恋人が最強に可愛いしカッコいいし溺愛してくれるので、心臓が持ちません。

星上みかん(嬉野K)

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4 僕なら

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 ちなみに私は中二病が治っていない。別に治そうとも思っていないし、このままでもいいと思っている筋金入りの中二病である。
 林檎りんご先輩を好きになった理由も、中二病だったからという事が大きい。
 普段は小さくて可愛い先輩。適度にポンコツで天然な先輩が、いざというときに見せる自信に満ち溢れた表情。カッコいい行動。

 それらすべてが、私の中二病心をくすぐるのだ。

 それと、素直なところも好きである。

「わ……凄い……」テレビ鑑賞をしながら、先輩は興奮した様子で、「今の見た? 右にあると思ってた」

 先輩とわたしが見ているのは、とあるマジック番組である。マジック番組というか……番組の中のマジックコーナーか。とにかく、テレビの中ではマジシャンによる奇術が繰り広げられていた。

 それを見て、先輩は子供のように楽しんでいる。そんな先輩の横顔を見ているのが、私は楽しい。

 林檎りんご先輩はマジックを純粋に楽しむ人だ。トリックを見破ってやろうとか、そういうことをする人じゃない。カメラワークに文句を言ったり、どうせ台本があるとかも言わない。本当に純粋に、マジックを楽しんでいる人なのだ。

 私はその楽しみ方が好きだ。別にトリック看破やカメラワークに文句を言うことを否定するわけじゃないが、その楽しみ方は好きではない。

 こうやって純粋に楽しんでもらえると、隣にいる私としても楽しいのだ。

「凄いですね」だから、こうやって私も素直になれる。「間近で見てみたいです。そうしたら、もっと楽しそう」
「そうだね。近くでやってないかな」
「マジックショーですか……あんまり聞いたことはないですけど」

 テレビで見たことはあっても、近所でマジックショーをしているのは見たことがない。ちょっと遠出しないと見るのは難しいかもしれない。

「いっそ先輩がやってみます?」

 軽い気持ちで言った言葉だったのだが、先輩は真に受けてしまった。

「いいね……一週間待ってて。凄いの見せてあげる」
「え……でも……」
「大丈夫」完全にやる気になっておられる。「僕なら、やれるさ」

 こうやって自信家の顔を覗かせるとき、声が若干低くなるのが反則級にかっこいい。本当に心臓を揺らす声だ。寿命一日くらい縮まりそう。この調子で聞いてたらすぐに死んでしまいそうだ。

 ああ……この人の恋人になれてよかったなぁ……
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