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第二章 外側の世界
第404話 転生者、南東の大陸にたどり着く
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俺たちは南東の大陸に向かう。
地図で見てみれば、ケオス大陸の北西から真っすぐ向かえば着けそうなんだが、この世界の謎は多い。南北がどうつながっているのか分からないので、南の大陸を確認するという体で、南側から向かうことにした。
「回りくどいことをしますね」
「悪いな。南北が本当にどうなってるのか分からないからな。地球と同じで球体の世界なら、北に向かえば反対の北側に出てくるし、ゲームのような世界なら南側に出てくる。どういう状態か分からないから、一番確実なルートを使ってるんだ」
「そのゲームってやつは何なのよ……」
俺の話す単語で分からないところを、ピエラが冷静に指摘してくる。だが、今はそんなことに構っている状態じゃない。セイ太に頼んで南の大陸に向かう。
ここはレーヴェンの樹を植えた最初期の方だから、もう半年以上は経っている。
上陸してみれば、初めて訪れたようなむせ返るような毒気はもうなくなっている。レーヴェンの樹の力によって、かなり毒気が中和されてきたようだ。
「生命の樹というだけあるのにゃ。まだ毒性は残っている状況なのに、どこかすっきりしたような感じを受けるにゃ」
エイミーもこんなことを言っている。ちなみにエイミーもレーヴェンの種を飲み込んでいる。じゃねえと、一瞬であの世だからな。
俺たちは南東の大陸を目指すために、南の大陸の西の縁をひたすら南下していく。どこを通ってもレーヴェンの樹の影響は絶大のようで、平然と呼吸をできる状態がずっと続いていた。
やがて、南の大陸の南端が近付いてくる。
地図を確認すれば、ここから西に進めば南東の大陸に上陸できるはずだ。
「途中でレーヴェンの樹の種を少し回収しておいたし、どんな広さだろうと対応できるだけの数はある。さっさと行くとしようか」
「ここは西方向に向かうにゃ?」
「ああ、球体だろうと平面だろうと、西に向かえば東側に出てくるからな。これはよっぽど歪んだ世界でもない限り共通の事項だぜ」
というわけで、セイ太とエイミーは巨大な犬と猫の姿となり、海を泳ぎ始める。ケオス大陸と南の大陸の距離よりもあるみたいだから、六日間くらい泳ぎっぱなしになるな。
「到着はおそらく六日後だ。万一の襲撃に備えておこうぜ」
「分かったわ」
「はい、わかりました、お姉様」
「今度は前のような不覚を取らせやしない」
それぞれに気合いが入っているようだった。
気合いを入れて構えていたのだが、海を渡っている間に、呪いの使徒リッチの襲撃はなかった。
だが、陸地に上がった瞬間だった。
「おい、みんな構えろ」
なんとも言えない空気が漂っていた。
どうやら、陸地に上がって油断したところを狙おうとしようだな。
「この魔力、てめえがリッチか」
「なんということでしょうかね。まさか、こうも簡単に気付かれてしまいますとは」
空間がゆらりと歪み、ローブに身を包んだ骸骨が現れた。まったく、本当にゲームでよく見るリッチの姿って感じだな。
「あれだけ明確な殺気を漂わせていたら、俺たち獣人はごまかせねえってんだよ」
「まったくですね」
「本当に露骨すぎるにゃ」
俺の言葉に、セイ太もエイミーも頷いている。
「くくくっ、本当に油断ならない人たちですね。我がこっそり仕掛けておいた呪いも跳ね返してきましたし……」
リッチは顔を押さえて笑い始めた。言葉と態度が合ってねえな。
かと思えば、ぴたりと笑いが止まる。
「まったく、気に食わないですねぇ……」
ああ、よく悪役がやるやつじゃねえか。
なんだろうな。こいつら、テンプレ的なことをやる使命でもあるのか?
「この南東の大陸は、まだあなたたちの訪れたことのない場所。やって来ると思って待ち構えていたかいがありますね」
いちいちおしゃべりな骨だな、こいつ。
「ここをあなた方の墓場にしてあげましょう。この呪いの使徒、リッチの手によってね!」
リッチが両腕を広げると同時に、まがまがしい魔力が俺たちに向けて放たれる。
「おっと、こういう魔力は私の得意分野ですにゃ!」
エイミーは人間形態に変身すると、すぐさま魔法を使い始める。
「なに?!」
エイミーの魔法によって、俺たちに向けて放たれた魔力はすべてがあっさりと消し去られてしまった。
「調和の使徒の力をなめるんじゃないにゃ。格としてはあんたの方が上でしょうけど、その程度ならいくらでも相殺できるにゃ!」
「ぐっ、にゃーにゃーうるさい癖に、ちょこざいな!」
エイミーにあっさり相殺されて、かなりリッチは頭に血が上っているようだ。うん、骨なのに血って通ってるのか? ふとわけの分からない疑問が頭に浮かんだ。
まあ、今はそんなことはどうでもいい。
あまりにもコケにされて、あいつは敵意むき出しになっているみたいだからん。何をしてくるか分からねえってもんだ。
前みたいにネラールを狙ってくるか?
「くくくく……。あまり我を怒らせないことをお勧めしますよ。これでも我は呪いのすべてを操る専門家です。お前たちにこの世の地獄というものを見せてやりましょう!」
そう叫んだ瞬間、リッチの周囲を暗闇が包み込み、リッチはその場から姿を消してしまったのだった。
地図で見てみれば、ケオス大陸の北西から真っすぐ向かえば着けそうなんだが、この世界の謎は多い。南北がどうつながっているのか分からないので、南の大陸を確認するという体で、南側から向かうことにした。
「回りくどいことをしますね」
「悪いな。南北が本当にどうなってるのか分からないからな。地球と同じで球体の世界なら、北に向かえば反対の北側に出てくるし、ゲームのような世界なら南側に出てくる。どういう状態か分からないから、一番確実なルートを使ってるんだ」
「そのゲームってやつは何なのよ……」
俺の話す単語で分からないところを、ピエラが冷静に指摘してくる。だが、今はそんなことに構っている状態じゃない。セイ太に頼んで南の大陸に向かう。
ここはレーヴェンの樹を植えた最初期の方だから、もう半年以上は経っている。
上陸してみれば、初めて訪れたようなむせ返るような毒気はもうなくなっている。レーヴェンの樹の力によって、かなり毒気が中和されてきたようだ。
「生命の樹というだけあるのにゃ。まだ毒性は残っている状況なのに、どこかすっきりしたような感じを受けるにゃ」
エイミーもこんなことを言っている。ちなみにエイミーもレーヴェンの種を飲み込んでいる。じゃねえと、一瞬であの世だからな。
俺たちは南東の大陸を目指すために、南の大陸の西の縁をひたすら南下していく。どこを通ってもレーヴェンの樹の影響は絶大のようで、平然と呼吸をできる状態がずっと続いていた。
やがて、南の大陸の南端が近付いてくる。
地図を確認すれば、ここから西に進めば南東の大陸に上陸できるはずだ。
「途中でレーヴェンの樹の種を少し回収しておいたし、どんな広さだろうと対応できるだけの数はある。さっさと行くとしようか」
「ここは西方向に向かうにゃ?」
「ああ、球体だろうと平面だろうと、西に向かえば東側に出てくるからな。これはよっぽど歪んだ世界でもない限り共通の事項だぜ」
というわけで、セイ太とエイミーは巨大な犬と猫の姿となり、海を泳ぎ始める。ケオス大陸と南の大陸の距離よりもあるみたいだから、六日間くらい泳ぎっぱなしになるな。
「到着はおそらく六日後だ。万一の襲撃に備えておこうぜ」
「分かったわ」
「はい、わかりました、お姉様」
「今度は前のような不覚を取らせやしない」
それぞれに気合いが入っているようだった。
気合いを入れて構えていたのだが、海を渡っている間に、呪いの使徒リッチの襲撃はなかった。
だが、陸地に上がった瞬間だった。
「おい、みんな構えろ」
なんとも言えない空気が漂っていた。
どうやら、陸地に上がって油断したところを狙おうとしようだな。
「この魔力、てめえがリッチか」
「なんということでしょうかね。まさか、こうも簡単に気付かれてしまいますとは」
空間がゆらりと歪み、ローブに身を包んだ骸骨が現れた。まったく、本当にゲームでよく見るリッチの姿って感じだな。
「あれだけ明確な殺気を漂わせていたら、俺たち獣人はごまかせねえってんだよ」
「まったくですね」
「本当に露骨すぎるにゃ」
俺の言葉に、セイ太もエイミーも頷いている。
「くくくっ、本当に油断ならない人たちですね。我がこっそり仕掛けておいた呪いも跳ね返してきましたし……」
リッチは顔を押さえて笑い始めた。言葉と態度が合ってねえな。
かと思えば、ぴたりと笑いが止まる。
「まったく、気に食わないですねぇ……」
ああ、よく悪役がやるやつじゃねえか。
なんだろうな。こいつら、テンプレ的なことをやる使命でもあるのか?
「この南東の大陸は、まだあなたたちの訪れたことのない場所。やって来ると思って待ち構えていたかいがありますね」
いちいちおしゃべりな骨だな、こいつ。
「ここをあなた方の墓場にしてあげましょう。この呪いの使徒、リッチの手によってね!」
リッチが両腕を広げると同時に、まがまがしい魔力が俺たちに向けて放たれる。
「おっと、こういう魔力は私の得意分野ですにゃ!」
エイミーは人間形態に変身すると、すぐさま魔法を使い始める。
「なに?!」
エイミーの魔法によって、俺たちに向けて放たれた魔力はすべてがあっさりと消し去られてしまった。
「調和の使徒の力をなめるんじゃないにゃ。格としてはあんたの方が上でしょうけど、その程度ならいくらでも相殺できるにゃ!」
「ぐっ、にゃーにゃーうるさい癖に、ちょこざいな!」
エイミーにあっさり相殺されて、かなりリッチは頭に血が上っているようだ。うん、骨なのに血って通ってるのか? ふとわけの分からない疑問が頭に浮かんだ。
まあ、今はそんなことはどうでもいい。
あまりにもコケにされて、あいつは敵意むき出しになっているみたいだからん。何をしてくるか分からねえってもんだ。
前みたいにネラールを狙ってくるか?
「くくくく……。あまり我を怒らせないことをお勧めしますよ。これでも我は呪いのすべてを操る専門家です。お前たちにこの世の地獄というものを見せてやりましょう!」
そう叫んだ瞬間、リッチの周囲を暗闇が包み込み、リッチはその場から姿を消してしまったのだった。
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