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新たな土地
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「おーい! 二人とも起きろ。そろそろ着くぞ」
東の空が明るみ始めた頃、ジロは毛布にくるまり甲板で寝るサヴェロとメリダを起こした。しかし、よく見てみると、毛布にくるまっているのはメリダだけで、毛布をはぎ取られてしまったサヴェロはブルブルと体を震わせ、目を覚ました。
「あーおはようジロさん。……おい、メリダ。そろそろ着くから起きろ」
サヴェロは「んー」と伸びをすると、毛布にくるまって幸せそうに眠るメリダを揺すって起こす。気持ちよく寝ていたところを起こされ不機嫌な表情のメリダだったが、東の空を見てその表情は一変する。
「わぁ、綺麗な朝日。私、こうやって朝日を見るの初めてかも」
「だろうな。メリダってめちゃくちゃ寝起き悪そうだもん」
サヴェロが突っ込みを入れると、メリダは毛布を丸めてサヴェロの顔面に投げつけた。
「ハッハッハ! 元気がいいな二人とも。だが、さっきも言った通りそろそろリーピンに着くから船を降りる準備をしてくれ」
ジロに言われた通り、サヴェロとメリダは毛布を片付けると、下船する為に各自荷物をチェックする。そうしている間に、西の方角に陸地が見え始めた。
「あれがリーピンか。隣の国だからある程度は知ってるけど、こうして訪れるのは初めてだな」
サヴェロ達を乗せた船は港に入り、ジロの操舵で接岸した。先にサヴェロが上陸し、続いてメリダがサヴェロに手を引かれる形で上陸した。
「悪いが、俺が面倒見られるのはここまでだ」
ジロは船の上からサヴェロ達に言う。
「十分だよ。ありがとうジロさん」
「本当にありがとうございます」
『私からもお礼を言わせてください。ありがとうございます』
サヴェロ達から感謝の言葉を聴いたジロは照れくさそうに頭をかく。
「いいってことよ。それよりも、お前達気を付けろよ。ここは帝国の影響力が弱いと言っても、追手が来ない訳じゃねぇ。十分に注意しとけ」
ジロの忠告を聴き、サヴェロは「わかった」と返事をする。
「よし。それじゃあ俺は引き上げるとするぞ。じゃあなお前達! 元気でな!」
ジロは船のエンジンをかけて離岸する。少しずつ離れていくジロの船にサヴェロ達は大手を振って見送った。
サヴェロ一行は、ジロと別れた後、港から街中へと移動した。早朝にも関わらず、多くの人達が街を行き来し、道路は人でごった返していた。
「いやぁ、すげえ人だな」
サヴェロは人々が行き交う街中をキョロキョロと見渡す。そうしていると、メリダがサヴェロの服を引っ張った。
「ねえ、サヴェロ。これからどうするの?」
「そうだな。とりあえず、腹ごしらえをしながら情報収集といこうか」
サヴェロ達は通りに並んで出店している屋台に向かった。リーピンでは朝食を屋台で済ませるという習慣があるため、多くの屋台があり、仕事に行く前の人達がそこで朝食を取っていた。
サヴェロ達はその中の比較的空いている屋台で朝食を食べる事にした。サヴェロは蒸しパンと鶏肉や数種類の野菜やキノコの入ったスープを注文する。質素だが、路銀を節約する為、贅沢は出来なかった。
「悪いな。豪華な食事とはいかなくって」
「ううん。私、気にしないから大丈夫だよ。食べられるだけでもありがたいし」
「そう言ってもらうと助かるよ。じゃあ、冷める前にいただきます」
メリダもサヴェロに続いて「いただきます」と言うと、パクパクと食べ始めた。勢い良く食べるメリダを尻目に、サヴェロは二口程食べたところで、情報収集を始める事にした。
東の空が明るみ始めた頃、ジロは毛布にくるまり甲板で寝るサヴェロとメリダを起こした。しかし、よく見てみると、毛布にくるまっているのはメリダだけで、毛布をはぎ取られてしまったサヴェロはブルブルと体を震わせ、目を覚ました。
「あーおはようジロさん。……おい、メリダ。そろそろ着くから起きろ」
サヴェロは「んー」と伸びをすると、毛布にくるまって幸せそうに眠るメリダを揺すって起こす。気持ちよく寝ていたところを起こされ不機嫌な表情のメリダだったが、東の空を見てその表情は一変する。
「わぁ、綺麗な朝日。私、こうやって朝日を見るの初めてかも」
「だろうな。メリダってめちゃくちゃ寝起き悪そうだもん」
サヴェロが突っ込みを入れると、メリダは毛布を丸めてサヴェロの顔面に投げつけた。
「ハッハッハ! 元気がいいな二人とも。だが、さっきも言った通りそろそろリーピンに着くから船を降りる準備をしてくれ」
ジロに言われた通り、サヴェロとメリダは毛布を片付けると、下船する為に各自荷物をチェックする。そうしている間に、西の方角に陸地が見え始めた。
「あれがリーピンか。隣の国だからある程度は知ってるけど、こうして訪れるのは初めてだな」
サヴェロ達を乗せた船は港に入り、ジロの操舵で接岸した。先にサヴェロが上陸し、続いてメリダがサヴェロに手を引かれる形で上陸した。
「悪いが、俺が面倒見られるのはここまでだ」
ジロは船の上からサヴェロ達に言う。
「十分だよ。ありがとうジロさん」
「本当にありがとうございます」
『私からもお礼を言わせてください。ありがとうございます』
サヴェロ達から感謝の言葉を聴いたジロは照れくさそうに頭をかく。
「いいってことよ。それよりも、お前達気を付けろよ。ここは帝国の影響力が弱いと言っても、追手が来ない訳じゃねぇ。十分に注意しとけ」
ジロの忠告を聴き、サヴェロは「わかった」と返事をする。
「よし。それじゃあ俺は引き上げるとするぞ。じゃあなお前達! 元気でな!」
ジロは船のエンジンをかけて離岸する。少しずつ離れていくジロの船にサヴェロ達は大手を振って見送った。
サヴェロ一行は、ジロと別れた後、港から街中へと移動した。早朝にも関わらず、多くの人達が街を行き来し、道路は人でごった返していた。
「いやぁ、すげえ人だな」
サヴェロは人々が行き交う街中をキョロキョロと見渡す。そうしていると、メリダがサヴェロの服を引っ張った。
「ねえ、サヴェロ。これからどうするの?」
「そうだな。とりあえず、腹ごしらえをしながら情報収集といこうか」
サヴェロ達は通りに並んで出店している屋台に向かった。リーピンでは朝食を屋台で済ませるという習慣があるため、多くの屋台があり、仕事に行く前の人達がそこで朝食を取っていた。
サヴェロ達はその中の比較的空いている屋台で朝食を食べる事にした。サヴェロは蒸しパンと鶏肉や数種類の野菜やキノコの入ったスープを注文する。質素だが、路銀を節約する為、贅沢は出来なかった。
「悪いな。豪華な食事とはいかなくって」
「ううん。私、気にしないから大丈夫だよ。食べられるだけでもありがたいし」
「そう言ってもらうと助かるよ。じゃあ、冷める前にいただきます」
メリダもサヴェロに続いて「いただきます」と言うと、パクパクと食べ始めた。勢い良く食べるメリダを尻目に、サヴェロは二口程食べたところで、情報収集を始める事にした。
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