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新章 青色の智姫
第214話 アイヴォリー崩壊の真相
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ここにきてトパゼリアの女王ティールから告げられたとんでもない発言。
だが、それをなぜ一国の王女に過ぎないシアンへと語ったのか。
衝撃を受ける一方、シアンはあれこれと考えが頭の中を駆け巡っていた。
「ふむ、子どもにはちょっと衝撃的過ぎたかな。とはいえ、妾が知る限りでは青色の髪色を持つそなただけ。だからこそ、妾はこの話を持ちかけたのだ」
ティールは淡々とした表情で話している。
一方のシアンは前世のことを思い出していた。しかも、それは逆行前のところまでさかのぼっている。
シアン・アクアマリンとして膨大な魔力を持っていた頃のことだ。
ティールに言われたことで、あの頃のことが鮮明に頭に蘇ってくる。
なぜ、ロゼリア・マゼンダはその命を奪われなければいけなかったのか。
なぜ、アクアマリン子爵領のサファイア湖で頻繁に事件が起きるのか。
アイヴォリー王国を敵視しているのであるならば、王族だけを狙えばいいはずだ。だというのに、必ずロゼリアも巻き込まれるような状況で事件は起こっている。
逆行前も逆行後もだ。
理由はまったくもって分からなかった。
ところが、その答えは意外なところからもたらされた。
そう、先程のティールの発言である。
青色の髪はアトランティス帝国の子孫が持つ特徴らしいのだ。
ティール自身、あのカイスの近くの奇跡の湖を見て感動で涙したくらいだ。アトランティス帝国の帝都のあった場所は、かつての帝国の民たちの心のよりどころなのである。
「なるほど、アトランティスの帝国の血を引きながら、敵地の中でよりどころを取り戻す様子もなく、のうのうと暮らしていたのが一族の逆鱗に触れたというわけですか……」
「何を言っているのだ、シアン」
目の前に座るシアンの独り言に、ティールはどう反応していいのか困っているようだ。
「トパゼリアの女王、ちょっとお伺いしてもよろしいでしょうか」
「構わぬ。妾が答えられる範囲であるならな」
「ありがとうございます」
ひとまずお礼を言っておくシアンである。
「アクアマリン子爵領のサファイア湖はご存じでいらっしゃいますか?」
「妾は場所は知らぬぞ。だが、オニオールの連中はやけにこだわっておったな。妾たちは漠然とアイヴォリー王国に対する敵意しか持っておらなんだからな」
「そうですか、ありがとうございます」
「そ、そうか。よく分からぬが解決したなら良いことであるな」
ティールはシアンの言動が理解できずに困惑していた。
その後は、適当に話をしながらやり過ごしたシアンなのであった。
お茶会から解放されたシアンは、部屋に戻ってソファーに座り込む。
「スミレ」
「はい、シアン様」
シアンが呼べば、すぐさま隣に立つスミレである。
「ようやくこれで、ロゼリア様……今のお母様が執拗に狙われていたのかが分かりましたね」
「そのようですね。しかし、髪色の話は初耳でございますよ」
「スミレ、あなたでも気が付いていなかったと?」
「興味ありませんでしたからね。時の幻獣はすべての時を見ています。髪色なんてただの記号でしかありませんから」
「なるほど……ね」
ソファーにもたれ掛かって天井を見上げるシアン。
「まさかお母様にも、アトランティス帝国の血が流れているなんて思いもしませんでした」
「どちらの親から受け継いだのか分からないのに、もう断定なさるのですね」
「逆行前のことを思えば、すぐにでも分かりましたよ」
シアンの瞳は、今にも泣き出しそうな状態だった。
「私自身もアトランティス帝国の末裔というわけですね。アクアマリン子爵家は、分かりやすい青色が特徴ですからね。お母様に流れる血に私の魂が反応して、私の髪色として現れた。そういうわけですか」
シアンは衝撃すぎて、笑い始めてしまった。
「でも、これで合点がいきましたよ。お嬢様がどうして殺される運命になったのか、どうしてサファイア湖を現場に選んだのか。すべては裏切者を消すためだったというわけですね」
「シアン様……」
あまりにも痛々しい表情に、スミレもどう対応していいのか分からない。ただ、笑うシアンを見ていることしかできなかった。
「逆行前ではその目論見が全部うまくいって、アイヴォリー王国を滅ぼすことまでできましたからね。あの時は、みんなうまく踊らされてしまったものですね」
「そうでございますね。そういう意味では、シアン様の禁法を使うという手段は、実に英断だったと思われます」
天井を見上げていたシアンは、今度は項垂れてしまっている。スミレはシアンの状態に関わらず、淡々とフォローを入れている。こういうところは中立な幻獣らしさというものだろう。
スミレはこのまま、黙り込んでたそがれるシアンの隣に立ち続けたのだった。
時渡りの秘法を使い時間をさかのぼり、さらには転生まで重ねてきたシアン。
ロゼリア・マゼンダの処刑という衝撃の日からもうどのくらい経っただろうか。
ようやく知ることになった真相に、その日は結局食事がのどを通る様子もなく、元気なく休むことになったのだった。
だが、それをなぜ一国の王女に過ぎないシアンへと語ったのか。
衝撃を受ける一方、シアンはあれこれと考えが頭の中を駆け巡っていた。
「ふむ、子どもにはちょっと衝撃的過ぎたかな。とはいえ、妾が知る限りでは青色の髪色を持つそなただけ。だからこそ、妾はこの話を持ちかけたのだ」
ティールは淡々とした表情で話している。
一方のシアンは前世のことを思い出していた。しかも、それは逆行前のところまでさかのぼっている。
シアン・アクアマリンとして膨大な魔力を持っていた頃のことだ。
ティールに言われたことで、あの頃のことが鮮明に頭に蘇ってくる。
なぜ、ロゼリア・マゼンダはその命を奪われなければいけなかったのか。
なぜ、アクアマリン子爵領のサファイア湖で頻繁に事件が起きるのか。
アイヴォリー王国を敵視しているのであるならば、王族だけを狙えばいいはずだ。だというのに、必ずロゼリアも巻き込まれるような状況で事件は起こっている。
逆行前も逆行後もだ。
理由はまったくもって分からなかった。
ところが、その答えは意外なところからもたらされた。
そう、先程のティールの発言である。
青色の髪はアトランティス帝国の子孫が持つ特徴らしいのだ。
ティール自身、あのカイスの近くの奇跡の湖を見て感動で涙したくらいだ。アトランティス帝国の帝都のあった場所は、かつての帝国の民たちの心のよりどころなのである。
「なるほど、アトランティスの帝国の血を引きながら、敵地の中でよりどころを取り戻す様子もなく、のうのうと暮らしていたのが一族の逆鱗に触れたというわけですか……」
「何を言っているのだ、シアン」
目の前に座るシアンの独り言に、ティールはどう反応していいのか困っているようだ。
「トパゼリアの女王、ちょっとお伺いしてもよろしいでしょうか」
「構わぬ。妾が答えられる範囲であるならな」
「ありがとうございます」
ひとまずお礼を言っておくシアンである。
「アクアマリン子爵領のサファイア湖はご存じでいらっしゃいますか?」
「妾は場所は知らぬぞ。だが、オニオールの連中はやけにこだわっておったな。妾たちは漠然とアイヴォリー王国に対する敵意しか持っておらなんだからな」
「そうですか、ありがとうございます」
「そ、そうか。よく分からぬが解決したなら良いことであるな」
ティールはシアンの言動が理解できずに困惑していた。
その後は、適当に話をしながらやり過ごしたシアンなのであった。
お茶会から解放されたシアンは、部屋に戻ってソファーに座り込む。
「スミレ」
「はい、シアン様」
シアンが呼べば、すぐさま隣に立つスミレである。
「ようやくこれで、ロゼリア様……今のお母様が執拗に狙われていたのかが分かりましたね」
「そのようですね。しかし、髪色の話は初耳でございますよ」
「スミレ、あなたでも気が付いていなかったと?」
「興味ありませんでしたからね。時の幻獣はすべての時を見ています。髪色なんてただの記号でしかありませんから」
「なるほど……ね」
ソファーにもたれ掛かって天井を見上げるシアン。
「まさかお母様にも、アトランティス帝国の血が流れているなんて思いもしませんでした」
「どちらの親から受け継いだのか分からないのに、もう断定なさるのですね」
「逆行前のことを思えば、すぐにでも分かりましたよ」
シアンの瞳は、今にも泣き出しそうな状態だった。
「私自身もアトランティス帝国の末裔というわけですね。アクアマリン子爵家は、分かりやすい青色が特徴ですからね。お母様に流れる血に私の魂が反応して、私の髪色として現れた。そういうわけですか」
シアンは衝撃すぎて、笑い始めてしまった。
「でも、これで合点がいきましたよ。お嬢様がどうして殺される運命になったのか、どうしてサファイア湖を現場に選んだのか。すべては裏切者を消すためだったというわけですね」
「シアン様……」
あまりにも痛々しい表情に、スミレもどう対応していいのか分からない。ただ、笑うシアンを見ていることしかできなかった。
「逆行前ではその目論見が全部うまくいって、アイヴォリー王国を滅ぼすことまでできましたからね。あの時は、みんなうまく踊らされてしまったものですね」
「そうでございますね。そういう意味では、シアン様の禁法を使うという手段は、実に英断だったと思われます」
天井を見上げていたシアンは、今度は項垂れてしまっている。スミレはシアンの状態に関わらず、淡々とフォローを入れている。こういうところは中立な幻獣らしさというものだろう。
スミレはこのまま、黙り込んでたそがれるシアンの隣に立ち続けたのだった。
時渡りの秘法を使い時間をさかのぼり、さらには転生まで重ねてきたシアン。
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