救援隊(レスキューパーティー)『黄金の鈴』出動します!~最強賢者パーティーはダンジョンで誰かの野望をレスキューする~

高村渚

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勇者はギルドの酒場にいるか

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「……客ぅ?」

 女の影に、先程の少年の姿があった。

 ほとんど死人と化してぴくりとも動かなかったシルヴァだが、瞬間、生き返って飛び起きる。

 幸運の神はやはり自分を見放さなかったのだ!

 少年の前に滑り込んで、ひざまづいて手を合わせた。
「はじめて見る顔だよな?
 もしかして、わざわざ俺に金貸しに来てくれたの? 
 客っつーよりむしろ神? 君自身が神なの?」
「……は?」
 
 シルヴァは立ち上がると、客の少年ににやりと笑いかけ、決めポーズを取ってみせた。
「心配無用! グラータの天才賭事師ギャンブラーシルヴァとは俺様のことだ。
 すぐ倍にして、いや三倍にして返すからな!
 いや~ピンチにいきなり金貸してくれる神が降臨するとは! 
 やっぱ俺、幸運の神に愛された男だな!」
「……………………はあ?」

 何を言われているのか判らない。少年は助けを求めるように女を仰ぐ。
「あの……これが?」
 案内してきた給仕の女も、やれやれと肩をすくめた。

「そう、コレ。
 あ、シルヴァ、あんたここのツケもまだ残ってんだからね。
 早いとこ耳揃えて払っておくれよ」
「わかってるって。
 今度の勝負が本当の本番! 華麗なる大逆転劇を見逃すなよ!
 最後に笑うのは俺様さっ……!」

 シルヴァはふんぞり返って高笑いした。
 周りがはやし立てる声は、常勝賭事師ギャンブラーたる己への賞賛にしか聞こえていない。

 給仕の女は首を振って、少年の肩をぽんと叩いた。
「……悪いこと言わないよ? 
 あんた、コレに金貸すのだけはやめときな。
 『賭事師ギャンブラーシルヴァ』って言ったら、この街グラータで知らない奴はいないんだから」
「え?……えええっっっ?」

 少年は思わず、懐に大切に仕舞った金貨に手を遣った。

 
 旅立ちの日、老爺は一枚の金貨を少年の手に握らせて、こう言った。

『グラータの街に着いたら、救援隊レスキューパーティー『黄金の鈴』を頼りなされ。

 攻略の途中で大怪我を負ったり、体力が尽きてしまったり、道を見失って遭難したり……。
 迷宮に降りる前に契約を交わしたものの命に危機が迫ったとき、魔法道具アーティファクトの鈴の音に呼応し、たとえどんなに深い階層にでも駆けつけて救助する。
 それが彼ら、救援隊レスキューパーティー『黄金の鈴』でござります。

 契約金は、契約者の目標の階層を問わず、金貨一枚。

 契約者が何事もなく目的を達し、無事に地上に帰還すれば、掛けた金貨は戻りませぬ。
 ですがもし事が起き、契約者が鈴の音で呼べば……

 掛けた金貨一枚で、彼らの技倆と命を買うことができまする。

 あのものたちは、迷宮最高の救助者にして、迷宮最強の勇者。
 必ずや、貴方様のお命を、希望を守ってくれまする……!』

 周りのものすべてが離れていくなか、最後までただ一人、少年の味方でいてくれた老爺。
 まさか彼の言葉を全力で疑う日が来ようとは。

(じい……本当に、こんな輩を頼れと……?)

 少年は憮然として、『最強の勇者(=アホ認定済)』に寒い眼差しを投げた。
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