救援隊(レスキューパーティー)『黄金の鈴』出動します!~最強賢者パーティーはダンジョンで誰かの野望をレスキューする~

高村渚

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やりたいこと

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 氷漬けになった場所からほんの百エルドほど。
 岩肌に存在する転移門からシルヴァたちは帰ってきた。(一エルド=約九十センチメートル)

 出口は第一階層にある小部屋の天井である。
 もういい加減慣れたイシュアだったが、入り口と出口のあまりの落差にまた絶句した。

「…………こんなに簡単に、昇ったり降りたりして、よい……のか……?」

 どこかのパーティーが、にぎやかにしゃべりながら廊下を通っていく。
 さほど魔物を警戒することなく進める場所と、煉獄蜥蜴の住まう灼熱の場所が、門ひとつで行き来できるとは。

 目を見開いたままのイシュアに、そっとギヨームがささやいた。

「だから、不慣れな冒険者にその位置をたやすく教えるわけにはいかないのですよ」

 はっとしてギヨームの顔を見つめる。
「転移門の情報に、簡単には手に入らない値がつけられるのは、そういう理由もあるのです。
 ……門を通った瞬間に命を落としてしまうのは、売る側としてもあまりに忍びないことですから」

 穏やかに微笑む黒い瞳には、優しい光が宿っていた。

「どういうわけだか、浅い階層にある転移門ほど、深い階層に繋がってるんだよ。
 偶然存在を見つけて、発動させちまったとして、未知の転移門に飛び込む勇気のある奴だけが深層に飲み込まれる。

 創造主の悪戯……いや、性格の悪さだな」

 シルヴァは肩をすくめて首を振ってみせた。

「創造主……」
 小部屋から出た細い廊下は、数十エルドほど先で大回廊へと繋がっていた。
 地上へと昇る転移門はすぐそこだ。

 早足で転移門へと駆け出す。

 瞬間、まぶしい春の光が皆を照らしていた。

 帰りの転移門は行きの転移門と同じ、街の奥の丘にある。
 行きの門よりやや低い位置に、同じような石造りの柱が四隅に立ち、冒険者たちの生還を見守っている。

 床に描かれた転移門に差し込む太陽は、未だ南まで昇りきっていない。
 第二十七階層まで往復してきたというのに、二時間も過ぎていなかった。

 陽光の中、思い出したようにギヨームがつぶやいた。

「結局、炎蜥蜴の核石は手に入りませんでしたなあ」

「あ」、と、他の三人が揃って声を上げた。

 上位種の煉獄蜥蜴の群れとの戦いで、肝心の命題を皆してすっかり忘れていた。
 間抜けなことだ。

「煉獄蜥蜴をあんなに仕留めたんだもの、もうそれでいいじゃない。
 神殿に投げつけるなら、似たようなものでもいいでしょ?」
「それとももう一度降りるか? 王子。
 一時間もあれば一往復できるぞ?」
「いや、それは……」

 命掛けの命題だったはずが、何やら隣町へのお使いレベルの話になってきている。

 すっかり気の抜けたイシュアの腹が、ぐう、と鳴った。

 ギヨームがにこりと微笑する。

「まずは腹を満たしてから考えましょうか」

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