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第81話 湖でのんびり
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さて、アマリス様たちが来られて一週間ですか。ずいぶんと経ちましたね。
そんな日のことです。
「レチェ様、今日こそ言わせて頂きます」
イリスが私に面と向って何かを言おうとしてきました。一体何を言うつもりなのでしょうか。
「今日はアマリス王女殿下とルーチェ様と遊んできて下さい」
何を言うかと思えば、私に仕事から離れろというのです。何を言っているのですか、私はこの農園の主ですよ。
ですが、これを言ってくるのはなにもイリスだけではありません。ギルバートやキサラさんまでが私に圧をかけてきます。なんなんですか、一体。
「いやぁ~、アマリス様もルーチェ様も、レチェ様と遊びたがっているようで、時々視線を向けて訴えてきているんですよ。お気づきじゃないんですか?」
「ほへ?」
ギルバートから予想外なことを言われます。そんなことになっていましたか?
ところが、周りを確認しますと、みんな頷いているのです。あれ、これって私だけが気付いていないパターンですか?
「というわけです。まだまだ余裕がありますので、今日はレチェ様はお休み下さい」
「そうですよ。たまにはゆっくりとして下さい」
みんなからの圧力もあって、私は仕方なく今日は仕事から離れることにしました。
ですけれど、アマリス様とルーチェを相手にして、はたして休むことができるのでしょうかね……。
そんなわけでして、今日の私はアマリス様とルーチェとともに湖にやってきました。
ここは公爵領でも静かなスポットですからね。農園をするにあたって水場が近くにあるといいなといったら紹介して頂けた場所です。そのくらいに人は普段は来ることがありません。
そう思うと、食堂を開業するにあたってはネックになるでしょうが、まあそこは開業場所を考えればいいだけです。
近くの街までは歩いても日中の間に往復できるような距離ですからね。それこそ、その街の中に開業するのも手でしょうか。
(社交界の煩わしさから逃れるためでしたからね、そもそもの条件が。人が来ない場所なのは当然です。こうやって考えると、食堂を開く条件としては悪かったですね。今さらですね)
湖までやって来た私は、しきりに反省しっぱなしですよ。
「はいはい、お姉様。今日くらいは仕事から離れて下さいね」
「そうですよ。わたくしたちに対して失礼だと思いませんか?」
頭を悩ませている私の両脇から、アマリス様とルーチェがひょっこりと顔を出します。
「ブフェ!」
ここまで乗ってやって来たスターとラニにまで怒られている気がしますね。
こうなれば仕方ありません。久しぶりにただのレイチェルに戻ってはしゃぐとさせて頂きましょう。
すっぱりと気持ちを切り替えて、私は二人と二羽と一緒にはしゃぐことにします。なんといっても今の私は十四歳の少女なのですからね。
私は湖畔に座って、はしゃぐアマリス様やルーチェたちを見守ります。スターとラニも楽しそうにしています。ちなみに、オスであるスピードとフォレは卵を温めているのでお留守番です。
「お姉様ーっ!」
「お姉様も一緒に遊びましょう」
「はいはい、そうさせて頂きますね」
アマリス様とルーチェが大声で呼ぶものですから、私も仕方なく混ざります。
近くにはアマリス様たちについてこられた護衛もいますから、何かあってもどうにかなるでしょう。
それにしても、ここまでやって来たとしても遊ぶものがありません。よくお二人は毎日ここに来て飽きませんね。
そう思った時でした。
「ブェ」
ラニが私に近付いてきて、背中を示します。
ははーん、これは乗れということですね。
「スター、あなたもルーチェを乗せてあげなさい」
「ブフェ」
私が声をかけると、スターは頷いています。理解しているようですね。
そう、二人が毎日来ていながらに飽きていない理由。それはラッシュバードにあったのです。
ラッシュバードが湖畔の周囲を駆け巡ったり、湖を泳いだりしているんですよ。意外ですね、ラッシュバードは泳ぐのも得意で、かなりスピードが出るんです。
ラッシュバードの泳ぎを体験した私は、すべてを理解しました。
「これは……楽しいですね!」
「ブフェーッ!」
私が顔をにやつかせながら嬉しそうな声を漏らすと、ラニは得意げに鳴いていました。まるでどんなもんだいと見せつけるような感じです。
バシャバシャと湖上の旅を楽しんだ私たちは、実に満足できたのです。
「ラッシュバードに泳ぎができるとは初めて知りましたね。一年間付き合ってきて生態を理解したつもりでいましたが、まだまだだったようです」
「わたくしたちも驚きましたよ。初日に湖にやってきたら、いきなり泳ぎ始めた時はそれは目を丸くしたものです」
アマリス様もそんな証言をしています。
でも、これは眷属化の効果なのか、野生のままでも泳げるのかは分かりませんね。今のヒナたちが大きくなったら試してみたいですね。
その日の私たちは、ラッシュバードたちと精一杯はしゃぎまくりました。
「あはは、疲れましたけど、楽しかったですね」
「ええ。ね、お姉様、飽きませんでしょう?」
「そうですね」
私たちは笑顔で家路につきます。
妹たちとたっぷりスキンシップができましたし、これでまた明日から頑張れそうです。
すっかりリフレッシュができた私は、その日の夜はいつになくぐっすり眠れたのでした。
そんな日のことです。
「レチェ様、今日こそ言わせて頂きます」
イリスが私に面と向って何かを言おうとしてきました。一体何を言うつもりなのでしょうか。
「今日はアマリス王女殿下とルーチェ様と遊んできて下さい」
何を言うかと思えば、私に仕事から離れろというのです。何を言っているのですか、私はこの農園の主ですよ。
ですが、これを言ってくるのはなにもイリスだけではありません。ギルバートやキサラさんまでが私に圧をかけてきます。なんなんですか、一体。
「いやぁ~、アマリス様もルーチェ様も、レチェ様と遊びたがっているようで、時々視線を向けて訴えてきているんですよ。お気づきじゃないんですか?」
「ほへ?」
ギルバートから予想外なことを言われます。そんなことになっていましたか?
ところが、周りを確認しますと、みんな頷いているのです。あれ、これって私だけが気付いていないパターンですか?
「というわけです。まだまだ余裕がありますので、今日はレチェ様はお休み下さい」
「そうですよ。たまにはゆっくりとして下さい」
みんなからの圧力もあって、私は仕方なく今日は仕事から離れることにしました。
ですけれど、アマリス様とルーチェを相手にして、はたして休むことができるのでしょうかね……。
そんなわけでして、今日の私はアマリス様とルーチェとともに湖にやってきました。
ここは公爵領でも静かなスポットですからね。農園をするにあたって水場が近くにあるといいなといったら紹介して頂けた場所です。そのくらいに人は普段は来ることがありません。
そう思うと、食堂を開業するにあたってはネックになるでしょうが、まあそこは開業場所を考えればいいだけです。
近くの街までは歩いても日中の間に往復できるような距離ですからね。それこそ、その街の中に開業するのも手でしょうか。
(社交界の煩わしさから逃れるためでしたからね、そもそもの条件が。人が来ない場所なのは当然です。こうやって考えると、食堂を開く条件としては悪かったですね。今さらですね)
湖までやって来た私は、しきりに反省しっぱなしですよ。
「はいはい、お姉様。今日くらいは仕事から離れて下さいね」
「そうですよ。わたくしたちに対して失礼だと思いませんか?」
頭を悩ませている私の両脇から、アマリス様とルーチェがひょっこりと顔を出します。
「ブフェ!」
ここまで乗ってやって来たスターとラニにまで怒られている気がしますね。
こうなれば仕方ありません。久しぶりにただのレイチェルに戻ってはしゃぐとさせて頂きましょう。
すっぱりと気持ちを切り替えて、私は二人と二羽と一緒にはしゃぐことにします。なんといっても今の私は十四歳の少女なのですからね。
私は湖畔に座って、はしゃぐアマリス様やルーチェたちを見守ります。スターとラニも楽しそうにしています。ちなみに、オスであるスピードとフォレは卵を温めているのでお留守番です。
「お姉様ーっ!」
「お姉様も一緒に遊びましょう」
「はいはい、そうさせて頂きますね」
アマリス様とルーチェが大声で呼ぶものですから、私も仕方なく混ざります。
近くにはアマリス様たちについてこられた護衛もいますから、何かあってもどうにかなるでしょう。
それにしても、ここまでやって来たとしても遊ぶものがありません。よくお二人は毎日ここに来て飽きませんね。
そう思った時でした。
「ブェ」
ラニが私に近付いてきて、背中を示します。
ははーん、これは乗れということですね。
「スター、あなたもルーチェを乗せてあげなさい」
「ブフェ」
私が声をかけると、スターは頷いています。理解しているようですね。
そう、二人が毎日来ていながらに飽きていない理由。それはラッシュバードにあったのです。
ラッシュバードが湖畔の周囲を駆け巡ったり、湖を泳いだりしているんですよ。意外ですね、ラッシュバードは泳ぐのも得意で、かなりスピードが出るんです。
ラッシュバードの泳ぎを体験した私は、すべてを理解しました。
「これは……楽しいですね!」
「ブフェーッ!」
私が顔をにやつかせながら嬉しそうな声を漏らすと、ラニは得意げに鳴いていました。まるでどんなもんだいと見せつけるような感じです。
バシャバシャと湖上の旅を楽しんだ私たちは、実に満足できたのです。
「ラッシュバードに泳ぎができるとは初めて知りましたね。一年間付き合ってきて生態を理解したつもりでいましたが、まだまだだったようです」
「わたくしたちも驚きましたよ。初日に湖にやってきたら、いきなり泳ぎ始めた時はそれは目を丸くしたものです」
アマリス様もそんな証言をしています。
でも、これは眷属化の効果なのか、野生のままでも泳げるのかは分かりませんね。今のヒナたちが大きくなったら試してみたいですね。
その日の私たちは、ラッシュバードたちと精一杯はしゃぎまくりました。
「あはは、疲れましたけど、楽しかったですね」
「ええ。ね、お姉様、飽きませんでしょう?」
「そうですね」
私たちは笑顔で家路につきます。
妹たちとたっぷりスキンシップができましたし、これでまた明日から頑張れそうです。
すっかりリフレッシュができた私は、その日の夜はいつになくぐっすり眠れたのでした。
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