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遊び人
第19話 モンスター
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注文していたオムライスを食べ終わって、少し腹休めをする。その間に、エトワールは酒場の店員に聞いてみた。
「あの……さっきの、マーチっていう人は、何者なんですか?」
「ああ……マーチちゃん?」店員は苦笑いで、「一言で言うなら、遊び人だろうね」
「遊び人?」
「うん。適当な時間に起きて、適当な時間に適当にお金を稼いで……適当に食事をして適当に眠る。まぁ、とにかく雑な人さ。ただし、腕っぷしとギャンブルは非常に強いけどね。ついでに逃げ足も早いし……まぁ、たまに今日みたいに迷惑な客を退治してくれるから、こっちは助かってるけどね」
「……そうなんですか……」
なんとも羨ましい人生だった。適当に生きて適当に死んでいく。それこそが人生の終着点のような気もする。かといって、その生き方はエトワールには合わないけれど。
「気になるのかい?」
「え……いえ、その……」強い人を見ると戦ってみたくなる、というのが本音だ。「なんとなく……」
「まぁ、マーチちゃんはかわいいからな」なんだか勘違いされたようだった。「でも、あんまりあの子に関わらない方がいい。恨みは多く買ってるだろうし……巻き込まれるよ」
「はぁ……気をつけます」
エトワールと店員の会話が終わって、今度はメルが聞く。
「さっきの子供は……」
「子供……ああ、マーチちゃんが助けた子かい?」
「そう……」
父親の言いつけで酒のおつかいに来ていた少年のことだろう。
「あの子はね……サジェスっていうんだけど」店員の顔が暗くなる。「虐待されてるんだよ。でも、誰も助けてあげられない」
「助けてあげられない?」口を挟んだのはエトワール。「それは、どうしてですか?」
「あの子の父親……名前はマグノリア。元ディビジョンSの実力者だからな」
「え……?」ディビジョンSといえば、世界でも最強クラスの実力者だ。「その人が、虐待を?」
「ああ……奥さんを亡くしてから酒浸りになってね。子供にも暴力を振るうようになった。酔っ払ってるから今はディビジョンSの実力はないだろうけど……まぁ常人より何倍も強いことに変わりはない。だから……誰も手を出せない」
「なるほど……」
店員はメルに目を移して、
「メルさん……いくらあなたが強くても、助けられないよ。ライヒトゥームのトラッシュは倒したらしいけど、ディビジョンSは別格だからね」
「……別格……」ディビジョンSには、メルも興味があるようだった。「気になっていたのだけれど……ディビジョンSはどれくらい強いの?」
「そうだね……ディビジョンSはモンスターだって、よく言われる」
「モンスター……」
「そう。魔物って意味じゃなくて、人外レベルで強いってこと。ディビジョンAとは明確に差があるんだ。あんたが戦ったトラッシュはディビジョンAでも弱いほう。あれくらいならマーチちゃんでも勝てる」
「マーチさんはどれくらい強い?」
「ディビジョンAの……どうだろう。本気出してるの見たことないから……中位くらいじゃないかな」
「……なるほど。ありがとう」メルは立ち上がって、「その人の居場所は?」
「マーチちゃんかい?」
「いや……虐待してるディビジョンS」
「……行くつもり?」
「行く。ディビジョンSの強さ……気になってた」
気になっていた……実はエトワールも気になっている。ディビジョンSはエトワールの目指す最強への道で必ず立ちふさがる人たちだ。ディビジョンSを超えなければ最強になることはできない。その人たちの強さを見ておくことは、最強への近道かもしれない。
それに、放っておけない。虐待されている子供なんて放っておくことはできない。なんとかしなければ、夜に気持ちよく寝られない。
「……」店員はこれ以上の引き止めは無意味だと思ったのだろう。「すぐ近くだよ。この辺ではかなりの豪邸の住んでる。庭に噴水がある家だから、すぐにわかると思うよ」
「ありがとう」メルは酒場を出て、エトワールに言う。「午後の稽古までには終わると思う。だから、道場で待ってて――」
「僕も行きます!」
「……わかった……」
エトワールがついてくると提案することは、メルも想定内だったらしい。だんだんとエトワールの性格を掴み始めているメルだった。
そんなこんなで、ディビジョンS……元とはいえディビジョンSとの初対面である。
「あの……さっきの、マーチっていう人は、何者なんですか?」
「ああ……マーチちゃん?」店員は苦笑いで、「一言で言うなら、遊び人だろうね」
「遊び人?」
「うん。適当な時間に起きて、適当な時間に適当にお金を稼いで……適当に食事をして適当に眠る。まぁ、とにかく雑な人さ。ただし、腕っぷしとギャンブルは非常に強いけどね。ついでに逃げ足も早いし……まぁ、たまに今日みたいに迷惑な客を退治してくれるから、こっちは助かってるけどね」
「……そうなんですか……」
なんとも羨ましい人生だった。適当に生きて適当に死んでいく。それこそが人生の終着点のような気もする。かといって、その生き方はエトワールには合わないけれど。
「気になるのかい?」
「え……いえ、その……」強い人を見ると戦ってみたくなる、というのが本音だ。「なんとなく……」
「まぁ、マーチちゃんはかわいいからな」なんだか勘違いされたようだった。「でも、あんまりあの子に関わらない方がいい。恨みは多く買ってるだろうし……巻き込まれるよ」
「はぁ……気をつけます」
エトワールと店員の会話が終わって、今度はメルが聞く。
「さっきの子供は……」
「子供……ああ、マーチちゃんが助けた子かい?」
「そう……」
父親の言いつけで酒のおつかいに来ていた少年のことだろう。
「あの子はね……サジェスっていうんだけど」店員の顔が暗くなる。「虐待されてるんだよ。でも、誰も助けてあげられない」
「助けてあげられない?」口を挟んだのはエトワール。「それは、どうしてですか?」
「あの子の父親……名前はマグノリア。元ディビジョンSの実力者だからな」
「え……?」ディビジョンSといえば、世界でも最強クラスの実力者だ。「その人が、虐待を?」
「ああ……奥さんを亡くしてから酒浸りになってね。子供にも暴力を振るうようになった。酔っ払ってるから今はディビジョンSの実力はないだろうけど……まぁ常人より何倍も強いことに変わりはない。だから……誰も手を出せない」
「なるほど……」
店員はメルに目を移して、
「メルさん……いくらあなたが強くても、助けられないよ。ライヒトゥームのトラッシュは倒したらしいけど、ディビジョンSは別格だからね」
「……別格……」ディビジョンSには、メルも興味があるようだった。「気になっていたのだけれど……ディビジョンSはどれくらい強いの?」
「そうだね……ディビジョンSはモンスターだって、よく言われる」
「モンスター……」
「そう。魔物って意味じゃなくて、人外レベルで強いってこと。ディビジョンAとは明確に差があるんだ。あんたが戦ったトラッシュはディビジョンAでも弱いほう。あれくらいならマーチちゃんでも勝てる」
「マーチさんはどれくらい強い?」
「ディビジョンAの……どうだろう。本気出してるの見たことないから……中位くらいじゃないかな」
「……なるほど。ありがとう」メルは立ち上がって、「その人の居場所は?」
「マーチちゃんかい?」
「いや……虐待してるディビジョンS」
「……行くつもり?」
「行く。ディビジョンSの強さ……気になってた」
気になっていた……実はエトワールも気になっている。ディビジョンSはエトワールの目指す最強への道で必ず立ちふさがる人たちだ。ディビジョンSを超えなければ最強になることはできない。その人たちの強さを見ておくことは、最強への近道かもしれない。
それに、放っておけない。虐待されている子供なんて放っておくことはできない。なんとかしなければ、夜に気持ちよく寝られない。
「……」店員はこれ以上の引き止めは無意味だと思ったのだろう。「すぐ近くだよ。この辺ではかなりの豪邸の住んでる。庭に噴水がある家だから、すぐにわかると思うよ」
「ありがとう」メルは酒場を出て、エトワールに言う。「午後の稽古までには終わると思う。だから、道場で待ってて――」
「僕も行きます!」
「……わかった……」
エトワールがついてくると提案することは、メルも想定内だったらしい。だんだんとエトワールの性格を掴み始めているメルだった。
そんなこんなで、ディビジョンS……元とはいえディビジョンSとの初対面である。
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