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第八章 二年次
第181話 犯人を追い詰めろ
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アクアマリン子爵の別荘内。
その一室の空気は、非常に重くなっていた。
「魔物氾濫が人為的に?」
「そんな事が可能なのか?」
学生や教官たちが騒めいている。
「去年、合宿や武術大会では召喚陣が使われていました。口止めはしてましたから、あまり一般には広がってないですが」
ロゼリアは淡々と言う。
「チェリシア、画像出せる?」
「え、ええ。ちょっと待ってて」
ロゼリアに言われて、チェリシアは服からカメラを出して、壁に画像を投影する。これはカメラを改良して付けた、新しい機能だ。魔石に記録された画像を投影する事ができる。
壁に投影された画像には、武術大会の武台や、そこに付けられた召喚陣がはっきりと写っている。
「な、なんだ、これはっ!」
「マゼンダ商会の魔道具で、カメラというものよ。風景を撮影して画像として保存できる代物なの」
騒ぎ立てる教官に、ロゼリアは淡々と説明する。
「武台の中央と円周の四ヶ所に、変な円形の模様があるでしょ? それが召喚陣よ」
画像を見ながら、室内が大きくどよめく。
魔物を人為的に、しかも大量に召喚できるという事実は、多くの者が知らない事だった。それ故に、これ程までに騒いでいるのだろう。
ロゼリアは、この騒ぎの中でも、とある動きをまったく見逃さなかった。そして、チェリシアに目で合図を送り、とある魔法を発動してもらった。
「ぐわあぁぁっ!!」
学生の群れの中から、突如として苦悶の声が上がる。
「な、なんだ、どうした?!」
教官たちが騒ぐ。
「今回の分と含めて、召喚陣に含まれる魔力に反応する結界を、チェリシアに張ってもらっただけよ。……さっきから目が泳いでいたから確信してたけど、やはり内部に犯人が居ましたね」
苦しんで倒れ込んでいるのは、ほぼ黒に近い髪色の男子学生だった。その周りはその様子に驚いて固まっている。
「ダルク・カーボニル。そして……」
ロゼリアが学生の名前を告げた次の瞬間。
「おっと、この人物も忘れてもらっては困りますよ」
「っ! ガレン先生」
ガレンが、ダルク同様に苦しそうにする男性教官を連れてきた。
「まったく、去年の事件で観察処分になっていたのに、諦めが悪い方ですねぇ……」
「くっ……」
ガレンが床に転がした教官は、苦しみながらも睨むようにガレンを見ている。
「デプス・カーボニル教官。ダルク様の実兄ですね」
学生や教官たちが、驚いて二人を見ている。
「まさか、犯人というのは?」
「ええ、学園関係で起きた事件の犯人は、この二人で間違いないでしょう」
ロゼリアは強く疑問を肯定する。しかし、いくら魔力に反応したからといって、犯人と断ずるには証拠が足りない。
その時だった。
「お姉様、ご無事ですか!」
「ペ、ペシエラ。無事だったのね」
ペシエラ、アイリス、プラティナの三人と、何か見慣れない人物が一人入ってきた。
その見慣れない人物が、地面に倒れる二人を見て反応する。
「間違いないです。あの召喚陣から感じた魔力は二人のものです!」
見知らぬ人物が叫んだ。
「はっ、どこの誰かは知らんが、分からん事だな」
デプスは、シラを切るような言い方をする。
「知らないですって? 無理やり呼び出しておいて、ずいぶんな言い方ね!」
こう叫んだ見慣れない人物の姿が変わっていく。すると、そこに現れたのは、ペシエラたちが相手していたメタルゼリーだった。
メタルゼリーはすぐに人の形態に変化して、ダルクとデプスの二人を睨んだ。
「ま、魔物!? どういう事だ?」
場の全員が騒ぎ出した。それに答えたのはメタルゼリーだった。
「私たちはアイリス様と契約したのよ。その結果として、私は人型に変化する力を身に付けたの。女性の姿なのは契約者の影響よ」
衝撃的な事を言っている。
「まったく、こんな素晴らしい主人様に会えた事は幸運だけど。……魔物にも生活圏っていうのがあるの。それを壊した召喚陣を仕掛けた犯人は、許されたものではないわ!」
一般的な女性の口調でめちゃくちゃ流暢に喋るメタルゼリー。それにしても、怒りに満ち溢れているので威圧感が凄い。もう全員がビビりまくっている。
「まあ待って。断罪するのはもう少し追い込んでからでもいいでしょう」
こう言って出てきたのはプラティナとアイリスだった。
「魔物氾濫の魔物を相手にしている時、私たちは興味深いものを見つけましたので、ご覧頂きます」
プラティナがこう言って、アイリスに合図を送る。すると、アイリスが取り出したカメラから、画像が投影される。
そこに映し出されたのは、先程チェリシアが映し出した召喚陣と同じものであり、そこには奇妙な物体が同時に写っていた。これを見たダルクとデプスの二人は、見るからに顔を青ざめさせていくのだった。
その一室の空気は、非常に重くなっていた。
「魔物氾濫が人為的に?」
「そんな事が可能なのか?」
学生や教官たちが騒めいている。
「去年、合宿や武術大会では召喚陣が使われていました。口止めはしてましたから、あまり一般には広がってないですが」
ロゼリアは淡々と言う。
「チェリシア、画像出せる?」
「え、ええ。ちょっと待ってて」
ロゼリアに言われて、チェリシアは服からカメラを出して、壁に画像を投影する。これはカメラを改良して付けた、新しい機能だ。魔石に記録された画像を投影する事ができる。
壁に投影された画像には、武術大会の武台や、そこに付けられた召喚陣がはっきりと写っている。
「な、なんだ、これはっ!」
「マゼンダ商会の魔道具で、カメラというものよ。風景を撮影して画像として保存できる代物なの」
騒ぎ立てる教官に、ロゼリアは淡々と説明する。
「武台の中央と円周の四ヶ所に、変な円形の模様があるでしょ? それが召喚陣よ」
画像を見ながら、室内が大きくどよめく。
魔物を人為的に、しかも大量に召喚できるという事実は、多くの者が知らない事だった。それ故に、これ程までに騒いでいるのだろう。
ロゼリアは、この騒ぎの中でも、とある動きをまったく見逃さなかった。そして、チェリシアに目で合図を送り、とある魔法を発動してもらった。
「ぐわあぁぁっ!!」
学生の群れの中から、突如として苦悶の声が上がる。
「な、なんだ、どうした?!」
教官たちが騒ぐ。
「今回の分と含めて、召喚陣に含まれる魔力に反応する結界を、チェリシアに張ってもらっただけよ。……さっきから目が泳いでいたから確信してたけど、やはり内部に犯人が居ましたね」
苦しんで倒れ込んでいるのは、ほぼ黒に近い髪色の男子学生だった。その周りはその様子に驚いて固まっている。
「ダルク・カーボニル。そして……」
ロゼリアが学生の名前を告げた次の瞬間。
「おっと、この人物も忘れてもらっては困りますよ」
「っ! ガレン先生」
ガレンが、ダルク同様に苦しそうにする男性教官を連れてきた。
「まったく、去年の事件で観察処分になっていたのに、諦めが悪い方ですねぇ……」
「くっ……」
ガレンが床に転がした教官は、苦しみながらも睨むようにガレンを見ている。
「デプス・カーボニル教官。ダルク様の実兄ですね」
学生や教官たちが、驚いて二人を見ている。
「まさか、犯人というのは?」
「ええ、学園関係で起きた事件の犯人は、この二人で間違いないでしょう」
ロゼリアは強く疑問を肯定する。しかし、いくら魔力に反応したからといって、犯人と断ずるには証拠が足りない。
その時だった。
「お姉様、ご無事ですか!」
「ペ、ペシエラ。無事だったのね」
ペシエラ、アイリス、プラティナの三人と、何か見慣れない人物が一人入ってきた。
その見慣れない人物が、地面に倒れる二人を見て反応する。
「間違いないです。あの召喚陣から感じた魔力は二人のものです!」
見知らぬ人物が叫んだ。
「はっ、どこの誰かは知らんが、分からん事だな」
デプスは、シラを切るような言い方をする。
「知らないですって? 無理やり呼び出しておいて、ずいぶんな言い方ね!」
こう叫んだ見慣れない人物の姿が変わっていく。すると、そこに現れたのは、ペシエラたちが相手していたメタルゼリーだった。
メタルゼリーはすぐに人の形態に変化して、ダルクとデプスの二人を睨んだ。
「ま、魔物!? どういう事だ?」
場の全員が騒ぎ出した。それに答えたのはメタルゼリーだった。
「私たちはアイリス様と契約したのよ。その結果として、私は人型に変化する力を身に付けたの。女性の姿なのは契約者の影響よ」
衝撃的な事を言っている。
「まったく、こんな素晴らしい主人様に会えた事は幸運だけど。……魔物にも生活圏っていうのがあるの。それを壊した召喚陣を仕掛けた犯人は、許されたものではないわ!」
一般的な女性の口調でめちゃくちゃ流暢に喋るメタルゼリー。それにしても、怒りに満ち溢れているので威圧感が凄い。もう全員がビビりまくっている。
「まあ待って。断罪するのはもう少し追い込んでからでもいいでしょう」
こう言って出てきたのはプラティナとアイリスだった。
「魔物氾濫の魔物を相手にしている時、私たちは興味深いものを見つけましたので、ご覧頂きます」
プラティナがこう言って、アイリスに合図を送る。すると、アイリスが取り出したカメラから、画像が投影される。
そこに映し出されたのは、先程チェリシアが映し出した召喚陣と同じものであり、そこには奇妙な物体が同時に写っていた。これを見たダルクとデプスの二人は、見るからに顔を青ざめさせていくのだった。
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