理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界で仲間が増えました

鍛冶師の筋力低下

　ダンカンさんに教えられ、俺は鍛冶師であるギベルトさんの工房を訪れ、そこで本人と出会い、ケガで鍛冶師を続けられそうになさそうだから工房を売ることを考えていたようだが、俺はとりあえず治療を受けることを勧めてみる。

「右手の治療か、一応念の為に聞くが、勝手に来ておいて治療代をとるつもりじゃないだろうな？」
「ご安心ください、今回の治療代はダンカンさんに請求しますのでギベルト様のご負担はありません」
「そうか、まあ後でダンカンさんに返すつもりだったし、とりあえずあんたが信用できそうだと思ったから治療を受けるぜ」

　さっきの発言は俺を試すものだったのか、職人というのは拘りが強い人が多いが、とりあえず信用してくれて助かるな。

「それでは右手の後遺症を取り除きますね」
「頼むぜ」
「最適化リハビリ！」

　俺はギベルトさんの右手に光を放ち、光が消えると俺はギベルトさんに右手の状態を確認する。

「それで、右手はどうですか？」
「動く！右手が動く！」

　そう言ってギベルトさんは突如、工房に駆け込んでいったので、慌てて俺も追いかける。

　工房に入っていくと、そこではギベルトさんは鍛冶の作業をしており、トンカチのような物で鉄を叩いている。

　しばらく叩いてからトンカチと鉄を台においてから俺に声をかける。

「右手は動くんだが、どうも力の入れ具合が上手くいかねえなあ、これってどうなっているんだ？」
「多分、右手の筋力が低下しているのが原因だと思います。またリハビリという訓練をして筋力が元に戻れば違和感はなくなると思います」
「そうなのか、仕方ない、もう少し鍛冶師は休業しねえとな」
「とりあえず今の状態を確認させていただきますので、それを元にリハビリメニューを作ってまた明日訪問させていただきます」

　そして俺はギベルトさんから現在の状態を確認して、リハビリメニュー作成の為の情報を集める。

「ありがとうございました、それでは失礼します」

　そして俺はギベルトさんのもとをあとにして、診療所へと戻っていく。

　診療所に戻ると俺は今回の事をミミとミーザに報告する。

「じゃあ、また明日もギベルト様のところに行くんですね？」
「そうだな、とりあえず午後の診療が終わればダンカンさんに今日の事は話しておくよ」
「そうですね、それがよろしいかと思います」

　この時の俺はギベルトさんの筋力さえ回復すれば鍛冶師の仕事を再開できると思っていた。

　だが、今回のケガはギベルトさんに筋力低下以外の別の問題も生じ、今の俺のスキルでもフォローできない問題であった事をこの時の俺はまだ知らないのだ。