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第九章 拡張版ミズーナ編
第495話 終わらない腐れ縁
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ようやく国に戻ったミズーナ王女だったが、落ち着く間もなく城にうるさいのがやって来た。
「呼ばれてないけれど、私参上!」
瞬間移動魔法で、エスカがベジタリウス王城に現れたのだ。
その理由は簡単、エスカは魔王の元に嫁ぐからだ。そのためにまずはベジタリウス王城に挨拶をしに来たわけである。そして、自然な流れでエスカはミズーナ王女の部屋へとやって来たのだ。
「エスカ」
「何かしら、ミズーナ」
「本当に魔王のところに嫁ぐつもり?」
「もちのろんよ」
その意思を確認するミズーナ王女だったが、エスカは間髪入れずに即答で返してきた。そこにはまったく迷いがなかったのである。どうやら、冗談ではなく本気だったようだ。
曇りなきその表情に、ミズーナ王女は仕方なく納得するしかなかった。
「分かったわよ。でも、そんなに急がなくてもそのうち城で会うことはできるわ」
「それはどういう事かしら」
ミズーナ王女から出た話に、エスカは反応している。
話によれば年末年始にかけては貴族たちが城へ挨拶にやって来るかららしい。その際に北方の領地を治めるコール子爵の付き添いでやってくる予定になっているのだ。
とはいえ、あくまでも予定である。以前の様子から察するに、魔王というのは結構自由気まま。以前のコール子爵の土地を任されているとはいえ、ベジタリウス王国の方針に従う保証などどこにもないのである。
「それなら心配ないわね。もし来なかったら私から突撃してやればいいわ」
だが、エスカはおとなしくベジタリウス王城で待つことを選択した。その気になれば魔王の魔力を追跡して瞬間移動魔法で跳んでいけるからである。まったく怖いものだと、エスカの言い分にミズーナ王女は黙り込んでしまった。
「そんな事よりもミズーナ」
「何かしら、エスカ」
急に迫ってきて話題を切り替えようとするエスカ。あまりに鬼気迫るような感じだったので思わず引いてしまうミズーナ王女である。
「あなた、婚約者はどうなったのかしらね」
「ああ、その話ね……」
エスカ相手では予想もしていなかった話題だった。
「これから自国内で探すつもりなんだけど、首でもつっ込むつもりなの?」
「あったり前でしょ。私たちは親友なんだからね」
あえて聞き返すミズーナ王女だったが、エスカからは間髪入れずに答えが返ってきた。相変わらずの強さである。
相変わらずの強引さにドン引きするミズーナ王女。エスカの押しの強さは誰もが認めるレベルのものだった。
「はあ、分かったわよ。好き勝手に相談に乗ってちょうだい……」
そんなわけで、ミズーナ王女は諦めた。なにせエスカは目を輝かせてやる気満々にしているのだから。どういい逃れようとしても不可能な気がしたのである。
そして、婚約者の相談を始めようとした矢先、エスカがミズーナ王女に問い掛けてきた。
「そういえば、ミズーナ」
「何かしら、エスカ」
急ではあったものの、ミズーナ王女は何の気なしに反応する。
「アンマリアから何か言われなかった?」
「……はい?」
ところが、思いの外、エスカが鋭いことを指摘してくる。これにはミズーナ王女は思わずドキッとしてしまう。
「どうしてそう思うのかしらね」
「いやぁ、友人としての勘よ、勘」
はぐらかすように尋ねてみると、エスカの言い分もなんとも歯切れが悪かった。
「まったく、適当に言うのをやめなさいよね。私たちはまだ王族なんだから」
エスカの態度についつい注意をするミズーナ王女。これにはさすがのエスカも恥ずかしそうに反省していた。
「とはいえ、その勘は当たっているのよね。アンマリアから彼女のいとこであるタミール・ファッティを婚約者にどうかと言われたわよ」
「ほんとに?!」
反省した態度を見たミズーナ王女が正直に話すと、エスカも意外だったのかものすごく驚いていた。
「うわぁ、思ったよりいい相手じゃないのよ。で、ミズーナはどうしたの、了承したの?」
エスカがものすごく食いついてくる。まったくうざいレベルである。
「ほ、保留よ、保留。お母様もいらしたとはいえども、時期的に即決というわけにはいかなかったわ。国内の婚約者候補を洗い出してから、公平に判断するつもりよ」
「なあんだ。結構慎重なのね、ミズーナってば」
「離婚とか再婚とかはできれば避けたいもの。慎重になるのも無理ないでしょう。私はエスカみたいに情熱派じゃないんだから」
ミズーナ王女が言い訳をすると、エスカは頬を膨らませて抗議してきた。何に対する抗議なのか理解に苦しむミズーナ王女である。
「さあ、詳しく話してもらおうじゃないのよ。魔王はこのベジタリウス王国の民なんだから、彼と結婚する私もまたベジタリウス王国の民。無関係じゃないわ。さあ、さあっ、さあっ!」
ずずいっと迫ってくるエスカの勢いにたじたじになるミズーナ王女である。
まったくせっかく学園を卒業してサーロイン王国から戻ってきたというのに、ミズーナ王女はまだしばらくの間、エスカに悩まされる日々が続きそうなのであった。
「呼ばれてないけれど、私参上!」
瞬間移動魔法で、エスカがベジタリウス王城に現れたのだ。
その理由は簡単、エスカは魔王の元に嫁ぐからだ。そのためにまずはベジタリウス王城に挨拶をしに来たわけである。そして、自然な流れでエスカはミズーナ王女の部屋へとやって来たのだ。
「エスカ」
「何かしら、ミズーナ」
「本当に魔王のところに嫁ぐつもり?」
「もちのろんよ」
その意思を確認するミズーナ王女だったが、エスカは間髪入れずに即答で返してきた。そこにはまったく迷いがなかったのである。どうやら、冗談ではなく本気だったようだ。
曇りなきその表情に、ミズーナ王女は仕方なく納得するしかなかった。
「分かったわよ。でも、そんなに急がなくてもそのうち城で会うことはできるわ」
「それはどういう事かしら」
ミズーナ王女から出た話に、エスカは反応している。
話によれば年末年始にかけては貴族たちが城へ挨拶にやって来るかららしい。その際に北方の領地を治めるコール子爵の付き添いでやってくる予定になっているのだ。
とはいえ、あくまでも予定である。以前の様子から察するに、魔王というのは結構自由気まま。以前のコール子爵の土地を任されているとはいえ、ベジタリウス王国の方針に従う保証などどこにもないのである。
「それなら心配ないわね。もし来なかったら私から突撃してやればいいわ」
だが、エスカはおとなしくベジタリウス王城で待つことを選択した。その気になれば魔王の魔力を追跡して瞬間移動魔法で跳んでいけるからである。まったく怖いものだと、エスカの言い分にミズーナ王女は黙り込んでしまった。
「そんな事よりもミズーナ」
「何かしら、エスカ」
急に迫ってきて話題を切り替えようとするエスカ。あまりに鬼気迫るような感じだったので思わず引いてしまうミズーナ王女である。
「あなた、婚約者はどうなったのかしらね」
「ああ、その話ね……」
エスカ相手では予想もしていなかった話題だった。
「これから自国内で探すつもりなんだけど、首でもつっ込むつもりなの?」
「あったり前でしょ。私たちは親友なんだからね」
あえて聞き返すミズーナ王女だったが、エスカからは間髪入れずに答えが返ってきた。相変わらずの強さである。
相変わらずの強引さにドン引きするミズーナ王女。エスカの押しの強さは誰もが認めるレベルのものだった。
「はあ、分かったわよ。好き勝手に相談に乗ってちょうだい……」
そんなわけで、ミズーナ王女は諦めた。なにせエスカは目を輝かせてやる気満々にしているのだから。どういい逃れようとしても不可能な気がしたのである。
そして、婚約者の相談を始めようとした矢先、エスカがミズーナ王女に問い掛けてきた。
「そういえば、ミズーナ」
「何かしら、エスカ」
急ではあったものの、ミズーナ王女は何の気なしに反応する。
「アンマリアから何か言われなかった?」
「……はい?」
ところが、思いの外、エスカが鋭いことを指摘してくる。これにはミズーナ王女は思わずドキッとしてしまう。
「どうしてそう思うのかしらね」
「いやぁ、友人としての勘よ、勘」
はぐらかすように尋ねてみると、エスカの言い分もなんとも歯切れが悪かった。
「まったく、適当に言うのをやめなさいよね。私たちはまだ王族なんだから」
エスカの態度についつい注意をするミズーナ王女。これにはさすがのエスカも恥ずかしそうに反省していた。
「とはいえ、その勘は当たっているのよね。アンマリアから彼女のいとこであるタミール・ファッティを婚約者にどうかと言われたわよ」
「ほんとに?!」
反省した態度を見たミズーナ王女が正直に話すと、エスカも意外だったのかものすごく驚いていた。
「うわぁ、思ったよりいい相手じゃないのよ。で、ミズーナはどうしたの、了承したの?」
エスカがものすごく食いついてくる。まったくうざいレベルである。
「ほ、保留よ、保留。お母様もいらしたとはいえども、時期的に即決というわけにはいかなかったわ。国内の婚約者候補を洗い出してから、公平に判断するつもりよ」
「なあんだ。結構慎重なのね、ミズーナってば」
「離婚とか再婚とかはできれば避けたいもの。慎重になるのも無理ないでしょう。私はエスカみたいに情熱派じゃないんだから」
ミズーナ王女が言い訳をすると、エスカは頬を膨らませて抗議してきた。何に対する抗議なのか理解に苦しむミズーナ王女である。
「さあ、詳しく話してもらおうじゃないのよ。魔王はこのベジタリウス王国の民なんだから、彼と結婚する私もまたベジタリウス王国の民。無関係じゃないわ。さあ、さあっ、さあっ!」
ずずいっと迫ってくるエスカの勢いにたじたじになるミズーナ王女である。
まったくせっかく学園を卒業してサーロイン王国から戻ってきたというのに、ミズーナ王女はまだしばらくの間、エスカに悩まされる日々が続きそうなのであった。
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