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第二章 外側の世界
第372話 転生者、隠し部屋に入る
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隠し部屋……、と思いきや目の前は行き止まりだった。
「っと、こっちから地下に降りていけるようだな」
廊下側に折れ曲がり、下に降りていく階段が見つかった。降り切った先は折れ曲がっている。
降りた先はまた曲がっていて、反対側へと降れるようになっていた。
「螺旋階段じゃなくて、こういう折れ曲がった階段っていうのも珍しいな」
「そうなんですかね」
「人が一人通れる幅ってことは、ここがあるところは部屋の間に空間があったはず。意外と気が付かないものなのね」
ピエラの言う通りだ。なにせ看破持ちのコモヤすらずっとだまし通せてきたんだから、この空間の隠ぺい効果はかなり高いってことだ。
俺たちが三度折れ曲がって降りた先には、ようやく広い部屋が見つかった。
「位置的には地下二階ってとこか」
「このような場所があるなんて……」
「以前にも来たことはあるはずなのに、この空間を見つけられなかった。どうやら何か条件があったみたいだな」
「そのようでございますね。もしや、大陸の外と何か関係があるのやもしれません」
「かもな」
俺とキリエが話をしていると、俺の髭が何かを感じ取ったのか上下に素早く揺れる。
その直後、部屋に明かりがともる。どうやら魔法が発動したようだ。
「俺の髭がピリッと動くのは珍しいな。こんなこと、今までになかった気がするぜ」
「何かいるわ。気を付けて」
ピエラの言う通り、目の前には誰かがいるようだ。
ついてきたコモヤやデザストレたちも含めて、臨戦態勢に入る。
「おやおや、今日の侵入者たちは血気盛んだね。それにしても、ここに人が来るのはいつぶりだろうか」
声が聞こえてくる。
聞こえた感じは、意外と若い男性のようだった。
「誰だ」
「それはこちらの言葉だね。このネラールのね」
「ネラールですって?!」
驚くべき単語が聞こえてきた。
「ネラールって、外で会ったマーシャルの息子か。生きていたのか……」
「父上をご存じなのかい? それは驚いたな」
驚いたという割には、えらくゆったりした声だ。
俺たちの方が驚かされるというものだ。
「歓迎しよう、父上を知る者たちよ。私はケオス大陸の初代魔王ネラールだ。表向きは反乱にあって死んだことにしているがね」
しっかりと見えてきた姿は、確かにマーシャルとよく似た感じの男性だった。どのくらいかというと、マーシャルを若くすればこんな感じだろうと思われるくらいに似ている。
だが、自己紹介をされたらし返さないわけにはいかないな。
「初めてお目にかかる。俺は現在の魔王でセイという。これでも元人間だ」
「おやおや、今代の魔王かい。ずいぶんと貧弱な姿だね」
俺の自己紹介のところで、ずいぶんと小ばかにしてきやがった。とはいえ、会ったばかりの先輩だ。ここはひとまずこらえておく。
「私はキリエ、こちらは妹のコモヤ。ネラール様の直系の子孫である純魔族でございます」
俺に続いて自己紹介したのはキリエとコモヤだ。
二人には俺とは違った態度を見せている。直系の子孫が続いているのが嬉しかったのだろうな。女性というのもあるだろうけど。
「私はピエラと申します」
「君は素晴らしい魔力の持ち主だね。まだまだ強くなりそうだよ」
自己紹介を受けるたびに評価を下していくネラール。ピエラはえらくべた褒めだな。
俺だけぼろぼろの評価なんだが?
「俺様はデザストレ。厄災と呼ばれる、魔族を恐怖に陥れる者だ」
「……ケオスはまた変なのを生み出したね。でもまぁ、暴走した魔族を黙らせるにはちょうどいい強さかも知れないね」
デザストレにはどう反応していいのか困っているようだった。
ただ、気になる単語が出てきたな。
「暴走した魔族?」
「ああ、そうさ。外の世界の危機から逃れたあいつらは、以前と同じように人間たちを自分たちの支配下に置こうとしたんだ。人間たちをいたぶって優越に浸っている感覚が忘れられなかったんだろうね」
ネラールの表情は思いの外、心痛の面持ちだった。
魔族ならばほとんどそういうものだと思っていたが、マーシャル同様に思慮深いのかもしれない。
キリエたちにもその性格はよく受け継がれているみたいだな。
「私は止めようとしたさ。ようやく危機から逃れて新たな生活を始めるのだからね。だが、奴らは私の言葉に耳を傾けることをしなかった。私には、父上にできたことができなかったんだ」
ネラールは歯を食いしばっていた。
「私は人間たちを逃がすために、大陸の中央に魔族を集め、結界を張って人間たちを追い出したんだ。だが、その結界も、私の力では一年もてばいい方の貧弱なものだったがね」
「なるほど、今の魔王領を中心に周りに人間たちの国があるという状況は、あなたが作り出したというわけなのか」
「そうさ。四方を取り囲み、いつでも叩けるようにという形でね」
ネラールはそう告げると、続けるようにして過去のことを語り始めた。
いろいろと話はしたいところだが、突然語り始めたので俺たちは黙って聞くことにする。
どうしてネラールがこんなところに閉じこもることになったのかなども含めて、ケオス大陸の過去が、今明らかになろうとしてるからな。
「っと、こっちから地下に降りていけるようだな」
廊下側に折れ曲がり、下に降りていく階段が見つかった。降り切った先は折れ曲がっている。
降りた先はまた曲がっていて、反対側へと降れるようになっていた。
「螺旋階段じゃなくて、こういう折れ曲がった階段っていうのも珍しいな」
「そうなんですかね」
「人が一人通れる幅ってことは、ここがあるところは部屋の間に空間があったはず。意外と気が付かないものなのね」
ピエラの言う通りだ。なにせ看破持ちのコモヤすらずっとだまし通せてきたんだから、この空間の隠ぺい効果はかなり高いってことだ。
俺たちが三度折れ曲がって降りた先には、ようやく広い部屋が見つかった。
「位置的には地下二階ってとこか」
「このような場所があるなんて……」
「以前にも来たことはあるはずなのに、この空間を見つけられなかった。どうやら何か条件があったみたいだな」
「そのようでございますね。もしや、大陸の外と何か関係があるのやもしれません」
「かもな」
俺とキリエが話をしていると、俺の髭が何かを感じ取ったのか上下に素早く揺れる。
その直後、部屋に明かりがともる。どうやら魔法が発動したようだ。
「俺の髭がピリッと動くのは珍しいな。こんなこと、今までになかった気がするぜ」
「何かいるわ。気を付けて」
ピエラの言う通り、目の前には誰かがいるようだ。
ついてきたコモヤやデザストレたちも含めて、臨戦態勢に入る。
「おやおや、今日の侵入者たちは血気盛んだね。それにしても、ここに人が来るのはいつぶりだろうか」
声が聞こえてくる。
聞こえた感じは、意外と若い男性のようだった。
「誰だ」
「それはこちらの言葉だね。このネラールのね」
「ネラールですって?!」
驚くべき単語が聞こえてきた。
「ネラールって、外で会ったマーシャルの息子か。生きていたのか……」
「父上をご存じなのかい? それは驚いたな」
驚いたという割には、えらくゆったりした声だ。
俺たちの方が驚かされるというものだ。
「歓迎しよう、父上を知る者たちよ。私はケオス大陸の初代魔王ネラールだ。表向きは反乱にあって死んだことにしているがね」
しっかりと見えてきた姿は、確かにマーシャルとよく似た感じの男性だった。どのくらいかというと、マーシャルを若くすればこんな感じだろうと思われるくらいに似ている。
だが、自己紹介をされたらし返さないわけにはいかないな。
「初めてお目にかかる。俺は現在の魔王でセイという。これでも元人間だ」
「おやおや、今代の魔王かい。ずいぶんと貧弱な姿だね」
俺の自己紹介のところで、ずいぶんと小ばかにしてきやがった。とはいえ、会ったばかりの先輩だ。ここはひとまずこらえておく。
「私はキリエ、こちらは妹のコモヤ。ネラール様の直系の子孫である純魔族でございます」
俺に続いて自己紹介したのはキリエとコモヤだ。
二人には俺とは違った態度を見せている。直系の子孫が続いているのが嬉しかったのだろうな。女性というのもあるだろうけど。
「私はピエラと申します」
「君は素晴らしい魔力の持ち主だね。まだまだ強くなりそうだよ」
自己紹介を受けるたびに評価を下していくネラール。ピエラはえらくべた褒めだな。
俺だけぼろぼろの評価なんだが?
「俺様はデザストレ。厄災と呼ばれる、魔族を恐怖に陥れる者だ」
「……ケオスはまた変なのを生み出したね。でもまぁ、暴走した魔族を黙らせるにはちょうどいい強さかも知れないね」
デザストレにはどう反応していいのか困っているようだった。
ただ、気になる単語が出てきたな。
「暴走した魔族?」
「ああ、そうさ。外の世界の危機から逃れたあいつらは、以前と同じように人間たちを自分たちの支配下に置こうとしたんだ。人間たちをいたぶって優越に浸っている感覚が忘れられなかったんだろうね」
ネラールの表情は思いの外、心痛の面持ちだった。
魔族ならばほとんどそういうものだと思っていたが、マーシャル同様に思慮深いのかもしれない。
キリエたちにもその性格はよく受け継がれているみたいだな。
「私は止めようとしたさ。ようやく危機から逃れて新たな生活を始めるのだからね。だが、奴らは私の言葉に耳を傾けることをしなかった。私には、父上にできたことができなかったんだ」
ネラールは歯を食いしばっていた。
「私は人間たちを逃がすために、大陸の中央に魔族を集め、結界を張って人間たちを追い出したんだ。だが、その結界も、私の力では一年もてばいい方の貧弱なものだったがね」
「なるほど、今の魔王領を中心に周りに人間たちの国があるという状況は、あなたが作り出したというわけなのか」
「そうさ。四方を取り囲み、いつでも叩けるようにという形でね」
ネラールはそう告げると、続けるようにして過去のことを語り始めた。
いろいろと話はしたいところだが、突然語り始めたので俺たちは黙って聞くことにする。
どうしてネラールがこんなところに閉じこもることになったのかなども含めて、ケオス大陸の過去が、今明らかになろうとしてるからな。
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