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師匠と死神と最強と
第8話 犯人の情報とか?
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町で偶然出会ったメル・キュールという道場主。いや、元道場主。その人物の強さを見たエトワールは弟子入りを志願することになる。
「道場の処理があるから……お昼頃になったら、また来て。それから、八つ当たりに行く」
道場を燃やした犯人を探しに行くということだろう。
そういうことなので、エトワールはいったんメルと別れた。道場の後始末を手伝うと申し入れたが、作業そのものは警察がやってくれるとのこと。残りは書類やらの制作のみなので、手伝えることはないらしい。
適当に町をフラフラするが、特にやることもない。宿探しをしたいところだが、はっきり言ってお金がない。宿の前に仕事を探さなければ……
ということで、エトワールは近くの喫茶店に入店する。皿洗いでも荷物運びでも、何かしら雇ってもらおうと思ってのことだった。
「いらっしゃーい」入るなり、元気の良い女性の声が聞こえてきた。「見ない顔やね。なんにする?」
言葉に独特のなまりがある女性店員だった。
短めの黒髪。快活そうな表情。営業スマイルかも知れないが、ニコニコとした朗らかな表情。いかにも人懐っこそうな人物であった。
エトワールはなんとも格安なオレンジジュースを注文してから、
「あの……ここってバイトとか雇ってます?」
「バイト? 今は雇ってないけど……私1人で回っとるし。現状、人を雇う気はないよ」
「そうですか……」
「そうそう」女性店員は誰もいない店内を指して、「見ての通り繁盛してへんから。お給料払えるだけの儲けはないからね。バイトなら他を探し」
「……わかりました」
いきなり仕事が見つかるなんて思っていない。見つかればラッキーくらいの気持ちだったので、特に気落ちはない。
そして運ばれてきたオレンジジュースを一口飲んで、
「……!」
思わず吐き出しそうになって、なんとか表情を取り繕う。
マズイ。吐き気がする。ヘドロでも飲んだかのような味がした。どうしたらオレンジジュースがここまで酷い味になるのだろう。
格安だった理由。そして誰も客がいない理由を知った気がした。しかし飲むことができな味ではないので、我慢して飲み干すことにする。
「なぁなぁお兄さん」ヒマなのか、女店員はエトワールに話しかける。「その首飾り……高そうやね。私に売らへん?」
「これですか?」エトワールは星型の首飾りを見て、「すいません。これは売れないんです」
「そう? 結構出すけど?」
「いくら出されても売れません。妹の、形見ですから」
死んだ妹がつけていた、首飾りである。
「ああ……そうなんや。だったらええわ。無理言ってゴメンな。お詫びにオムライス作ったろか?」
「いえ……お腹いっぱいなので……」
オレンジジュースでこの味なら、オムライスはお察しである。もしかしたら美味しいかもしれないけれど……正直お腹は減っていないので、注文はしない。
「なぁお兄さん。仕事探してんの?」
「はぁ……まぁそうですね。昨日この町に来て、しばらくの間お世話になろうと思っているので」
「ふぅん……宿とかは?」
「……まだアテがありません……」
「あはは、勢いでここまで来たんやね。そういう無計画な人、嫌いやないで」
「……それはどうも……」
妹が殺されたショックと勢いで、近くの町まで出てきただけである。本当に計画はなかった。メルに出会えたのは偶然だった。
「ランキングは登録してんの?」
「昨日、登録しました」
「ほほう……つまりディビジョンDからやね。ランキングを上げれば仕事も舞い込むやろうし、がんばりや」
「はい」
ディビジョンとは、簡単に言えば強さを表す指標である。資金力やカリスマ性、指導力も含めてもランキングだが、個人武力が最重視されるのはたしかである。
さて、しばらく時間が経過して、不意に喫茶店のドアが開かれた。このお店の味の犠牲者かと思ってエトワールが振り返ると、
「……メルさん?」
「あ……」入ってきたのは、メル・キュールその人だった。「エトワールくん……」
「どうしたんですか? 書類制作がどうとか言ってましたけど……」
「……邪魔だからどっか行けって言われて……」
その言葉に反応したのは、女店員だった。
「あっはっは。メルちゃん字が苦手やもんね。書類作成なんて苦手分野やろ」
「……」メルはフイっと顔をそむけて、「エトワールくんに会えて良かった」
他意はないセリフなのだろう。一瞬だけエトワールはドキッとしてしまったが、すぐにそんな意味ではないことを悟る。
後始末が早く終わったので、予定より早い時間から八つ当たり……じゃなくて犯人探しができるということだろう。
「ルスルス。聞きたいことがある」
「なに?」ルスルス、というのがこの女店員の名前らしい。なんとも変わった名前だった。「メルちゃんの道場を燃やした犯人の情報とか?」
「……話が早くて助かる」
話が早すぎてエトワールが置いていかれている間に、ルスルスが歩き始める。そしてなにやら、カウンター内部の地面を数回叩いて、
「どうぞ。エトワールちゃんにも特別に見せてあげるわ。私のアジト」
そう言った瞬間、地面が開いた。
「道場の処理があるから……お昼頃になったら、また来て。それから、八つ当たりに行く」
道場を燃やした犯人を探しに行くということだろう。
そういうことなので、エトワールはいったんメルと別れた。道場の後始末を手伝うと申し入れたが、作業そのものは警察がやってくれるとのこと。残りは書類やらの制作のみなので、手伝えることはないらしい。
適当に町をフラフラするが、特にやることもない。宿探しをしたいところだが、はっきり言ってお金がない。宿の前に仕事を探さなければ……
ということで、エトワールは近くの喫茶店に入店する。皿洗いでも荷物運びでも、何かしら雇ってもらおうと思ってのことだった。
「いらっしゃーい」入るなり、元気の良い女性の声が聞こえてきた。「見ない顔やね。なんにする?」
言葉に独特のなまりがある女性店員だった。
短めの黒髪。快活そうな表情。営業スマイルかも知れないが、ニコニコとした朗らかな表情。いかにも人懐っこそうな人物であった。
エトワールはなんとも格安なオレンジジュースを注文してから、
「あの……ここってバイトとか雇ってます?」
「バイト? 今は雇ってないけど……私1人で回っとるし。現状、人を雇う気はないよ」
「そうですか……」
「そうそう」女性店員は誰もいない店内を指して、「見ての通り繁盛してへんから。お給料払えるだけの儲けはないからね。バイトなら他を探し」
「……わかりました」
いきなり仕事が見つかるなんて思っていない。見つかればラッキーくらいの気持ちだったので、特に気落ちはない。
そして運ばれてきたオレンジジュースを一口飲んで、
「……!」
思わず吐き出しそうになって、なんとか表情を取り繕う。
マズイ。吐き気がする。ヘドロでも飲んだかのような味がした。どうしたらオレンジジュースがここまで酷い味になるのだろう。
格安だった理由。そして誰も客がいない理由を知った気がした。しかし飲むことができな味ではないので、我慢して飲み干すことにする。
「なぁなぁお兄さん」ヒマなのか、女店員はエトワールに話しかける。「その首飾り……高そうやね。私に売らへん?」
「これですか?」エトワールは星型の首飾りを見て、「すいません。これは売れないんです」
「そう? 結構出すけど?」
「いくら出されても売れません。妹の、形見ですから」
死んだ妹がつけていた、首飾りである。
「ああ……そうなんや。だったらええわ。無理言ってゴメンな。お詫びにオムライス作ったろか?」
「いえ……お腹いっぱいなので……」
オレンジジュースでこの味なら、オムライスはお察しである。もしかしたら美味しいかもしれないけれど……正直お腹は減っていないので、注文はしない。
「なぁお兄さん。仕事探してんの?」
「はぁ……まぁそうですね。昨日この町に来て、しばらくの間お世話になろうと思っているので」
「ふぅん……宿とかは?」
「……まだアテがありません……」
「あはは、勢いでここまで来たんやね。そういう無計画な人、嫌いやないで」
「……それはどうも……」
妹が殺されたショックと勢いで、近くの町まで出てきただけである。本当に計画はなかった。メルに出会えたのは偶然だった。
「ランキングは登録してんの?」
「昨日、登録しました」
「ほほう……つまりディビジョンDからやね。ランキングを上げれば仕事も舞い込むやろうし、がんばりや」
「はい」
ディビジョンとは、簡単に言えば強さを表す指標である。資金力やカリスマ性、指導力も含めてもランキングだが、個人武力が最重視されるのはたしかである。
さて、しばらく時間が経過して、不意に喫茶店のドアが開かれた。このお店の味の犠牲者かと思ってエトワールが振り返ると、
「……メルさん?」
「あ……」入ってきたのは、メル・キュールその人だった。「エトワールくん……」
「どうしたんですか? 書類制作がどうとか言ってましたけど……」
「……邪魔だからどっか行けって言われて……」
その言葉に反応したのは、女店員だった。
「あっはっは。メルちゃん字が苦手やもんね。書類作成なんて苦手分野やろ」
「……」メルはフイっと顔をそむけて、「エトワールくんに会えて良かった」
他意はないセリフなのだろう。一瞬だけエトワールはドキッとしてしまったが、すぐにそんな意味ではないことを悟る。
後始末が早く終わったので、予定より早い時間から八つ当たり……じゃなくて犯人探しができるということだろう。
「ルスルス。聞きたいことがある」
「なに?」ルスルス、というのがこの女店員の名前らしい。なんとも変わった名前だった。「メルちゃんの道場を燃やした犯人の情報とか?」
「……話が早くて助かる」
話が早すぎてエトワールが置いていかれている間に、ルスルスが歩き始める。そしてなにやら、カウンター内部の地面を数回叩いて、
「どうぞ。エトワールちゃんにも特別に見せてあげるわ。私のアジト」
そう言った瞬間、地面が開いた。
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