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第五章 学園編
第92話 繋がる未来と過去
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学期末試験も終わり、ロゼリアたちはグレイアやアイリスを誘って、ドール商会にやって来ていた。
「おやおや、マゼンダ商会の娘さんたち、何か御用ですかな?」
出迎えたのは、ブラッサとロイエールの父親であるコルン・ドール商会長だ。
「ええ、コーラル領に出向いた時に着用する水着の相談に参りました」
「ほほお、水着ですか」
「はい、私たち三人分の見本はとても気に入りました。水に濡らしても問題はありませんでしたので、折角ですから友人も誘いましてプレゼントしようと思いました」
ロゼリアとチェリシアが用件を言うと、コルンの目が輝いた。
「はっはっはっ、モスグリネ王国から取り寄せましたあの素材の生地がよろしかったのですか。畏まりました、追加の分をお作り致しましょう」
「はい、よろしくお願い致します」
ロゼリアとチェリシア、それにペシエラが頭を下げる。
「では、採寸される方はどちらですかな?」
グレイアとアイリスの二人が前に出る。
「そちらのお嬢様方ですな」
コルンが確認すると、女性の職員に命じて採寸を行わせる。
「男性の分も作りたいのですが、今回の同行者に居なくて残念な限りです」
チェリシアが、本当に残念そうに頬に手を当てた。
「いやはやしかし、水着は面白い物を考えましたな。水に入るための服など、思いつきもしませんでしたぞ」
コルンは素直な感想を漏らす。
「そうですね。普段のドレスからすると、かなり薄着になるわけですから、貴族はまずそれを嫌いますからね」
「そうですな」
「しかし、生地の事を考えると、とても安価にはできませんから、貴族向けの商品になってしまいますね」
「まったくもってその通りです」
ロゼリアが考えを述べていると、コルンはそれを肯定している。どうやらロゼリアの考えは合っているようである。
「ですが、チェリシア様のお考えになったデザインを用いれば、貴族の方々にもきっと受け入れられる事でしょう。私の勘は、そう言っております」
コルンの顔は勝算ありといった感じだ。
ちなみにチェリシアが持ち込んだデザインは、先日ロゼリアたちが試着したもの以外にも、ビキニやシンプルなスク水といったものもあった。この二種類は、貴族相手という事でボツ案になったのだが、庶民向けにできるようなら解禁するらしい。チェリシアもそう聞いている。
しばらくすると、グレイアとアイリスの二人が戻ってきた。採寸は終わったらしい。
「それでは、指定頂いたデザインで数日中には仕上がると思います。その時はまたお越し下さいませ」
採寸係の店員から告げられ、二人は楽しみにしているようだった。
「水着が着られる時を楽しみにしてます」
「兄様に見せたら、きっと卒倒しそうです」
グレイアとアイリスが楽しそうにしている。
しかし、この時のアイリスの言葉に、ペシエラがピクリと反応する。
「兄様? アイリス様にはお兄様がいらっしゃるので?」
ペシエラが何か引っ掛かったかのように、アイリスに質問する。
「は、はい。騎士を目指す一つ上の兄様が居ますけれど、どうかされましたか?」
アイリスが困惑しながら答えると、
「そのお兄様の名前は?」
ペシエラが真剣に尋ねている。
「兄様の名前ですか? ヴィオレス・パープリアですけれど、ご存じなのですか?」
アイリスから返ってきた名前を聞いて、ペシエラは固まった。
「ペシエラ様?」
アイリスがペシエラの目の前で手を振ってみるが、ペシエラが反応するまで時間が掛かった。
水着の追加注文も終わったので、ロゼリアとチェリシアとペシエラの三人は、マゼンダ商会の専用部屋へと移動する。
「ペシエラ、さっきの反応は何だったのかしら」
ロゼリアがペシエラに質問する。あまりにもおかしな反応だったので、チェリシアも気になっているようで、さっきからずっとペシエラに視線を送っている。
「……アイリス様のお兄様、ヴィオレス・パープリアは、私が女王に就いた時の近衛騎士の一人ですわ」
沈黙を破ったペシエラから出てきた言葉は、予想外なものだった。
「それで、少し話をした事があるのですけれど、十四歳の時、妹を魔物の襲撃で亡くしているらしいの」
十四歳……、この単語でロゼリアは何かを察したように、少し身を引いた。
「まさか、その妹って……」
「ええ、名前もその時聞いてましたから、今はっきり思い出しましたわ」
ペシエラは一度目を閉じ、再び見開いて言う。
「その名はアイリス・パープリア。先程、お話ししていた友人その人ですわ」
その場に衝撃が走った。
「おやおや、マゼンダ商会の娘さんたち、何か御用ですかな?」
出迎えたのは、ブラッサとロイエールの父親であるコルン・ドール商会長だ。
「ええ、コーラル領に出向いた時に着用する水着の相談に参りました」
「ほほお、水着ですか」
「はい、私たち三人分の見本はとても気に入りました。水に濡らしても問題はありませんでしたので、折角ですから友人も誘いましてプレゼントしようと思いました」
ロゼリアとチェリシアが用件を言うと、コルンの目が輝いた。
「はっはっはっ、モスグリネ王国から取り寄せましたあの素材の生地がよろしかったのですか。畏まりました、追加の分をお作り致しましょう」
「はい、よろしくお願い致します」
ロゼリアとチェリシア、それにペシエラが頭を下げる。
「では、採寸される方はどちらですかな?」
グレイアとアイリスの二人が前に出る。
「そちらのお嬢様方ですな」
コルンが確認すると、女性の職員に命じて採寸を行わせる。
「男性の分も作りたいのですが、今回の同行者に居なくて残念な限りです」
チェリシアが、本当に残念そうに頬に手を当てた。
「いやはやしかし、水着は面白い物を考えましたな。水に入るための服など、思いつきもしませんでしたぞ」
コルンは素直な感想を漏らす。
「そうですね。普段のドレスからすると、かなり薄着になるわけですから、貴族はまずそれを嫌いますからね」
「そうですな」
「しかし、生地の事を考えると、とても安価にはできませんから、貴族向けの商品になってしまいますね」
「まったくもってその通りです」
ロゼリアが考えを述べていると、コルンはそれを肯定している。どうやらロゼリアの考えは合っているようである。
「ですが、チェリシア様のお考えになったデザインを用いれば、貴族の方々にもきっと受け入れられる事でしょう。私の勘は、そう言っております」
コルンの顔は勝算ありといった感じだ。
ちなみにチェリシアが持ち込んだデザインは、先日ロゼリアたちが試着したもの以外にも、ビキニやシンプルなスク水といったものもあった。この二種類は、貴族相手という事でボツ案になったのだが、庶民向けにできるようなら解禁するらしい。チェリシアもそう聞いている。
しばらくすると、グレイアとアイリスの二人が戻ってきた。採寸は終わったらしい。
「それでは、指定頂いたデザインで数日中には仕上がると思います。その時はまたお越し下さいませ」
採寸係の店員から告げられ、二人は楽しみにしているようだった。
「水着が着られる時を楽しみにしてます」
「兄様に見せたら、きっと卒倒しそうです」
グレイアとアイリスが楽しそうにしている。
しかし、この時のアイリスの言葉に、ペシエラがピクリと反応する。
「兄様? アイリス様にはお兄様がいらっしゃるので?」
ペシエラが何か引っ掛かったかのように、アイリスに質問する。
「は、はい。騎士を目指す一つ上の兄様が居ますけれど、どうかされましたか?」
アイリスが困惑しながら答えると、
「そのお兄様の名前は?」
ペシエラが真剣に尋ねている。
「兄様の名前ですか? ヴィオレス・パープリアですけれど、ご存じなのですか?」
アイリスから返ってきた名前を聞いて、ペシエラは固まった。
「ペシエラ様?」
アイリスがペシエラの目の前で手を振ってみるが、ペシエラが反応するまで時間が掛かった。
水着の追加注文も終わったので、ロゼリアとチェリシアとペシエラの三人は、マゼンダ商会の専用部屋へと移動する。
「ペシエラ、さっきの反応は何だったのかしら」
ロゼリアがペシエラに質問する。あまりにもおかしな反応だったので、チェリシアも気になっているようで、さっきからずっとペシエラに視線を送っている。
「……アイリス様のお兄様、ヴィオレス・パープリアは、私が女王に就いた時の近衛騎士の一人ですわ」
沈黙を破ったペシエラから出てきた言葉は、予想外なものだった。
「それで、少し話をした事があるのですけれど、十四歳の時、妹を魔物の襲撃で亡くしているらしいの」
十四歳……、この単語でロゼリアは何かを察したように、少し身を引いた。
「まさか、その妹って……」
「ええ、名前もその時聞いてましたから、今はっきり思い出しましたわ」
ペシエラは一度目を閉じ、再び見開いて言う。
「その名はアイリス・パープリア。先程、お話ししていた友人その人ですわ」
その場に衝撃が走った。
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