逆行令嬢と転生ヒロイン

未羊

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第七章 一年次・後半

第149話 マゼンダ領に到着

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 王都での用事を、シアンとニーズヘッグに任せたロゼリアたちは、マゼンダ領へと出向いていた。アイリスも同行している。
 年次末試験は無事に突破して、全員年が明ければ二年次に進級である。
 あと、何かと大変だと思ったヴァミリオとプラウスの説得だが、これも問題なく許可が取れた。子ども四人だけでいいのだろうか。
 移動はエアリアルボードで安全だし、防壁魔法もあるし、魔法も規格外なほどに強力。ロゼリアたちがやられる事はそう想定できる事ではない。それくらいには大人たちから信用をもらっているのだ。
 アイリスが同行する理由は単純だ。相手が幻獣、神獣だというのなら、神獣使いの子孫であるアイリスは必須なのだ。連絡役である蒼鱗魚は常にアイリスに取り巻いているし、疑われても説得力はあると思う。
 マゼンダ領は王都から近い。位置的にはアクアマリン領とコーラル領に挟まれるような場所になる。のんびり馬車でも四日しか掛からない。急げば二日だ。シェリアまで十日、サファイア湖まで六日というのを考えれば十分近い。エアリアルボードなら、なんと朝に出て夕方には着く。近過ぎるし早すぎる。
 とはいえ、マゼンダ領の中心地にはまだ辿り着いていない。あくまで領地の端までの移動に過ぎない。
 というわけなので、マゼンダ領に入ったところで野営をする。チェリシアが居れば快適な野営となる。防護壁で外敵は入って来ないし、収納魔法には立派な天幕や温かい食事が入っている。うん、みんなの知る野営と違う。
 まずは領内のマゼンダ侯爵本邸へと向かう。帰省なら実家に挨拶するのは基本なのだ。
「おお、お帰りなさいませ、ロゼリアお嬢様」
 本邸の執事が出迎えて挨拶をする。そして、ロゼリアの周りを見た後、こう尋ねた。
「旦那様たちは、いらっしゃらないのですか?」
「はい、私たちだけで戻ってまいりました。お父様たちは、王都での仕事が溜まっているようですので、しばらく動けないと思います」
「左様でございますか」
 ロゼリアの返答に、少々残念そうな表情をする執事。しかし、この時、誰も気が付かなかったが、ペシエラが違和感を感じような表情をしていた。
 で、マゼンダ侯爵が王都から動けない理由が、このロゼリアたちなのである。夏の合宿に加えて学園祭での魔物の襲撃。これらの後始末がいまだに続いているのだ。それに、マゼンダ商会の方の取引も活発化しており、こっちの対応にも追われている。パパさん涙目である。
 とりあえず、しばらくはマゼンダ領内に留まる予定のロゼリアたち。侯爵邸を基点に、神獣と幻獣に会いに行く予定である。
 その夜、ロゼリアたちはひと部屋に集まって、今後の計画を話し合う。
 マゼンダ侯爵領の冬は、隣のコーラル領の山間部と同じように結構雪が降る。コーラル領との境の山の雪解け水が、マゼンダ領とアクアマリン領の自然を生み出しているのだ。
 これからロゼリアたちが向かう場所は、どちらもそういった場所であるので、防寒着は必須である。常に防護壁を展開できるとも限らないので、用意する必要があったのだ。
「神獣はフェンリルとは違うようね」
 文献を確認しても、マゼンダ領の神獣はフェンリルではなかった。インフェルノとか書いてあるので、火属性の神獣なのだろう。という事は、マゼンダ領には火山でもあるのだろうか。チェリシアはちょっと期待している。
「幻獣も聞き慣れないものですわね。幻影ファントム……、闇属性かしら」
 ペシエラも文献を覗き込んで、感想を漏らしていた。
「ファントムは神出鬼没で、どこに居るのか特定できないようね。そうなると、確実に居場所が特定できるインフェルノの方から行きましょうか」
「そうね」
 ロゼリアの意見で、とりあえず方針は決まった。
 インフェルノが居るのは、北の氷山エリアらしい。極寒の地に火の神獣とは、一体どういう事なのか。甚だ疑問ではあるが、ロゼリアたちは氷山エリアに向かう準備をする事となった。
 ……さすがにこの日は遅い。
 ロゼリアはチェリシアと同室。ペシエラとアイリスが同室という形で、その日は眠る事になった。
 未知なる神獣と幻獣に会うための冒険に、心を躍らせながら……。
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