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第一章 大陸編
第195話 転生者、期待と不安が増えていく
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西方王国の王都まで一度戻ってきたところで、俺は少しだけ落ち込んでいた。
それというのも、大豆とミルクと米が手に入ったのはいいものの、それ以外を見つけることができなかったからだ。
とはいえ、この三つがあれば料理の幅が広がるのは間違いない。
ただ、いくら自炊をしていたことがあるといっても、加工方法を知っているものはそんなにない。米以外だと、ミルクからヨーグルトを作ったくらいだ。
はてさて、どうしたものかな……。
「魔王殿、ダズーとコメなるものは、定期的に出荷させて頂きます。代金はその時に引き換えという形でよろしいですかな」
「ああ、その形でよろしく頼む」
ひとまず、取引できるものが見つかって、マネケンは安心した表情で城の中へと戻っていく。
「よし、俺たちも魔王城に戻るとしようか」
「御意に」
「ああ、やっと帰れるのか。やれやれだぜ……」
バフォメットは頭下げて了承し、デザストレは首を押さえて鳴らしていた。
どうやら、今回ののどかな村への訪問は、デザストレの性には合わなかったようだ。本質は破壊とお宝を好むドラゴンだからな、しょうがないのかもしれない。
俺たちは国王やマネケンたちに挨拶をすると、一路魔王城へと戻っていった。
魔王城に戻ると、俺は早速厨房へと向かった。
「料理長、ウルルン、いるか?」
「お呼びでございますでしょうか、魔王様」
「オレっちもお呼びでしょうか、魔王様」
二人が揃って姿を現す。相変わらずウルルンの言葉遣いの破壊力がすごい。
「ああ、ちょっとウルルンの力で料理を出してもらいたいんだ。そして、料理長には俺のヒントからそれを再現してほしい」
「ふむむむ?」
顎に手を当てて難しい顔をする料理長。
こればかりは仕方ないよな。ヒントから料理の再現って、簡単なわけがないんだからよ。自炊をしていたからなんとなく分かるんだよ。
まぁそれはそれとして、俺はウルルンに頼んで料理を出してもらう。
味噌、醤油、チーズにバターとどこが料理だとつっ込みたくなるものばかりが出てきた。いや、それどころかなんでペットボトルとか再現してるんだよ。恐るべし、夢魔。
「見たことない入れ物ですね。何でできてるんですか、これ……」
醤油の入ったペットボトルをまじまじと見つめるウルルンである。
「うーん、なんて説明したらいいんだろうな。俺にもよく分からないな」
さすがに投げた。実際、俺だってどうやって作られるのか分からないんだからな。無理なものは無理だ。
とりあえず、それはそれで置いておこう。
俺はデザストレから預かったうろこから、それぞれの材料となるダズーとミルクを取り出す。
「こっちの液体と茶色い塊は、このダズーから作られているんだ。ダズーと塩を使って発酵させるんだが、ちょっと詳しいことは俺にも分からない」
「ふむふむ」
「で、こっちのチーズとバターは、材料はこのミルクだ。チーズはミルクにカビを作用させていて、バターはミルクの脂肪分を固めて作るんだよ。ちょっと記憶があいまいなんで間違ってるかもしれないがな」
作ろうと思って調べた事はあったけど、結構実行できなかったからレシピサイトのあやふやな記憶しかないんだよな。
……どうしようかな、間違っていることを喋ってたら。
俺は急に不安になってくる。
俺の不安をよそに、料理長はじっくりと料理と材料を観察していた。
「ふむふむ、なるほどなるほど」
うん、ちょっと予想外な言葉が出てきてるぞ?
「うむ、このくらいなら再現は可能ですな。どうぞ魔王様、期待してお待ち下さいませ」
「いや、本当にできるのか?」
「はい、私の料理人の魂に賭けましても、必ずや」
いつにもまして気合いの入っている料理長だ。これはとても期待できそうである。
「そうか。足りなくなったら言ってくれ。いつでも仕入れに向かうからよ」
「ありがたきお言葉でございます」
料理長は深く俺に頭を下げていた。
いや、どちらかといえば俺の方が頭を下げたい。
「料理長、オレっちも手伝いますよ」
「ああ、頼むよ、ウルルン」
二人はやる気十分なようだ。これなら、本当に近いうちに再現してしまいそうだな。
そんなわけで、俺は二人が作業を始めたのを見届けると、バフォメットやキリエたちと合流する。今回の視察のまとめをしないといけないからな。
俺は自室に戻って服を着替えると、すぐさまキリエとバフォメットの二人を招集して今後の予定を話し合った。
すべての予定が終わった俺は、夜の静まり返った部屋から窓の外を眺めている。
「しかし、あの岩山は何だったんだろうな。登っても登っても頂上が見えないとか……。ジャガイモとか米とか収穫もあったけど、あればかりはどうも気になってしまうな」
そう、今回の視察で登った岩山のことが忘れられなかったのだ。
遠くから見れば普通に頂上が見えるというのに、本当に不思議でたまらなかった。
なにか、この世界の不思議を垣間見た気持ちだ。
「なんにせよ、この世界にはよく分からないことが多すぎる。魔王の仕組みにしても、この国の配置にしても……だ」
魔王になってから、おおよそ半年くらいかな。俺の中にはどんどんと疑問が増えていくのだった。
それというのも、大豆とミルクと米が手に入ったのはいいものの、それ以外を見つけることができなかったからだ。
とはいえ、この三つがあれば料理の幅が広がるのは間違いない。
ただ、いくら自炊をしていたことがあるといっても、加工方法を知っているものはそんなにない。米以外だと、ミルクからヨーグルトを作ったくらいだ。
はてさて、どうしたものかな……。
「魔王殿、ダズーとコメなるものは、定期的に出荷させて頂きます。代金はその時に引き換えという形でよろしいですかな」
「ああ、その形でよろしく頼む」
ひとまず、取引できるものが見つかって、マネケンは安心した表情で城の中へと戻っていく。
「よし、俺たちも魔王城に戻るとしようか」
「御意に」
「ああ、やっと帰れるのか。やれやれだぜ……」
バフォメットは頭下げて了承し、デザストレは首を押さえて鳴らしていた。
どうやら、今回ののどかな村への訪問は、デザストレの性には合わなかったようだ。本質は破壊とお宝を好むドラゴンだからな、しょうがないのかもしれない。
俺たちは国王やマネケンたちに挨拶をすると、一路魔王城へと戻っていった。
魔王城に戻ると、俺は早速厨房へと向かった。
「料理長、ウルルン、いるか?」
「お呼びでございますでしょうか、魔王様」
「オレっちもお呼びでしょうか、魔王様」
二人が揃って姿を現す。相変わらずウルルンの言葉遣いの破壊力がすごい。
「ああ、ちょっとウルルンの力で料理を出してもらいたいんだ。そして、料理長には俺のヒントからそれを再現してほしい」
「ふむむむ?」
顎に手を当てて難しい顔をする料理長。
こればかりは仕方ないよな。ヒントから料理の再現って、簡単なわけがないんだからよ。自炊をしていたからなんとなく分かるんだよ。
まぁそれはそれとして、俺はウルルンに頼んで料理を出してもらう。
味噌、醤油、チーズにバターとどこが料理だとつっ込みたくなるものばかりが出てきた。いや、それどころかなんでペットボトルとか再現してるんだよ。恐るべし、夢魔。
「見たことない入れ物ですね。何でできてるんですか、これ……」
醤油の入ったペットボトルをまじまじと見つめるウルルンである。
「うーん、なんて説明したらいいんだろうな。俺にもよく分からないな」
さすがに投げた。実際、俺だってどうやって作られるのか分からないんだからな。無理なものは無理だ。
とりあえず、それはそれで置いておこう。
俺はデザストレから預かったうろこから、それぞれの材料となるダズーとミルクを取り出す。
「こっちの液体と茶色い塊は、このダズーから作られているんだ。ダズーと塩を使って発酵させるんだが、ちょっと詳しいことは俺にも分からない」
「ふむふむ」
「で、こっちのチーズとバターは、材料はこのミルクだ。チーズはミルクにカビを作用させていて、バターはミルクの脂肪分を固めて作るんだよ。ちょっと記憶があいまいなんで間違ってるかもしれないがな」
作ろうと思って調べた事はあったけど、結構実行できなかったからレシピサイトのあやふやな記憶しかないんだよな。
……どうしようかな、間違っていることを喋ってたら。
俺は急に不安になってくる。
俺の不安をよそに、料理長はじっくりと料理と材料を観察していた。
「ふむふむ、なるほどなるほど」
うん、ちょっと予想外な言葉が出てきてるぞ?
「うむ、このくらいなら再現は可能ですな。どうぞ魔王様、期待してお待ち下さいませ」
「いや、本当にできるのか?」
「はい、私の料理人の魂に賭けましても、必ずや」
いつにもまして気合いの入っている料理長だ。これはとても期待できそうである。
「そうか。足りなくなったら言ってくれ。いつでも仕入れに向かうからよ」
「ありがたきお言葉でございます」
料理長は深く俺に頭を下げていた。
いや、どちらかといえば俺の方が頭を下げたい。
「料理長、オレっちも手伝いますよ」
「ああ、頼むよ、ウルルン」
二人はやる気十分なようだ。これなら、本当に近いうちに再現してしまいそうだな。
そんなわけで、俺は二人が作業を始めたのを見届けると、バフォメットやキリエたちと合流する。今回の視察のまとめをしないといけないからな。
俺は自室に戻って服を着替えると、すぐさまキリエとバフォメットの二人を招集して今後の予定を話し合った。
すべての予定が終わった俺は、夜の静まり返った部屋から窓の外を眺めている。
「しかし、あの岩山は何だったんだろうな。登っても登っても頂上が見えないとか……。ジャガイモとか米とか収穫もあったけど、あればかりはどうも気になってしまうな」
そう、今回の視察で登った岩山のことが忘れられなかったのだ。
遠くから見れば普通に頂上が見えるというのに、本当に不思議でたまらなかった。
なにか、この世界の不思議を垣間見た気持ちだ。
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