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リーダー、無双します
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「……さ、さすが常勝賭博師、俺様!
引きの強さは世界一だな、ふはははは!」
やや頬を引きつらせて高笑いするシルヴァに、ギヨームはじっとりと目を遣って、深く溜息をついた。
「先日も確か、毒蝙蝠の大発生を引き当てていたような……」
「天才賭博師の性だ。
カードも魔物も、俺様の強運の星の元に集ってしまうんだなあ~。
いやあ困ったもんだ! はっはっは!」
「笑っている場合か!」
気付けば坑道の壁一面に、体長十エルドほど、胴周りは大人が抱えられるかどうかという巨大な百足がびっしりと貼り付いて、赤く光る目をシルヴァたちに向けていた。(一エルド=約九十センチメートル)
金属を打ち鳴らすような音は、百足がその巨大な顎肢を打ち鳴らし、獲物~つまりシルヴァたちだ~を威嚇している音だった。
音はさらに大きく、激しくなっていく。もはや壁が見えないほど密集した百足が、その鈍く光る黒い体躯をぞわぞわと擦れ合わせ、蠢く。
と、そこまで一言も発しなかったアリエッタが、いきなり絶叫した。
「イイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その悲鳴がびりびりと坑道を揺らす。
シルヴァたちも慌てて耳を塞いだが、きいんと痛いほどの耳鳴りがした。
「わたし虫系ダメなんだから! 無理! 無理無理無理!
だからこのルートは嫌だって言ったのにいいいい!!!」
「いや~……まさかこんな群れに当たっちまうとは……。
すまんアリエッタ! このとお……」
土下座せんばかりの勢いで、必死の言い訳を始めようとしたその時、百足たちは天井から壁から一斉に、空に身を躍らせてシルヴァたちに襲いかかってきた。
「げ」
シルヴァはすかさず防御結界を敷いた。
これから起こる惨劇に備えて。
「……い」
アリエッタが、動いた。
「いいいいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!」
耳をつんざく悲鳴とともに、大きな両刃の戦斧を振り回す。
驚くべき速さで百足たちに襲いかかった刃は、その身体を覆う鋼より硬いと言われる鎧の外殻を全くものともせず叩き割る。
刃の軌跡に、黒い欠片が宙を舞う。
分断された百足の体躯が飛び散り、屍の山となって地面を埋めていく。
イシュアは、呆然としてその凄まじい戦いを見ていた。
ギヨームが場にそぐわないことこの上ない、ほのぼのした口調でつぶやく。
「いやあ、オーバーキルですなあ……」
「悪いことしちまったなあ、せっかく頑張って大発生したのに、秒で全滅じゃんこれ」
「頑張って、とは」
「けなげに、のほうがいいか?」
シルヴァに至っては、すでに魔物たちに同情すら寄せていた。
ちなみにセトラはこの騒ぎなどなんのその、シルヴァの肩で気持ちよさそうに熟睡している。
引きの強さは世界一だな、ふはははは!」
やや頬を引きつらせて高笑いするシルヴァに、ギヨームはじっとりと目を遣って、深く溜息をついた。
「先日も確か、毒蝙蝠の大発生を引き当てていたような……」
「天才賭博師の性だ。
カードも魔物も、俺様の強運の星の元に集ってしまうんだなあ~。
いやあ困ったもんだ! はっはっは!」
「笑っている場合か!」
気付けば坑道の壁一面に、体長十エルドほど、胴周りは大人が抱えられるかどうかという巨大な百足がびっしりと貼り付いて、赤く光る目をシルヴァたちに向けていた。(一エルド=約九十センチメートル)
金属を打ち鳴らすような音は、百足がその巨大な顎肢を打ち鳴らし、獲物~つまりシルヴァたちだ~を威嚇している音だった。
音はさらに大きく、激しくなっていく。もはや壁が見えないほど密集した百足が、その鈍く光る黒い体躯をぞわぞわと擦れ合わせ、蠢く。
と、そこまで一言も発しなかったアリエッタが、いきなり絶叫した。
「イイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その悲鳴がびりびりと坑道を揺らす。
シルヴァたちも慌てて耳を塞いだが、きいんと痛いほどの耳鳴りがした。
「わたし虫系ダメなんだから! 無理! 無理無理無理!
だからこのルートは嫌だって言ったのにいいいい!!!」
「いや~……まさかこんな群れに当たっちまうとは……。
すまんアリエッタ! このとお……」
土下座せんばかりの勢いで、必死の言い訳を始めようとしたその時、百足たちは天井から壁から一斉に、空に身を躍らせてシルヴァたちに襲いかかってきた。
「げ」
シルヴァはすかさず防御結界を敷いた。
これから起こる惨劇に備えて。
「……い」
アリエッタが、動いた。
「いいいいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!」
耳をつんざく悲鳴とともに、大きな両刃の戦斧を振り回す。
驚くべき速さで百足たちに襲いかかった刃は、その身体を覆う鋼より硬いと言われる鎧の外殻を全くものともせず叩き割る。
刃の軌跡に、黒い欠片が宙を舞う。
分断された百足の体躯が飛び散り、屍の山となって地面を埋めていく。
イシュアは、呆然としてその凄まじい戦いを見ていた。
ギヨームが場にそぐわないことこの上ない、ほのぼのした口調でつぶやく。
「いやあ、オーバーキルですなあ……」
「悪いことしちまったなあ、せっかく頑張って大発生したのに、秒で全滅じゃんこれ」
「頑張って、とは」
「けなげに、のほうがいいか?」
シルヴァに至っては、すでに魔物たちに同情すら寄せていた。
ちなみにセトラはこの騒ぎなどなんのその、シルヴァの肩で気持ちよさそうに熟睡している。
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