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昔話1
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今から六年前。俺が十歳だったころ、ある人と出会った。
その日も俺は好きな遺跡の見学をしていた。街から大分離れた砂漠のど真ん中、バーグさんに連れられ、遺跡の発掘作業を見ていた。すると突然、
「死にたくなければ金目の物を出せ!」
銃を持った野盗が数人、遺跡の発掘現場に押し寄せてきた。当時、まだ一つの国として独立したばかりのナウィートは治安が悪く、こうした野党がそこかしこで暴れまわっていた。
「チンタラすんな! テメェらが発掘した金になりそうなモンは全部出せ!」
野盗はこれみよがしに銃を振り回し、その場にいた作業員達を脅した。銃で撃たれたくない作業員達は大人しく野盗の指示に従い、発掘した品を全て野盗に渡していった。
野盗は銃を持って人を脅すが、命令に従えば基本的に命を奪うような事はしない。それを知っているからこそ、作業員達は無駄な抵抗はしなかった。そう、作業員達は――
「おい! 何すんだ! みんなが頑張って発掘した物を勝手に持っていくな!」
その時の俺はそんな事など知らなかったし、何より作業員達が汗水流して発掘した出土品を横取りしようとする野盗が許せなかった。
「ばっ、馬鹿! サヴェロ、何言ってるんだ!」
そんな俺の口をバーグさんが慌てて塞ぐが、既に野盗たちの耳には俺の罵倒が届いていた。
「ああ? 何だこのガキは? テメェ死にてぇのか?」
野盗の一人が、持っていた銃を俺に向ける。
「ま、待ってくだせぇ。子供の言ったことじゃねぇですか」
「知った事かよ!」
そう言うと、野盗は俺を庇うように覆い被さっていたバーグさんを蹴飛ばした。バーグさんは吹っ飛ばされ、俺と野盗との間に邪魔は無くなった。
「何て言った? クソガキ。オジサンによぉく聴こえるようにもういっぺん言ってみろ」
野盗はへらへら笑いながら銃口を俺の顔に突き付ける。
俺は別に怖くなかったわけじゃない。今にも小便をちびりそうだったし、気を抜けば泣きそうだった。それでも俺は野盗への怒りの方が勝り、恐怖で体を震わせながらも、
「何回だって言ってやる! お前らは人から横取りしかできない腰抜け共だ!」と叫んだ。
「ふー、なるほどなるど。こいつは躾のできてねぇクソガキだな」
そう言った途端、その野盗は銃身で思い切り俺の顔面をぶん殴った。一瞬何をされたかわからなかったが、後から強烈な痛みがやってきた。口の中には血の味が広がり、ただただ痛みに悶える事しかできなかった。
「調子乗ってんじゃねぇぞクソガキ!」
その野盗は大声を上げ、躊躇なく身悶えする俺を蹴り上げた。その後もその野盗は俺を足蹴にし、その怒りを発散した。
「あーあ、アイツの事を怒らせちまったか」
「アイツキレると手が付けられねぇからなぁ。バカなガキだぜ」
他の野盗達は冷笑を浮かべ、蹴飛ばされている俺を眺めている。一方、作業員達は銃を持っている相手に何もする事が出来ずただ黙って見ている事しか出来ないでいた……一人を除いては。
「待ってくだせぇ!」
バーグさんは俺と野盗の間に割って入ると、再び俺に覆い被さった。
「もう十分でしょう? これ以上やったら死んじまう!」
「ああ? オッサン何か勘違いしてねぇか? 俺は始めからそのガキを殺すつもりだ。その邪魔をしようってんならお前も死ね」
野盗は銃を構える。バーグさんは眼を瞑ってギュッと俺を抱きしめた。俺ももう駄目かと諦めた……その時だった。
「おいおい、散々ガキを痛めつけたあげく、無抵抗の奴を撃つのか。とことんクソだなお前ら」
突然の第三者の声に、その場にいた全員がその声のする方に振り向いた。皆の視線の先にいたのは、ボサボサの髪に無精ひげの顔、ぼろきれを身に纏った中年の男だった。
その日も俺は好きな遺跡の見学をしていた。街から大分離れた砂漠のど真ん中、バーグさんに連れられ、遺跡の発掘作業を見ていた。すると突然、
「死にたくなければ金目の物を出せ!」
銃を持った野盗が数人、遺跡の発掘現場に押し寄せてきた。当時、まだ一つの国として独立したばかりのナウィートは治安が悪く、こうした野党がそこかしこで暴れまわっていた。
「チンタラすんな! テメェらが発掘した金になりそうなモンは全部出せ!」
野盗はこれみよがしに銃を振り回し、その場にいた作業員達を脅した。銃で撃たれたくない作業員達は大人しく野盗の指示に従い、発掘した品を全て野盗に渡していった。
野盗は銃を持って人を脅すが、命令に従えば基本的に命を奪うような事はしない。それを知っているからこそ、作業員達は無駄な抵抗はしなかった。そう、作業員達は――
「おい! 何すんだ! みんなが頑張って発掘した物を勝手に持っていくな!」
その時の俺はそんな事など知らなかったし、何より作業員達が汗水流して発掘した出土品を横取りしようとする野盗が許せなかった。
「ばっ、馬鹿! サヴェロ、何言ってるんだ!」
そんな俺の口をバーグさんが慌てて塞ぐが、既に野盗たちの耳には俺の罵倒が届いていた。
「ああ? 何だこのガキは? テメェ死にてぇのか?」
野盗の一人が、持っていた銃を俺に向ける。
「ま、待ってくだせぇ。子供の言ったことじゃねぇですか」
「知った事かよ!」
そう言うと、野盗は俺を庇うように覆い被さっていたバーグさんを蹴飛ばした。バーグさんは吹っ飛ばされ、俺と野盗との間に邪魔は無くなった。
「何て言った? クソガキ。オジサンによぉく聴こえるようにもういっぺん言ってみろ」
野盗はへらへら笑いながら銃口を俺の顔に突き付ける。
俺は別に怖くなかったわけじゃない。今にも小便をちびりそうだったし、気を抜けば泣きそうだった。それでも俺は野盗への怒りの方が勝り、恐怖で体を震わせながらも、
「何回だって言ってやる! お前らは人から横取りしかできない腰抜け共だ!」と叫んだ。
「ふー、なるほどなるど。こいつは躾のできてねぇクソガキだな」
そう言った途端、その野盗は銃身で思い切り俺の顔面をぶん殴った。一瞬何をされたかわからなかったが、後から強烈な痛みがやってきた。口の中には血の味が広がり、ただただ痛みに悶える事しかできなかった。
「調子乗ってんじゃねぇぞクソガキ!」
その野盗は大声を上げ、躊躇なく身悶えする俺を蹴り上げた。その後もその野盗は俺を足蹴にし、その怒りを発散した。
「あーあ、アイツの事を怒らせちまったか」
「アイツキレると手が付けられねぇからなぁ。バカなガキだぜ」
他の野盗達は冷笑を浮かべ、蹴飛ばされている俺を眺めている。一方、作業員達は銃を持っている相手に何もする事が出来ずただ黙って見ている事しか出来ないでいた……一人を除いては。
「待ってくだせぇ!」
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「おいおい、散々ガキを痛めつけたあげく、無抵抗の奴を撃つのか。とことんクソだなお前ら」
突然の第三者の声に、その場にいた全員がその声のする方に振り向いた。皆の視線の先にいたのは、ボサボサの髪に無精ひげの顔、ぼろきれを身に纏った中年の男だった。
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