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新章 青色の智姫
第217話 始まる武術大会を前に
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アイヴォリー王国の誇る教育機関であるサンフレア学園。
今ここに、歴史的快挙がなされようとしていた。
「ほう、ここがアイヴォリーの学園か。セージ、セラドン、よく見ておくのだ。ここがお前たちの通うことになる学園なのだからな」
「分かりましたよ、母上」
「兄上、見かけだけでも機嫌よくして下さい」
少しくらいは隠すとかしたらどうなのかと思うペシエラとロゼリアである。
すっかり浄化されてしまったティールに比べて、その息子たちは相変わらずのひねくれっぷりらしい。
それでも、ティールが言うには以前よりは性格は丸くなったという。
ここまで変化が現れたのは、おそらく浄化されたティールのデーモンハートの影響を受けていると考えられる。三人は家族であるので、普段から一緒にいることが多い。可能性はありえるのだ。
それにしても、デーモンハートの精神汚染に勝ってしまうとは、どれだけシアンの使った浄化魔法が強力だったのか疑問を持たざるを得なかった。
学園の中に足を踏み入れたペシエラたちは、早速武術大会の行われる会場へと向かう。
「ほほう、学園の中に闘技場か」
「昔の名残ですわね。今では学園祭の武術大会でしか使っておりませんわ」
「もったいないな。これだけ立派な設備、遊ばせておくのももったいなかろうて」
至極真っ当な指摘ではあるものの、アイヴォリーの現状では使いどころがない。隣の訓練場でほぼ事足りてしまうからだ。
「まあ、一応考えおきますわ」
ペシエラはそうとだけ返しておく。
貴賓席までやって来たペシエラたち。初日はシルヴァノは来賓対応のために出てこれなかった。
ペシエラは忙しいシルヴァノの代わりに武術大会を見学に来たのである。トパゼリアの女王を任されたともいう。
「して、この武術大会とやらを詳しく教えてもらえぬかな」
「いいでしょう。この武術大会は、サンフレア学園の伝統行事ですわ。女王のように国外から参られた方々相手に、我が国の若輩者たちの実力を見せるという役割も担っておりますわ」
「ほう……」
ティールはかなり興味を示しており模様。だが、隣ではセージもセラドンもまったく興味なさそうである。どうして親子でこうも違うのか。
「参加者はサンフレア学園の在校生のみに限定されますわ」
「学園祭の出し物だから、まあそうだろうな」
意外とすんなりと納得するティールである。
「そう、この学園の学生であればいいのですから、特例でもいいので学生になれれば、この大会に参加できますのよ」
「ほう、その特例とやらは?」
ペシエラの言葉にぴくりと反応する。
「わたくしが、その特例の実例ですわよ」
ペシエラは胸を張っている。
「ええ、ペシエラは本来十三歳からしか入れない学園に、十歳で入学しましたからね。ペシエラの才能があってこそというものですよ」
そこへロゼリアが補足を入れる。
「ええ、十歳の時からこの武術大会にも参加致しましたわ。さすがに体力で押し負けてしまいましたけれど」
「まったく、普通はローヒールのブーツにパンツスタイルで出るものですのに、ハイヒールに女子の制服で出るものだから、みんな驚いていたものですよ」
「ほうほう、それはぜひとも当時を見てみたかったものだな」
ティールはとても残念そうな顔をしている。ちなみに息子たちは聞いてはいなかった。
「お前たち、聞いておるのか。お前たちの年齢で、年上を打ち負かしておった人物が目の前におるのだ。お前たちはトパゼリアの王子として、野心というものはないのか」
つーんと興味なさそうにするセージとセラドンである。
「まったく、やれやれだな。すまないな、不愛想な息子たちで」
「反抗期でしょうかね。女王が急に変わったものだから、戸惑っているのかもしれませんよ」
「そうなのか、お前たち」
「……知らない」
ティールが確認すれば、ぷいっと顔を背けてしまう息子たちだった。
そうこうしているうちに、会場が盛り上がりを見せている。どうやら武術大会が始まるようだ。
「まったくしょうがありませんわね。ちょっとお姉様を呼んできますわね」
「ちょっとペシエラ?!」
次の瞬間、ペシエラはその場から一瞬で姿を消していた。瞬間移動魔法である。
現状でこの魔法を使えるのは、ペシエラとその姉であるチェリシアだけだ。あとは神獣や幻獣でもない限り使えないという魔法である。
「な、なんだ今の魔法は」
「えっとですね、一瞬で別の場所へと移動してしまう魔法ですね。チェリシアとペシエラの二人だけが使える特殊な魔法なんですよ」
「むむむむ……。ますます興味が湧いたな、アイヴォリー王国」
なんとも悪い顔をしているティールである。
しばらくすると、ペシエラはチェリシアを連れて貴賓席に戻ってきた。
「お姉様、しばらくの間、女王の相手をお願いしますわ」
「ちょっとペシエラ。どこへ行くつもりよ」
「な~に、ちょっとしたサプライズですわよ」
にししと笑いながら、ロゼリアを誘って姿を消すペシエラである。
まったく一体何をするつもりか想像のついたチェリシアは、諦めてティールの隣に座っていた。
落ち込んだ様子のチェリシアに、ティールはどう反応していいのやら困っていた。
はてさて、ペシエラは一体何をするつもりなのだろうか。
今ここに、歴史的快挙がなされようとしていた。
「ほう、ここがアイヴォリーの学園か。セージ、セラドン、よく見ておくのだ。ここがお前たちの通うことになる学園なのだからな」
「分かりましたよ、母上」
「兄上、見かけだけでも機嫌よくして下さい」
少しくらいは隠すとかしたらどうなのかと思うペシエラとロゼリアである。
すっかり浄化されてしまったティールに比べて、その息子たちは相変わらずのひねくれっぷりらしい。
それでも、ティールが言うには以前よりは性格は丸くなったという。
ここまで変化が現れたのは、おそらく浄化されたティールのデーモンハートの影響を受けていると考えられる。三人は家族であるので、普段から一緒にいることが多い。可能性はありえるのだ。
それにしても、デーモンハートの精神汚染に勝ってしまうとは、どれだけシアンの使った浄化魔法が強力だったのか疑問を持たざるを得なかった。
学園の中に足を踏み入れたペシエラたちは、早速武術大会の行われる会場へと向かう。
「ほほう、学園の中に闘技場か」
「昔の名残ですわね。今では学園祭の武術大会でしか使っておりませんわ」
「もったいないな。これだけ立派な設備、遊ばせておくのももったいなかろうて」
至極真っ当な指摘ではあるものの、アイヴォリーの現状では使いどころがない。隣の訓練場でほぼ事足りてしまうからだ。
「まあ、一応考えおきますわ」
ペシエラはそうとだけ返しておく。
貴賓席までやって来たペシエラたち。初日はシルヴァノは来賓対応のために出てこれなかった。
ペシエラは忙しいシルヴァノの代わりに武術大会を見学に来たのである。トパゼリアの女王を任されたともいう。
「して、この武術大会とやらを詳しく教えてもらえぬかな」
「いいでしょう。この武術大会は、サンフレア学園の伝統行事ですわ。女王のように国外から参られた方々相手に、我が国の若輩者たちの実力を見せるという役割も担っておりますわ」
「ほう……」
ティールはかなり興味を示しており模様。だが、隣ではセージもセラドンもまったく興味なさそうである。どうして親子でこうも違うのか。
「参加者はサンフレア学園の在校生のみに限定されますわ」
「学園祭の出し物だから、まあそうだろうな」
意外とすんなりと納得するティールである。
「そう、この学園の学生であればいいのですから、特例でもいいので学生になれれば、この大会に参加できますのよ」
「ほう、その特例とやらは?」
ペシエラの言葉にぴくりと反応する。
「わたくしが、その特例の実例ですわよ」
ペシエラは胸を張っている。
「ええ、ペシエラは本来十三歳からしか入れない学園に、十歳で入学しましたからね。ペシエラの才能があってこそというものですよ」
そこへロゼリアが補足を入れる。
「ええ、十歳の時からこの武術大会にも参加致しましたわ。さすがに体力で押し負けてしまいましたけれど」
「まったく、普通はローヒールのブーツにパンツスタイルで出るものですのに、ハイヒールに女子の制服で出るものだから、みんな驚いていたものですよ」
「ほうほう、それはぜひとも当時を見てみたかったものだな」
ティールはとても残念そうな顔をしている。ちなみに息子たちは聞いてはいなかった。
「お前たち、聞いておるのか。お前たちの年齢で、年上を打ち負かしておった人物が目の前におるのだ。お前たちはトパゼリアの王子として、野心というものはないのか」
つーんと興味なさそうにするセージとセラドンである。
「まったく、やれやれだな。すまないな、不愛想な息子たちで」
「反抗期でしょうかね。女王が急に変わったものだから、戸惑っているのかもしれませんよ」
「そうなのか、お前たち」
「……知らない」
ティールが確認すれば、ぷいっと顔を背けてしまう息子たちだった。
そうこうしているうちに、会場が盛り上がりを見せている。どうやら武術大会が始まるようだ。
「まったくしょうがありませんわね。ちょっとお姉様を呼んできますわね」
「ちょっとペシエラ?!」
次の瞬間、ペシエラはその場から一瞬で姿を消していた。瞬間移動魔法である。
現状でこの魔法を使えるのは、ペシエラとその姉であるチェリシアだけだ。あとは神獣や幻獣でもない限り使えないという魔法である。
「な、なんだ今の魔法は」
「えっとですね、一瞬で別の場所へと移動してしまう魔法ですね。チェリシアとペシエラの二人だけが使える特殊な魔法なんですよ」
「むむむむ……。ますます興味が湧いたな、アイヴォリー王国」
なんとも悪い顔をしているティールである。
しばらくすると、ペシエラはチェリシアを連れて貴賓席に戻ってきた。
「お姉様、しばらくの間、女王の相手をお願いしますわ」
「ちょっとペシエラ。どこへ行くつもりよ」
「な~に、ちょっとしたサプライズですわよ」
にししと笑いながら、ロゼリアを誘って姿を消すペシエラである。
まったく一体何をするつもりか想像のついたチェリシアは、諦めてティールの隣に座っていた。
落ち込んだ様子のチェリシアに、ティールはどう反応していいのやら困っていた。
はてさて、ペシエラは一体何をするつもりなのだろうか。
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