理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界で仲間が増えました

火傷の治療

　飯屋の店主が誤って火傷をしたという知らせを受けた俺はミーザに診療所の留守を任せ、ミミと共に現場へ向かう事とし、それにゴルさんも同行を願い出て、俺達は知らせに来てくれた男の人に案内されて現場へと走っていた。

「ここだ！」

　この店屋か、店そのものが燃えている様子はないから、店主の火傷にとどまったんだな。

「う、ううう」

　唸り声が聞こえる方に移動するとそこにはうずくまっている店主らしき人物がいる。

「失礼します、『ミヤシタ・リハビリ・クリニック』のユーイチ・ミヤシタです、あなたの治療に参りました。ちょっと火傷の痕を見せてください」
「あ、ああ」

　手のひらから手首にかけて火傷の痕があるな、これはすぐに治療しないとな。

「ミミ、頼むぞ」
「はい」

　俺の声掛けに応じたミミはそのまま呪文の詠唱を行う。

「治癒の精よ、我が声を聞き、我が望みに応えよ」

　ミミの手から光が放たれていき、光が消えてから手を確認すると火傷の痕は消えていた。皮膚も元通りだ。

　そして俺は店主に手の動きを確認した。

「火傷した手はどうですか？動きますか？」
「……ダメだ、動かねえ、これじゃあ料理ができねえ」
「ご心配なく、今から後遺症を取り除きますので」

　そう言って、俺は手を店主の麻痺した手にかざしてスキル名を叫ぶ。

「最適化リハビリ！」

　俺の手からは光が放たれていき、光が消えると、再度俺は店主に手の動きを確認する。

「どうですか？」
「おお、動くぜ、ありがとよ」
「いえ、良かったです、それじゃあこれで失礼します」
「明日には治療代を持っていくから、待っていてくれ」

　その店主の発言に俺は軽くうなづいて、その場をミミ、ゴルさんと一緒にあとにし、診療所へと戻っていく。

　診療所に戻っていく途中でゴルさんが俺に話しかける。

「ユーイチ殿、あれがスキル：最適化リハビリですね」
「はい、あれが自分のスキルです」
「治癒魔法で治しきれない後遺症とやらを一瞬で取り除くなんて、今後もあなたのスキルは見させていただきます」
「はい、お師匠様のお役に立てそうでしたら」

　ザリアンさんの話をすると少し、曇った顔でゴルさんは話し始める。

「師にばかりこれまでも大きな負担があったのはひとえに我々の力不足が主な要因だと思っております、ですから私はあなたのスキルから新しい治癒魔法に少しでも役に立ちそうな事を見つけてみせます」

　偉大な師を持つと弟子はやはりというか苦労するんだな、だけど、ゴルさんからはすごい熱意を俺は感じるな。