レジェンドオブカーボニア~空から落ちてきた女の子を助けたら帝国軍に追われるハメになったが、一緒に手に入れた最強の剣で無双する

天水覚理

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逃走2

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「おい! 前を走るバギー! 止まれ!」

 拡声器を使い、帝国兵は前を猛スピードで走るサヴェロに向けて停止を呼びかけるが、もちろんサヴェロは止まる訳もなく、車の間を縫うように走り抜ける。

 帝国兵達はサヴェロの運転するバギーにメリダが乗っているものと勘違いしている為、発砲する事が出来ないが、そもそもあまり目立つ事は控えたい帝国兵にとってこの状況は芳しいものではなかった。

 帝国兵達は早くサヴェロを捕らえる為、散開し、徐々に包囲していく。

「クッソ! さすがにバギーじゃ逃げきれないか」

 周りを囲まれ、少しずつ距離を詰められていくサヴェロに焦りの色が見え始める。そして、左右に並走する帝国兵の乗る車に気を取られていた時だった。

「ッ! あっぶね!」

 サヴェロの進路を塞ぐように帝国の車が横から飛び出してきた。サヴェロは慌ててブレーキをかけ、急停止する。
 その機を逃すまいと、帝国兵達は小銃を手に車から降りてくると、サヴェロに銃口を向け取り囲んだ。それを見たサヴェロは観念したのか両手を挙げバギーから降りる。

 だがしかし、ニッと不敵な笑みを浮かべたサヴェロはバギーの荷台に被せてあった布に手をかけると、それを一気に取り払った。

「! ターゲットがいない! しまった! こいつは囮だ!」

 空っぽの荷台を目の当たりにした帝国兵達に動揺が走る。その一瞬の隙にサヴェロは目の前にいた銃を構えている帝国兵に向かって疾駆する。

 まさか銃を持った相手に飛び込んでくるとは思ってもみなかった帝国兵は虚を突かれ、一瞬反応が遅れる。だが、それでも銃を構えて撃つ方が速い。普通ならばそこで撃たれて終りだった。そう、普通なら――

「なっ!」

 驚愕の声を上げたのは帝国兵だった。真正面から突っ込んできたサヴェロを撃とうとした瞬間、サヴェロはおよそ人が出せるとは思えないほどの速度まで加速し、一瞬で銃を構える帝国兵の懐に飛び込んだ。そして、流れるような動きで帝国兵の腹部に拳を叩きこむ。

 不意のボディブローで悶絶する帝国兵。他の帝国兵達は銃をサヴェロに向けようとするが、密着する味方に当たってしまう為、仕方なく銃を下すと、代わりに警棒を抜いてサヴェロに殴り掛かった。

「このクソガキ! 死ねェ!」

 サヴェロの頭をかち割らんと振り下ろされる警棒。それをサヴェロは何食わぬ顔でするりと躱すと構えた右拳を持った帝国兵の脇腹に捻じ込んだ。

 それだけに留まらず、勢いに乗ったサヴェロは後ろに続く帝国兵達に向かって突っ走る。帝国兵もサヴェロを迎撃しようと警棒を振るうが、サヴェロはその悉くを紙一重で避けると同時に、帝国兵へ反撃していった。

「クソッ! 何なんだこのガキ! 強ェ!」

 あまりのサヴェロの強さに、攻撃の手が止まる帝国兵達。それを見たサヴェロは自ら仕掛けようとはせず、逆にその場から全力で走って逃げ出した。

「あっ、逃げやがった! 待ちやがれ!」

「よせ! 追うんじゃない!」

 帝国兵はサヴェロの後を追おうとするが、そのうちの一人が皆を制止する。

「奴を追うよりも、他の隊にターゲットが逃げたことを報告して、俺達も捜索に加わった方がいい」

 その提案に他の帝国兵達は頷き、すぐに他の隊にターゲットに逃げられた事を報告すると、急いでターゲットであるメリダの捜索に戻っていった。

サヴェロは物陰に隠れ、頭だけを出して帝国兵が行った事を確認する。

「とりあえず、逃げる時間くらいは稼げたかな? さて、俺も二人と合流しなきゃ」

そう言ってサヴェロは足早にその場を立ち去った。
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