理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界で仲間が増えました

挨拶をめぐって

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 とりあえず、歓迎会用の料理は完成した。さあ、後はギベルトを待つだけだな、今日の鍛冶仕事を終えてから来るって言ってたけど、復帰早々依頼が来るって事を考えるとやっぱり相当な評判だったんだな。

 そんな事を考えていると扉をノックする音が聞こえたから俺が玄関まで行き、扉を開けるとそこにはギベルトがいた。

「悪いな、さっき納品も終わって遅くなっちまった」
「いや、大変だったろうブランク明けの鍛冶仕事は」
「ユーイチのスキルで腕前はケガの前に戻っていたけど、やっぱ怠けていたツケは簡単には戻らねえな。前なら同じ量でもそんな疲れなかったのによ」
「まあ、そこばかりは慣れるしかないのかもな。とりあえず入ってくれ、もう準備はできている」

 そう言ってギベルトを診療所内に案内し、テーブルに料理が並べられているのを見ると、ギベルトから驚嘆の声がもれる。

「すげえ、これお前達が作ったのか?」
「まあな」
「ほとんど、ユーイチ様が作って私達はお手伝いをしたにすぎませんが」
「まあ、あたしは買い物をしただけだけどね」

 ミミとミーザの言葉を聞くとギベルトから思わぬ言葉をかけられる。

「ユーイチ、お前診療所がダメになっても、料理屋を開けるんじゃないのか?」
「いやあ、さすがにそこまでは……」

 さすがにそれは無理かもな、これはあくまで今日が歓迎会だから張り切って作ったに過ぎないうえ、いちいちレシピを何度も確認していたからな。

 毎日このクオリティの料理を作り続ける自信はないかな。

「まあ、とりあえず座ってくれ、今日はギベルトの歓迎会だからな」
「おお、そうだな」

 俺に促されて、ギベルトが椅子に座り、俺達もそれぞれ椅子に座って、まずは乾杯だな。

「それじゃあまずは乾杯を……」
「まって、ユーイチ!今日はあたしが乾杯の音頭をとるよ」
「どうしたんだミーザ?」
「だって、ユーイチの乾杯の挨拶ってまた長くなりそうだもん、あたしにやらせてよ」

 マジか、そんなに俺の挨拶は不評だったのか。地味にへこむが、まあたまにはミーザにやってもらうのもいいかもしれないな。

「じゃあ、いくよ……えっと……か、かんぱーい!」

 ええ⁉何もなしか!俺を押しのけてまで何がやりたかったんだ?

 っていうか、絶対何も考えていなかっただろう。

「ミーザ、挨拶をするって言って、結局あれだけかよ!」
「あ、あんなもんでいいんだよ、挨拶なんて」
「いーや、絶対何も考えていなかっただろう」
「う、うるさいな……」

 俺とミーザが言い争いをしているとミミが間に入って仲裁に乗り出す。

「まあまあ、落ち着いてください、2人共。ギベルト様が困っていらっしゃいますよ」
「な、なあ……もう食べていいんだよな?」
「……ああ、いいぞ……」

変な空気で始まった歓迎会だけど、何とか楽しんでもらわないとな。
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