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第七章 一年次・後半
第139話 躍進の王子
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さてさて、観客席に戻ってきた三人は武台に目を向ける。ちょうど三戦目が始まるところのようだ。二戦目は見逃したようで、ペシエラがちょっと残念そうにする。
三戦目もあっという間に終わり、四戦目。シルヴァノ王子の登場である。王子としてまじめに取り組んでいるらしく、かなり王宮内では慕われているらしい。逆行前では考えられなかった話である。
王政に剣術、魔法など、現在のシルヴァノはどれにおいても真剣に向き合っている。次期国王として、誇れるほどになっていた。
そのシルヴァノの相手は、四年次生の棒術使いである。リーチならば相手に分がある。だが、シルヴァノには余裕の表情が見て取れる。
「殿下、だいぶ落ち着いてるわね。前回も一年次から参加されてたけど、予選敗退だったから成長してるわね」
ロゼリアが感想を漏らしている。
「そうね。前回の今頃は、私と学園祭巡りしてましたわ。とは言っても、私が無理やりついて行っただけですけれど」
「ペシエラ、そんな事してたの?」
「ええ、最初から殿下と仲良くしようとしてましたから。裏工作は大事ですわよ」
ペシエラのさらっとした告白に、ロゼリアはとても驚いている。しかし、こういった行動が、あの断罪シーンに繋がっていったのだから、裏工作という単語には納得がいった。
だが、今はシルヴァノの試合だ。
シルヴァノの使う武器は、ペシエラと同じサーベルだ。それにしても、顔立ちの整った王子が剣を構えると、どうしてこうも絵になるのだろうか。チェリシアとペシエラは、揃ってカメラで撮っている。
「なんで持ってるの、二人とも」
「収納魔法に押し込んでたのよ」
ロゼリアの驚きに、チェリシアは淡々と答えた。ちなみにこのカメラ、武術大会の実行委員にも二台提供している。改良が進んで扱いやすくなったので、こっそりとモニターをお願いしたのだ。さすが抜け目がない。
「攻略対象の試合もだけど、こうやって撮っておけば、不正云々の時の証拠にできるのよ。このカメラの能力は売り込んだ時に証明してるし、驚かれたけど大変気に入ってもらえたわ」
「ちなみに、魔石一個で数百枚は余裕で撮れますわ」
チェリシアとペシエラが口々に言う。いつの間にこんな事をしていたのか、知らなかったロゼリアは口を開けて呆然とした。
あと、値段の事はまったく話していなかったが、付けるとするなら金貨百枚以上はするだろう。それくらい画期的な物なのである。
カメラの話をしている間に、シルヴァノの試合が始まった。対戦相手は王子相手にも遠慮なく攻撃を仕掛ける。試合なのだから当然ではあるが、棒術使いである学生はシルヴァノの正面から突きを放ってきた。
ところが、シルヴァノは動じない。冷静に棒を剣でいなすと、勢いそのままに突っ込んできた相手の脇腹に剣の柄を思いっきり打ち付ける。相当に思いっきり入ったらしく、相手はそのままその場に苦しみながら膝をついた。
圧勝だった。
相手も予選を勝ち抜いたので、それなりの腕を持つ者のはずだが、シルヴァノは冷静に対応してみせた。今武台の上に居るシルヴァノは、逆行前のシルヴァノとは確実に違う。王位を継ぐ者としてふさわしい雰囲気を纏っていた。
シルヴァノの圧勝に、会場は大いに沸く。そして、王子様スマイルを発動すれば、会場の女子たちがもうメロメロである。強さを兼ね備えてタラシになったよ。
なにこれ、何を見せられているのだろう?
ロゼリアはあまりのギャップに、目を点にさせていた。
「私に剣の事を聞きに来た時は驚きましたわよ。逆行前に夫婦となった仲なので、悪い気はしませんでしたが、こうも意欲的な殿下は初めて見ましたわ」
ペシエラも、あまりの王子の成長ぶりには驚かされたらしい。
しかし、シルヴァノのこれほどの活躍を見せられては、黙っていない者が一名居た。
「順当に行けば、準決勝で当たるか……。シルヴァノ王子、相手にとって不足なし!」
第八戦で登場する、隣国モスグリネ王国王子のペイルだった。
三戦目もあっという間に終わり、四戦目。シルヴァノ王子の登場である。王子としてまじめに取り組んでいるらしく、かなり王宮内では慕われているらしい。逆行前では考えられなかった話である。
王政に剣術、魔法など、現在のシルヴァノはどれにおいても真剣に向き合っている。次期国王として、誇れるほどになっていた。
そのシルヴァノの相手は、四年次生の棒術使いである。リーチならば相手に分がある。だが、シルヴァノには余裕の表情が見て取れる。
「殿下、だいぶ落ち着いてるわね。前回も一年次から参加されてたけど、予選敗退だったから成長してるわね」
ロゼリアが感想を漏らしている。
「そうね。前回の今頃は、私と学園祭巡りしてましたわ。とは言っても、私が無理やりついて行っただけですけれど」
「ペシエラ、そんな事してたの?」
「ええ、最初から殿下と仲良くしようとしてましたから。裏工作は大事ですわよ」
ペシエラのさらっとした告白に、ロゼリアはとても驚いている。しかし、こういった行動が、あの断罪シーンに繋がっていったのだから、裏工作という単語には納得がいった。
だが、今はシルヴァノの試合だ。
シルヴァノの使う武器は、ペシエラと同じサーベルだ。それにしても、顔立ちの整った王子が剣を構えると、どうしてこうも絵になるのだろうか。チェリシアとペシエラは、揃ってカメラで撮っている。
「なんで持ってるの、二人とも」
「収納魔法に押し込んでたのよ」
ロゼリアの驚きに、チェリシアは淡々と答えた。ちなみにこのカメラ、武術大会の実行委員にも二台提供している。改良が進んで扱いやすくなったので、こっそりとモニターをお願いしたのだ。さすが抜け目がない。
「攻略対象の試合もだけど、こうやって撮っておけば、不正云々の時の証拠にできるのよ。このカメラの能力は売り込んだ時に証明してるし、驚かれたけど大変気に入ってもらえたわ」
「ちなみに、魔石一個で数百枚は余裕で撮れますわ」
チェリシアとペシエラが口々に言う。いつの間にこんな事をしていたのか、知らなかったロゼリアは口を開けて呆然とした。
あと、値段の事はまったく話していなかったが、付けるとするなら金貨百枚以上はするだろう。それくらい画期的な物なのである。
カメラの話をしている間に、シルヴァノの試合が始まった。対戦相手は王子相手にも遠慮なく攻撃を仕掛ける。試合なのだから当然ではあるが、棒術使いである学生はシルヴァノの正面から突きを放ってきた。
ところが、シルヴァノは動じない。冷静に棒を剣でいなすと、勢いそのままに突っ込んできた相手の脇腹に剣の柄を思いっきり打ち付ける。相当に思いっきり入ったらしく、相手はそのままその場に苦しみながら膝をついた。
圧勝だった。
相手も予選を勝ち抜いたので、それなりの腕を持つ者のはずだが、シルヴァノは冷静に対応してみせた。今武台の上に居るシルヴァノは、逆行前のシルヴァノとは確実に違う。王位を継ぐ者としてふさわしい雰囲気を纏っていた。
シルヴァノの圧勝に、会場は大いに沸く。そして、王子様スマイルを発動すれば、会場の女子たちがもうメロメロである。強さを兼ね備えてタラシになったよ。
なにこれ、何を見せられているのだろう?
ロゼリアはあまりのギャップに、目を点にさせていた。
「私に剣の事を聞きに来た時は驚きましたわよ。逆行前に夫婦となった仲なので、悪い気はしませんでしたが、こうも意欲的な殿下は初めて見ましたわ」
ペシエラも、あまりの王子の成長ぶりには驚かされたらしい。
しかし、シルヴァノのこれほどの活躍を見せられては、黙っていない者が一名居た。
「順当に行けば、準決勝で当たるか……。シルヴァノ王子、相手にとって不足なし!」
第八戦で登場する、隣国モスグリネ王国王子のペイルだった。
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