17 / 207
聖女
しおりを挟む
教会についたギン達はシスターであるルルーと名乗る女性に声を掛けられる。声を掛けられ、エイムが返答をする。
「ええと、あのお願いがあるんですがよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょうか?」
「私の父が病に倒れたんです。あなたがたなら治せるかも知れないので来ていただけないでしょうか」
「えっと、どちらまで?」
「コッポの方まで来れるでしょうか?」
エイムから突如コッポまで来てほしいという要望にルルーは戸惑って返事が遅れるが、しっかりと返答する。
「あの、コッポまで行くとなると私共としては少々難しい要望ですので、すぐにハイ、行きますという訳にはいかないのですよ」
「そ、そんな、ではどうすればよろしいんですか?」
「私が薬屋をご紹介して頂くので薬屋の主人に症状を説明していただければ…」
エイムは少し顔を伏せながらルルーに言葉を告げる。
「だめ……、なんです。私の母は魔法で薬草を調合できるんですがそれでも症状を抑えるのが精一杯なんです。もう治癒魔法を直接かける他ないんです」
「え、ええと……」
返答に困るルルーに突如ブライアンが声を上げる。
「ああ、もう!何なんだよあんたは、女の子が親父さんの為にわざわざ異国まで来てお願いしてるっていうのに、あんたら聖職者っていうより悪魔みたいじゃねえか!」
「し、失礼ですよ!我らは癒しの神ミッツ様より加護を受けその教えを忠実に守っている撲なのですよ。それを悪魔呼ばわりとはミッツ様より天罰が下りますよ」
「女の子を見捨てるのが教えってやつか!ろくでもねえ神様だな」
ブライアンはエイムを不憫に思い、ルルーに抗議したのだがルルーは自分のみならず自らが信仰する神を侮辱されて怒りを露わにする。
「言わせておけば!教会に来てわざわざ私達が信仰するミッツ様を侮辱するなんて、なんの嫌がらせ⁉それに私はこの子を見捨てるわけじゃないわ。薬屋を紹介するって言ってるのに、なんでそこまで言われなくちゃならないわけ⁉」
「それじゃあ、ダメだってこの子自身が言ってんだろうが!分かんねえ奴だなあ!」
「わ、私は……」
ブライアンとルルーが口論を続けている中、何者かが近づいて声を発する。
「ルルー、客人に対して何たる失礼な態度をとるのですか」
現れたのは物腰の柔らかそうな老人とおぼしき外見の男であった。
「し、司祭様!」
驚くルルーを尻目に、司祭はギン達に話しかける。
「皆さんようこそおいでくださいました。私はミッツ教団の司祭です。我らが同朋が大変失礼を致しました。ミッツ教を代表して謝罪させていただきます」
突如現れた司祭の第一声がルルーの発言に対する謝罪であり、一行は一瞬戸惑うが、ブライアン、続けてエイムが謝罪をする。
「あ、いや、つい感情的になっちまった。悪い」
「私も取り乱してしまいました。すみません」
深々と謝罪するブライアン、エイムであったが、司祭は笑顔で受け入れる。
「いえいえ、我らが同朋に非礼があったからこちらが謝罪するのが筋でしょう」
司祭はあくまでも非は自分たちにあるという考えだが納得のいかないルルーが抗議をする。
「ですが司祭様、こちらの少女はともかく、この男は我らが神を侮辱したのですよ。そんな者を許しておいてよろしいのでしょうか!」
ルルーの抗議に動揺を微塵も見せず司祭はルルーに言葉を掛ける。
「ルルー、私はあなたの信仰心の強さを司祭として誇りに思います。それにあなたは魔力が強く、特に癒しの魔法の素養は我が教団で1、2を争う程でしょう。もしかしたら我らの中で最もミッツ様に愛されているのかもしれませんね」
「そんな、もったいなきお言葉を」
ルルーは司祭より思わぬ絶賛を受け謙遜するが、次の瞬間、司祭より厳しい言葉を受ける。
「ですが、あなたはどうもミッツ教を信仰する者以外にあまりに狭量の態度が見える時があります。それは司祭として少し嘆かわしいですね」
「……」
思わず黙ってしまうルルーを尻目に司祭はエイムに話しかける。
「さて、お嬢さん」
「はい、なんでしょうか?」
「あなたのお父上のご病気のことですが……」
司祭がエイムに何かを告げようとしたところに、聖職者の1人が慌てて駆け込んでくる。
「た、大変です司祭様!」
「どうしました?」
「このスップに魔物が迫っています」
魔物が迫っているという事態に司祭も驚きとともに、疑問も抱いた。
「何ですと⁉ですがお待ちください。スップの防衛兵団は?」
「それがトラブルがあった模様ですぐに出撃ができないようです」
この言葉を聞いたブライアンはカールに対する憤りを露わにする。
「カールの野郎、身内同士の争いのせいで町を危機に陥らせやがって…」
この言葉を聞いたギンがブライアンに同調しつつ司祭に尋ねる。
「全くだな。ところで司祭殿、あなた方は神官戦士を抱えてるはず。その方達は?」
「現在、別の地域の魔物討伐に向かっております」
防衛戦力に乏しいスップをどうするかというところにルルーが言葉を発する。
「司祭様、私が行きます」
「お、お待ちください。あなた1人では無謀です」
「防衛兵団が出れるまで時間を稼ぐことぐらいはできます」
そう言ってルルーは飛び出していく。
町の危機に立ち上がるルルー、町を守り抜けるのか。
続く
「ええと、あのお願いがあるんですがよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょうか?」
「私の父が病に倒れたんです。あなたがたなら治せるかも知れないので来ていただけないでしょうか」
「えっと、どちらまで?」
「コッポの方まで来れるでしょうか?」
エイムから突如コッポまで来てほしいという要望にルルーは戸惑って返事が遅れるが、しっかりと返答する。
「あの、コッポまで行くとなると私共としては少々難しい要望ですので、すぐにハイ、行きますという訳にはいかないのですよ」
「そ、そんな、ではどうすればよろしいんですか?」
「私が薬屋をご紹介して頂くので薬屋の主人に症状を説明していただければ…」
エイムは少し顔を伏せながらルルーに言葉を告げる。
「だめ……、なんです。私の母は魔法で薬草を調合できるんですがそれでも症状を抑えるのが精一杯なんです。もう治癒魔法を直接かける他ないんです」
「え、ええと……」
返答に困るルルーに突如ブライアンが声を上げる。
「ああ、もう!何なんだよあんたは、女の子が親父さんの為にわざわざ異国まで来てお願いしてるっていうのに、あんたら聖職者っていうより悪魔みたいじゃねえか!」
「し、失礼ですよ!我らは癒しの神ミッツ様より加護を受けその教えを忠実に守っている撲なのですよ。それを悪魔呼ばわりとはミッツ様より天罰が下りますよ」
「女の子を見捨てるのが教えってやつか!ろくでもねえ神様だな」
ブライアンはエイムを不憫に思い、ルルーに抗議したのだがルルーは自分のみならず自らが信仰する神を侮辱されて怒りを露わにする。
「言わせておけば!教会に来てわざわざ私達が信仰するミッツ様を侮辱するなんて、なんの嫌がらせ⁉それに私はこの子を見捨てるわけじゃないわ。薬屋を紹介するって言ってるのに、なんでそこまで言われなくちゃならないわけ⁉」
「それじゃあ、ダメだってこの子自身が言ってんだろうが!分かんねえ奴だなあ!」
「わ、私は……」
ブライアンとルルーが口論を続けている中、何者かが近づいて声を発する。
「ルルー、客人に対して何たる失礼な態度をとるのですか」
現れたのは物腰の柔らかそうな老人とおぼしき外見の男であった。
「し、司祭様!」
驚くルルーを尻目に、司祭はギン達に話しかける。
「皆さんようこそおいでくださいました。私はミッツ教団の司祭です。我らが同朋が大変失礼を致しました。ミッツ教を代表して謝罪させていただきます」
突如現れた司祭の第一声がルルーの発言に対する謝罪であり、一行は一瞬戸惑うが、ブライアン、続けてエイムが謝罪をする。
「あ、いや、つい感情的になっちまった。悪い」
「私も取り乱してしまいました。すみません」
深々と謝罪するブライアン、エイムであったが、司祭は笑顔で受け入れる。
「いえいえ、我らが同朋に非礼があったからこちらが謝罪するのが筋でしょう」
司祭はあくまでも非は自分たちにあるという考えだが納得のいかないルルーが抗議をする。
「ですが司祭様、こちらの少女はともかく、この男は我らが神を侮辱したのですよ。そんな者を許しておいてよろしいのでしょうか!」
ルルーの抗議に動揺を微塵も見せず司祭はルルーに言葉を掛ける。
「ルルー、私はあなたの信仰心の強さを司祭として誇りに思います。それにあなたは魔力が強く、特に癒しの魔法の素養は我が教団で1、2を争う程でしょう。もしかしたら我らの中で最もミッツ様に愛されているのかもしれませんね」
「そんな、もったいなきお言葉を」
ルルーは司祭より思わぬ絶賛を受け謙遜するが、次の瞬間、司祭より厳しい言葉を受ける。
「ですが、あなたはどうもミッツ教を信仰する者以外にあまりに狭量の態度が見える時があります。それは司祭として少し嘆かわしいですね」
「……」
思わず黙ってしまうルルーを尻目に司祭はエイムに話しかける。
「さて、お嬢さん」
「はい、なんでしょうか?」
「あなたのお父上のご病気のことですが……」
司祭がエイムに何かを告げようとしたところに、聖職者の1人が慌てて駆け込んでくる。
「た、大変です司祭様!」
「どうしました?」
「このスップに魔物が迫っています」
魔物が迫っているという事態に司祭も驚きとともに、疑問も抱いた。
「何ですと⁉ですがお待ちください。スップの防衛兵団は?」
「それがトラブルがあった模様ですぐに出撃ができないようです」
この言葉を聞いたブライアンはカールに対する憤りを露わにする。
「カールの野郎、身内同士の争いのせいで町を危機に陥らせやがって…」
この言葉を聞いたギンがブライアンに同調しつつ司祭に尋ねる。
「全くだな。ところで司祭殿、あなた方は神官戦士を抱えてるはず。その方達は?」
「現在、別の地域の魔物討伐に向かっております」
防衛戦力に乏しいスップをどうするかというところにルルーが言葉を発する。
「司祭様、私が行きます」
「お、お待ちください。あなた1人では無謀です」
「防衛兵団が出れるまで時間を稼ぐことぐらいはできます」
そう言ってルルーは飛び出していく。
町の危機に立ち上がるルルー、町を守り抜けるのか。
続く
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる