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私と一緒に
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「……こんなもんですかね……」
酒場の主人からもらった包帯を腹部に巻いて、一応の応急処置を済ませる。なんとなく痛みが緩和して、なんとか自力で歩けるくらいには回復した。
「悪かったな」酒場の主人はもう一度私に謝罪の言葉を述べた。「俺が余計なこと言ったな……」
「いえいえ。私がアルの師匠になってなくても、結局こうなってましたよ」
どんな道筋をたどったとしても、アルは暴走していた。アルの友達が裏切るという未来に変わりはなかった。
友達が裏切る……か。そういえば……
「アルの友達はどこへ?」
確かロス……じゃなくてフォロスだっけ? ガロス? なんでもいいや。
「ああ……あいつなら逃げたぞ」
「なるほど。了解です」
アルを裏切って悪魔の血を目覚めさせて……自分は逃走か。悪くない。悪くないゲスっぷりである。私は嫌いじゃない。
「さてと……」私は酒場の長い椅子に眠るアルを見下ろして、「アルは……これからどうするんでしょうね」
暴走して、街を破壊して、おそらく人的な被害も出したであろうアル。人も……もしかしたら殺しているかもしれない。どれくらい、この街に被害が及んだのかは想像もつかない。
この街で……アルは生きていけるのだろうか。
「最悪、俺が匿うけどな」そんなことを主人は言う。「……」
何か言いたげに、酒場の主人は私を見た。しかし言葉を飲み込んだ様子で、顔をそらしたのだった。
その動作で、酒場の主人の言いたいことは読み取れた。
「私の旅に連れて行け、って言うんですか?」
「……いや……そんなことは言わないさ。あんただってこんな目にあって――」
「良いですよ。というより、無理矢理にでも連れ出そうとしてました」
「……?」やはりこの人は、私を珍獣を見るような目で見る。「……あんた……こいつに殺されかけたんだぞ? そんなやつ旅に連れてくってのか?」
それを提案しようとしていたのはどこの誰なのだか。まぁあそれはさておき。
「楽しそうじゃないですか、悪魔の血を引く弟子を連れ回すのも」
「本当に物好きだな……あんた……」
そうだろうと自分でも思う。私はアルに殺されかけたというのに、まだアルと一緒にいようと言っている。
だが、殺されかけようが関係ない。問題なのは、アルが面白い力を秘めているということだ。私の旅に彩りを加えてくれる存在だということだ。それだけで、いいのだ。
「また暴走したらどうするんだよ」
「ああ……そうですね。ソラさんに止めてもらう、ってのはどうですか?」
私が言うと、酒場の主人は目を見開いた。
「……ってことは……」
「はい」
私はアルを旅に連れ出す。その途中で、もしもアルが暴走したらソラさんに止めて貰えばいい。
ということで、私はソラさんに向き直る。そして、右手を差し出して、言った。
「ソラさん。私と一緒に旅をしませんか?」
酒場の主人からもらった包帯を腹部に巻いて、一応の応急処置を済ませる。なんとなく痛みが緩和して、なんとか自力で歩けるくらいには回復した。
「悪かったな」酒場の主人はもう一度私に謝罪の言葉を述べた。「俺が余計なこと言ったな……」
「いえいえ。私がアルの師匠になってなくても、結局こうなってましたよ」
どんな道筋をたどったとしても、アルは暴走していた。アルの友達が裏切るという未来に変わりはなかった。
友達が裏切る……か。そういえば……
「アルの友達はどこへ?」
確かロス……じゃなくてフォロスだっけ? ガロス? なんでもいいや。
「ああ……あいつなら逃げたぞ」
「なるほど。了解です」
アルを裏切って悪魔の血を目覚めさせて……自分は逃走か。悪くない。悪くないゲスっぷりである。私は嫌いじゃない。
「さてと……」私は酒場の長い椅子に眠るアルを見下ろして、「アルは……これからどうするんでしょうね」
暴走して、街を破壊して、おそらく人的な被害も出したであろうアル。人も……もしかしたら殺しているかもしれない。どれくらい、この街に被害が及んだのかは想像もつかない。
この街で……アルは生きていけるのだろうか。
「最悪、俺が匿うけどな」そんなことを主人は言う。「……」
何か言いたげに、酒場の主人は私を見た。しかし言葉を飲み込んだ様子で、顔をそらしたのだった。
その動作で、酒場の主人の言いたいことは読み取れた。
「私の旅に連れて行け、って言うんですか?」
「……いや……そんなことは言わないさ。あんただってこんな目にあって――」
「良いですよ。というより、無理矢理にでも連れ出そうとしてました」
「……?」やはりこの人は、私を珍獣を見るような目で見る。「……あんた……こいつに殺されかけたんだぞ? そんなやつ旅に連れてくってのか?」
それを提案しようとしていたのはどこの誰なのだか。まぁあそれはさておき。
「楽しそうじゃないですか、悪魔の血を引く弟子を連れ回すのも」
「本当に物好きだな……あんた……」
そうだろうと自分でも思う。私はアルに殺されかけたというのに、まだアルと一緒にいようと言っている。
だが、殺されかけようが関係ない。問題なのは、アルが面白い力を秘めているということだ。私の旅に彩りを加えてくれる存在だということだ。それだけで、いいのだ。
「また暴走したらどうするんだよ」
「ああ……そうですね。ソラさんに止めてもらう、ってのはどうですか?」
私が言うと、酒場の主人は目を見開いた。
「……ってことは……」
「はい」
私はアルを旅に連れ出す。その途中で、もしもアルが暴走したらソラさんに止めて貰えばいい。
ということで、私はソラさんに向き直る。そして、右手を差し出して、言った。
「ソラさん。私と一緒に旅をしませんか?」
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