず支払う。ついでだ今君が持っている診療記録もいただこう、計算が終わればそれも後日支払う」
「ありがとうございます。お金はそれでいいとして、俺がその街に行って大丈夫なんですか?」

 診療報酬で何とか俺の金欠生活は解消されそうだが、そのボッズという街に俺が行っても大丈夫かどうか不安に感じている中、アレフさんが俺に対して言葉を発する。

「私が紹介状を書こう、ボッズの街もこのキッコと同じコーロ地方だからな。その紹介状を持っていけば君の話も通りやすいだろう」
「ありがとうございます、何から何まで」
「私にできるのはここまでだ、あとは君次第だ。そろそろ往診に行った方がいいのではないのか?」
「あ、そうですね。それじゃあ行ってきます」

 俺が行きの挨拶をするとアレフさんは返答をする。

「君の往診が終わるころには紹介状が用意できるはずだから、帰りに受け取りに来るがよい」

 アレフさんの発言に俺は無言で頷き、そのまま詰所をあとにし、兵士の人と例のお婆さんと孫の家へと向かう。

 その途中で兵士の人が俺に声をかける。

「ミヤシタ殿、アレフ様は貴殿がこの街の住民の為に力を尽くしている事への感謝の意でお力添えをしているのだ。何とか診療所を守らないとな」

 確かにそうだ、この世界は俺が住んでいた日本よりも物騒だという事を今回の件で実感させられたな。だから診療所を守る為にそのボッズの街に行かないとな。とりあえず往診が終わって詰所で紹介所をもらったらミミにも相談してみるのがいいだろうな。

 そんな事を考えながら俺は例の祖母と孫の家にたどり着いていた。

 まずは今日の往診、それをこなさないとな。
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