救援隊(レスキューパーティー)『黄金の鈴』出動します!~最強賢者パーティーはダンジョンで誰かの野望をレスキューする~

高村渚

文字の大きさ
8 / 43
その依頼者、無謀にすぎる

6

しおりを挟む
 かまわずきびすを返し、外へ向かう。

 事情も知らない者たちに、無責任な同情を向けられたところで、現実は何も変わらない。
 ならば、またどうしようもない現実を己の口から語って、絶望したくなかった。

 子供じみた行いを自らに言い訳するように、イシュアはつぶやいた。

「……じいも見当違いをやらかしたものだ。
 そなたらのようなものが迷宮最高の救助者にして、迷宮最強の勇者などと、ありえないことだ。
 金貨一枚を掛けるまでもない」

「何ですってえっ……?」

 パーティーへの侮辱は、アリエッタの逆鱗だ。
 ふわふわの赤毛を逆立てて、猛然とテーブルを回り込む。

「ちょっと待ちなさいよ!」

 イシュアの上衣に掴みかからんばかりの剣幕だ。

 完全に逆上しているアリエッタの袖口を、シルヴァはついと引いて止めてやった。

「そうだぞ、待ちな。
 マントを忘れてるぜ」
「そこぉ?」
「重要だろ? マントだってタダじゃねえ。
 文無し旅ならなおさらだ、王子サマともあろうお方が金貨一枚惜しむくらいのな」

 あっけらかんとした口調に苛ついたイシュアは、恨みがましさを隠せていない顔をこちらに向けた。

 シルヴァが差し出したマントに無言で手を伸ばす。
 と、いきなりシルヴァがマントを引いた。伸ばした手が宙を泳ぐ。

「な……!」

 ようやくまともにこちらを見た。
 その瞬間を逃さず、シルヴァはがっちり視線を合わせた。

「まあ、早まるなよ王子」

 シルヴァがにっと歯を見せると、なんとも愛嬌あふれる人懐こい笑みになる。

 つい引き込まれるような、理由もなく心を許してしまいそうな、無邪気な笑顔だ。

「俺たちのことは信じられねえんだろうけどさ。
 でもその家臣は信頼できる奴なんだろ?」
「無論だ」

 老爺は、存在の全てをイシュアに捧げ、尽くしてくれた。
 イシュアが幼い頃からずっと老爺は、心底からイシュアを想い、旅立ちのあの日には、涙を流して同行できない己を責めていた。
 彼が、力になれない己のせめてもの代わりにと、名指したのが救援隊レスキューパーティー『黄金の鈴』だった。

「ここはひとつ、その家臣の言葉を信じて契約していけよ。
 その家臣どのの信頼、俺たちは絶対裏切ったりしねえから、な?」

 大きな手でイシュアの両肩を叩く。

 視線を外さない。
 シルヴァの瞳の真夏の空のような明るい青がまぶしい光を放ち、イシュアの瞳の奥に淀んだ影をかき消す。

 そして一転、屈託のない全開の笑顔。

 無垢な幼な子に誘われているようだ。

 その不思議な引力に、イシュアはあっさりと白旗を揚げた。

 気まずそうに、部屋の中へと向き直る。
 そんなイシュアの背を、またシルヴァはぽんと叩いてやった。
 軽く息をつき、ギヨームも柔らかく微笑む。

「では契約内容について説明いたしましょうか」

 一同は再び席に着いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...