137 / 197
第137話 突撃のシイロ
しおりを挟む
「パステル・カラーチェンジ!」
シイロのいきなりの襲撃にも、千春たちは慌てず変身する。
「オータム・リーフ・フラッド!」
間髪入れずにパステルオレンジが葉っぱの洪水を起こして視界を奪う。
「甘い!」
横薙ぎ一閃!
シイロの剣筋が葉っぱの洪水を斬り裂く。
「ふふふっ、ダクネース様に直して頂いたこの剣……、斬れ味が増しているようだ」
あまりの剣筋の鋭さに、シイロが怪しく笑っている。
だが、この程度でやられるようなパステルピンクたちではなかった。葉っぱの洪水の後ろでは、パステルピンクの蔓とパステルパープルの氷で頑丈な壁を作っていたのだ。それでも、それが粉々になるくらいの強力な攻撃だった。これではパステルシアンの反射でも防ぎきれないと、全員が青ざめた表情をしていた。
「はーっはっはっはっ! そうこなくっちゃなぁ。あの程度でくたばってもらっちゃ、私の気持ちは収まらないってものだ!」
そう叫んだシイロは勢いよく飛び込んでくる。
「パステル・ペンシル・ロケット!」
「オータム・リーフ・フラッド!」
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
パステルブラウンの鉛筆ミサイルに、パステルオレンジとパステルパープルが攻撃を合わせる。鉛筆に葉っぱと冷気がまとわりつき、鉛筆が凍り付く。
「はっ、その程度でこの私を止められると思ったか!」
シイロは目を見開いて、勢いを落とさずに突っ込んでくる。その時だった。
「なにっ?!」
凍り付いた鉛筆がシイロを取り囲むように動き、その動きのままいきなり砕け散ったのである。そして、その破片はその勢いのままにシイロへと襲い掛かる。四方八方からの氷の礫である。
さすがのシイロも驚いたが、これならば突き進めば一番ダメージが少ないと判断。勢いそのままに被ダメを考えずに飛び込んできた。だが、シイロは怒りのあまりに忘れていた。相手がパステル戦士だという事を。
「スリーピング・ウォーム!」
パステルピンクが氷の礫の隙間から睡眠攻撃を放つ。当然ながらシイロはまともにそれを受けてしまう。
「ぐっ……」
少し勢いが弱まるが、それでも構わずシイロは突き進むのをやめない。だが、勢いが落ちたという事は、当然あれが待っていた。
「パステル・バブル・スフィア!」
反射技を持つパステルシアンだった。二度目の攻撃までに間があったので、パステルピンクの即席防具を身に着けての仁王立ちである。
「その程度で、私の攻撃を防げると思うなぁっ!!」
眠気に襲われつつも飛び込むシイロ。だが、思ったよりも威力が落ちていたのか、即席防具の効果もあってパステルシアンは無傷。一方でシイロは自分の攻撃の威力を跳ね返されて吹き飛び、氷の礫の集中弾を食らう羽目になってしまった。
さすがにこれならばシイロもひとたまりもあるまい。全員がそう思ったのだが、その期待はすぐに裏切られてしまった。
「はあっ!!」
シイロが剣を振り払い、氷の礫の大半を斬り刻んでしまったのだ。さすがは元々女王の護衛騎士。凄まじいばかりの剣捌きである。
「惜しいなぁ……。実に惜しい。五人がかりでこれとは、惜しすぎるというものだよ」
「噓でしょ……」
顔を傾けながら不気味に笑うシイロに、パステルシアンはドン引きしながら呟く。
シイロのその様子はまさに狂戦士。戦う事に喜びを見出す、戦闘マシーンと化していたのだ。
「はーっはっはっはっ! いいねえ、その表情だ……。パステル王国の犬どもめ、絶望のうちに死ねっ!」
シイロが狂った笑みを浮かべながら、再び襲い掛かってくる。
「なっ、速えっ!」
パステルピンクが驚くくらいに、その飛び込みの速度が上がっている。
「くそっ、甘く見るんじゃねえぞ!」
パステルピンクはブラシを取り出してクレイモアに変形させる。
ガキーンッ!
シイロの剣を受け止めるパステルピンク。これでもそもそもは男だ。鍛えているので筋肉量ならばそこらの一般的な人物よりは多い。
「ぐっ!」
それでも押されるパステルピンク。それもそうだろう。相手は騎士なのだ。激しい訓練で鍛えられた騎士の攻撃は、サッカー少年には重すぎたのだ。
「はははっ、受け止められただけでも褒めてやる! だが、剣術の素人であるお前に、一体いつまで止めていられると思うかな?」
シイロの笑みが邪悪に歪んでいる。元々はパステル王国の騎士とはいえ、今は完全に邪念に支配されてしまっているのだ。その歪な精神は、その表情によく現れていた。
「ぐぐぐぐ……。負けて、なるものか……っ!」
「いいねえ、その表情。そんな顔をされるとさぁ……」
「ぐっ……!」
シイロの剣が容赦なくパステルピンクを斬り裂いていく。
「甚振ってしまいたくなるんだよねぇ……。せいぜい耐えておくれよ?」
パステルピンクの全身に浅い斬り傷を刻み込むシイロ。その姿は白を基調とする名前とは思えないくらい邪悪なものだった。
「ここにはあの男も居ない。戦いの経験の浅いお前たちに、いつまで私の攻撃に耐えられるのか、実に楽しみだなあ……」
剣を水平に構えながら、邪悪な笑みを浮かべ続けるシイロ。
パステルピンクたちには彼女に太刀打ちできるだけの技術は確かにない。
このままパステルピンクたちは彼女の剣技の前に蹂躙されてしまうのか。戦いは始まったばかりなのである。
シイロのいきなりの襲撃にも、千春たちは慌てず変身する。
「オータム・リーフ・フラッド!」
間髪入れずにパステルオレンジが葉っぱの洪水を起こして視界を奪う。
「甘い!」
横薙ぎ一閃!
シイロの剣筋が葉っぱの洪水を斬り裂く。
「ふふふっ、ダクネース様に直して頂いたこの剣……、斬れ味が増しているようだ」
あまりの剣筋の鋭さに、シイロが怪しく笑っている。
だが、この程度でやられるようなパステルピンクたちではなかった。葉っぱの洪水の後ろでは、パステルピンクの蔓とパステルパープルの氷で頑丈な壁を作っていたのだ。それでも、それが粉々になるくらいの強力な攻撃だった。これではパステルシアンの反射でも防ぎきれないと、全員が青ざめた表情をしていた。
「はーっはっはっはっ! そうこなくっちゃなぁ。あの程度でくたばってもらっちゃ、私の気持ちは収まらないってものだ!」
そう叫んだシイロは勢いよく飛び込んでくる。
「パステル・ペンシル・ロケット!」
「オータム・リーフ・フラッド!」
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
パステルブラウンの鉛筆ミサイルに、パステルオレンジとパステルパープルが攻撃を合わせる。鉛筆に葉っぱと冷気がまとわりつき、鉛筆が凍り付く。
「はっ、その程度でこの私を止められると思ったか!」
シイロは目を見開いて、勢いを落とさずに突っ込んでくる。その時だった。
「なにっ?!」
凍り付いた鉛筆がシイロを取り囲むように動き、その動きのままいきなり砕け散ったのである。そして、その破片はその勢いのままにシイロへと襲い掛かる。四方八方からの氷の礫である。
さすがのシイロも驚いたが、これならば突き進めば一番ダメージが少ないと判断。勢いそのままに被ダメを考えずに飛び込んできた。だが、シイロは怒りのあまりに忘れていた。相手がパステル戦士だという事を。
「スリーピング・ウォーム!」
パステルピンクが氷の礫の隙間から睡眠攻撃を放つ。当然ながらシイロはまともにそれを受けてしまう。
「ぐっ……」
少し勢いが弱まるが、それでも構わずシイロは突き進むのをやめない。だが、勢いが落ちたという事は、当然あれが待っていた。
「パステル・バブル・スフィア!」
反射技を持つパステルシアンだった。二度目の攻撃までに間があったので、パステルピンクの即席防具を身に着けての仁王立ちである。
「その程度で、私の攻撃を防げると思うなぁっ!!」
眠気に襲われつつも飛び込むシイロ。だが、思ったよりも威力が落ちていたのか、即席防具の効果もあってパステルシアンは無傷。一方でシイロは自分の攻撃の威力を跳ね返されて吹き飛び、氷の礫の集中弾を食らう羽目になってしまった。
さすがにこれならばシイロもひとたまりもあるまい。全員がそう思ったのだが、その期待はすぐに裏切られてしまった。
「はあっ!!」
シイロが剣を振り払い、氷の礫の大半を斬り刻んでしまったのだ。さすがは元々女王の護衛騎士。凄まじいばかりの剣捌きである。
「惜しいなぁ……。実に惜しい。五人がかりでこれとは、惜しすぎるというものだよ」
「噓でしょ……」
顔を傾けながら不気味に笑うシイロに、パステルシアンはドン引きしながら呟く。
シイロのその様子はまさに狂戦士。戦う事に喜びを見出す、戦闘マシーンと化していたのだ。
「はーっはっはっはっ! いいねえ、その表情だ……。パステル王国の犬どもめ、絶望のうちに死ねっ!」
シイロが狂った笑みを浮かべながら、再び襲い掛かってくる。
「なっ、速えっ!」
パステルピンクが驚くくらいに、その飛び込みの速度が上がっている。
「くそっ、甘く見るんじゃねえぞ!」
パステルピンクはブラシを取り出してクレイモアに変形させる。
ガキーンッ!
シイロの剣を受け止めるパステルピンク。これでもそもそもは男だ。鍛えているので筋肉量ならばそこらの一般的な人物よりは多い。
「ぐっ!」
それでも押されるパステルピンク。それもそうだろう。相手は騎士なのだ。激しい訓練で鍛えられた騎士の攻撃は、サッカー少年には重すぎたのだ。
「はははっ、受け止められただけでも褒めてやる! だが、剣術の素人であるお前に、一体いつまで止めていられると思うかな?」
シイロの笑みが邪悪に歪んでいる。元々はパステル王国の騎士とはいえ、今は完全に邪念に支配されてしまっているのだ。その歪な精神は、その表情によく現れていた。
「ぐぐぐぐ……。負けて、なるものか……っ!」
「いいねえ、その表情。そんな顔をされるとさぁ……」
「ぐっ……!」
シイロの剣が容赦なくパステルピンクを斬り裂いていく。
「甚振ってしまいたくなるんだよねぇ……。せいぜい耐えておくれよ?」
パステルピンクの全身に浅い斬り傷を刻み込むシイロ。その姿は白を基調とする名前とは思えないくらい邪悪なものだった。
「ここにはあの男も居ない。戦いの経験の浅いお前たちに、いつまで私の攻撃に耐えられるのか、実に楽しみだなあ……」
剣を水平に構えながら、邪悪な笑みを浮かべ続けるシイロ。
パステルピンクたちには彼女に太刀打ちできるだけの技術は確かにない。
このままパステルピンクたちは彼女の剣技の前に蹂躙されてしまうのか。戦いは始まったばかりなのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる