5 / 142
SCENE004 当面のダンジョン運営について
しおりを挟む
ひとまずの危機は去ったものの、バトラーの表情は冴えないようだった。
「ふーむ、参りましたね。このダンジョンを作り変えたところで見てもらう予定でしたが、思ったよりも早く来てしまいましたね。これでは今までの空のダンジョンと同じ扱いです。人が来ることは望めませんな……」
バトラーは状況を冷静に判断しているようだった。
しかし、僕が目覚めたばかりだったわけだし、ろくな説明すら受けていない。状況的に仕方なかったとしか言いようがない。
ひとまずはこれで安心といったところだ。
空のダンジョンであるなら、しばらく人が来ることはないのだから、その間にゆっくりダンジョンを作り変えられる。
「また勝手な侵入者がやって来ることを望むしかありませんな。では、その間に能力の見方をお教えしましょう」
危機が去ったということで、小部屋の中でバトラーからの説明が再開される。今度はステータスの見方らしい。なんだかゲームっぽい感じがしてくるな。
「ダンジョンコアの時と同じように、ご自身の胸に手を当てながら、『ステータス、オープン』と念じて下さい」
言われた通りに僕は胸に手を当て、強く念じる。
それにしても、プリンセスといった割には胸はぺったんこだ。って何を気にしてるんだろうか。集中を乱してはいけないよね。
僕は頭を左右に振ると、改めてステータスを見るために強く念じた。
ブオンという音がして、ダンジョンコアの時と同じようにゲームのステータスウィンドウのようなものが表示された。
「えっと、ラミアプリンセス、レベル1……。レベル1?!」
レベル表記があることもそうだけど、レベル1という表示に僕はものすごく驚いた。
レベル1ってことは最弱じゃないか。ボスなのに最弱ってどういうことなのだろうか。僕はバトラーを見る。
「おほん。プリンセスはモンスターとして目覚めたばかりなのです。レベルが1なのは当然でございましょう。我のように異世界で育ってきた者ならともかく、プリンセスはこちらの世界の人間だったのですからね」
「えええ……」
僕はショックを受けている。
「探索者としての経験でもあれば、また違ったようですがね。プリンセスは探索者としての実績がなかったようでございます」
「そりゃねえ。探索者としてダンジョンに潜れるようになるのは、十六歳からだもん。今の僕は十五歳。経験がある方がおかしいよ」
「なるほどですね……。では、なおさら我がプリンセスをお守りしませんとね」
バトラーが強く誓っているようだった。
「バトラーのステータスを見せてもらってもいいかな?」
「そうでございますね。プリンセスのステータスを覗いておきながら、自分のものを見せないのは従者としてどうかと存じますからね。お見せいたしましょう」
バトラーはそう言うと、自分のステータスを表示させていた。
「レベル71……。すごく高いや」
僕と比べて70も高い。なんというか月とスッポン、天と地ほどの差がある。
「我は長年、主となる者を探しておりました。その間、主を守らねばと努力をして参りましたからね。この程度の強さ、当たり前でございましょう」
バトラーは自慢げではあるものの、とても淡々と語っている。そのせいで、いやみったらしく聞こえない。さすがはバトラー、従者というだけのことはあると思った。
「さて、このダンジョンに人を呼び込む作戦はいかが致しましょうかね」
「そうだなぁ……。どういう手が手っ取り早いだろうかな」
僕たちは考え込む。
ダンジョンに人がやって来ることは、現状は望めないだろう。
そんな中、僕はあるものを思い出していた。
「そうだ。これは使えないかな」
自分の荷物からひょっこり取り出したのは、探索者になったら使おうと思っていた配信用のドローンだった。
「プリンセス、それは?」
「高校生になったら使おうと思っていた、探索者が使う配信用ドローンだよ。モンスターは使えないんだっけか」
「我は初めて見ましたぞ。探索者というのは、そんなものを使っているのですか」
バトラーはとても驚いているようだ。博識なバトラーでも知らないとは、びっくりしちゃったよ。
「探索者たちは自分たちがダンジョンに潜る様子を配信してるんだ。もちろん、モンスターを殺したり、自分が逆に死んだりっていうことはあるけどね。活動記録みたいなものかな」
「なるほど……。それは使えそうですな」
僕の説明を聞いていたバトラーの目が、きらりと光った気がした。
そうかと思うと、バトラーは僕の肩をつかんで勢いよく迫ってくる。
「こうなればプリンセス、着飾らねばなりませんぞ」
「え、ええ?!」
あまりの勢いに、僕は戸惑う姿しか見せられない。
「あなた様は、ラミア族のプリンセスなのです。いうなれば、我ら蛇亜人たちのプリンセス。人前に出るのでしたら、それなりの服装を求められるのです」
「う、うん。確かにそうだね……」
僕は勢いに頷かされる。
ダンジョンポイントはまだ900ポイント残っているから、服装くらいなら買ってもそんなに減らないかな。
僕はバトラーに急かさせれ、ダンジョンコアを呼び出す。ダンジョンコアの操作は僕にしかできないのだけど、バトラーが自分の指示に従って操作してくれと譲らなかった。
「えっと、これを着るの?」
「当然でございます。プリンセスとして、気品あふれる服装でなければなりません。さあ、購入を押して下さい」
結局、勢いに押されてしまい、僕はバトラーが指定した服を購入することになってしまった。
200ポイントと結構高かった。
うーん、これからの僕っていったいどうなっちゃうんだろうかな。
ダンジョンマスター生活は、初日から大変な状態で始まったのだった。
「ふーむ、参りましたね。このダンジョンを作り変えたところで見てもらう予定でしたが、思ったよりも早く来てしまいましたね。これでは今までの空のダンジョンと同じ扱いです。人が来ることは望めませんな……」
バトラーは状況を冷静に判断しているようだった。
しかし、僕が目覚めたばかりだったわけだし、ろくな説明すら受けていない。状況的に仕方なかったとしか言いようがない。
ひとまずはこれで安心といったところだ。
空のダンジョンであるなら、しばらく人が来ることはないのだから、その間にゆっくりダンジョンを作り変えられる。
「また勝手な侵入者がやって来ることを望むしかありませんな。では、その間に能力の見方をお教えしましょう」
危機が去ったということで、小部屋の中でバトラーからの説明が再開される。今度はステータスの見方らしい。なんだかゲームっぽい感じがしてくるな。
「ダンジョンコアの時と同じように、ご自身の胸に手を当てながら、『ステータス、オープン』と念じて下さい」
言われた通りに僕は胸に手を当て、強く念じる。
それにしても、プリンセスといった割には胸はぺったんこだ。って何を気にしてるんだろうか。集中を乱してはいけないよね。
僕は頭を左右に振ると、改めてステータスを見るために強く念じた。
ブオンという音がして、ダンジョンコアの時と同じようにゲームのステータスウィンドウのようなものが表示された。
「えっと、ラミアプリンセス、レベル1……。レベル1?!」
レベル表記があることもそうだけど、レベル1という表示に僕はものすごく驚いた。
レベル1ってことは最弱じゃないか。ボスなのに最弱ってどういうことなのだろうか。僕はバトラーを見る。
「おほん。プリンセスはモンスターとして目覚めたばかりなのです。レベルが1なのは当然でございましょう。我のように異世界で育ってきた者ならともかく、プリンセスはこちらの世界の人間だったのですからね」
「えええ……」
僕はショックを受けている。
「探索者としての経験でもあれば、また違ったようですがね。プリンセスは探索者としての実績がなかったようでございます」
「そりゃねえ。探索者としてダンジョンに潜れるようになるのは、十六歳からだもん。今の僕は十五歳。経験がある方がおかしいよ」
「なるほどですね……。では、なおさら我がプリンセスをお守りしませんとね」
バトラーが強く誓っているようだった。
「バトラーのステータスを見せてもらってもいいかな?」
「そうでございますね。プリンセスのステータスを覗いておきながら、自分のものを見せないのは従者としてどうかと存じますからね。お見せいたしましょう」
バトラーはそう言うと、自分のステータスを表示させていた。
「レベル71……。すごく高いや」
僕と比べて70も高い。なんというか月とスッポン、天と地ほどの差がある。
「我は長年、主となる者を探しておりました。その間、主を守らねばと努力をして参りましたからね。この程度の強さ、当たり前でございましょう」
バトラーは自慢げではあるものの、とても淡々と語っている。そのせいで、いやみったらしく聞こえない。さすがはバトラー、従者というだけのことはあると思った。
「さて、このダンジョンに人を呼び込む作戦はいかが致しましょうかね」
「そうだなぁ……。どういう手が手っ取り早いだろうかな」
僕たちは考え込む。
ダンジョンに人がやって来ることは、現状は望めないだろう。
そんな中、僕はあるものを思い出していた。
「そうだ。これは使えないかな」
自分の荷物からひょっこり取り出したのは、探索者になったら使おうと思っていた配信用のドローンだった。
「プリンセス、それは?」
「高校生になったら使おうと思っていた、探索者が使う配信用ドローンだよ。モンスターは使えないんだっけか」
「我は初めて見ましたぞ。探索者というのは、そんなものを使っているのですか」
バトラーはとても驚いているようだ。博識なバトラーでも知らないとは、びっくりしちゃったよ。
「探索者たちは自分たちがダンジョンに潜る様子を配信してるんだ。もちろん、モンスターを殺したり、自分が逆に死んだりっていうことはあるけどね。活動記録みたいなものかな」
「なるほど……。それは使えそうですな」
僕の説明を聞いていたバトラーの目が、きらりと光った気がした。
そうかと思うと、バトラーは僕の肩をつかんで勢いよく迫ってくる。
「こうなればプリンセス、着飾らねばなりませんぞ」
「え、ええ?!」
あまりの勢いに、僕は戸惑う姿しか見せられない。
「あなた様は、ラミア族のプリンセスなのです。いうなれば、我ら蛇亜人たちのプリンセス。人前に出るのでしたら、それなりの服装を求められるのです」
「う、うん。確かにそうだね……」
僕は勢いに頷かされる。
ダンジョンポイントはまだ900ポイント残っているから、服装くらいなら買ってもそんなに減らないかな。
僕はバトラーに急かさせれ、ダンジョンコアを呼び出す。ダンジョンコアの操作は僕にしかできないのだけど、バトラーが自分の指示に従って操作してくれと譲らなかった。
「えっと、これを着るの?」
「当然でございます。プリンセスとして、気品あふれる服装でなければなりません。さあ、購入を押して下さい」
結局、勢いに押されてしまい、僕はバトラーが指定した服を購入することになってしまった。
200ポイントと結構高かった。
うーん、これからの僕っていったいどうなっちゃうんだろうかな。
ダンジョンマスター生活は、初日から大変な状態で始まったのだった。
1
あなたにおすすめの小説
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
【完結】身代わりとなります
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
レイチェルは素行不良の令嬢として悪名を轟かせている。しかし、それはレイチェルが無知ゆえにいつも失態をしていたためで本人には悪意はなかった。
レイチェルは家族に顧みられず誰からも貴族のルールを教えてもらわずに育ったのだ。
そんなレイチェルに婚約者ができた。
侯爵令息のダニエルだ。
彼は誠実でレイチェルの置かれている状況を知り、マナー講師を招いたり、ドレスを作ってくれたりした。
はじめは貴族然としている婚約者に反発していたレイチェルだったがいつのまにか彼の優しさに惹かれるようになった。
彼のレイチェルへの想いが同情であっても。
彼がレイチェルではない人を愛していても。
そんな時、彼の想い人である隣国の伯爵令嬢フィオラの国で革命が起き、彼女は隣国の貴族として処刑されることが決まった。
そして、さまざまな思惑が交錯する中、レイチェルは一つの決断を下し・・・
*過去と未来が行ったり来たりしながら進行する書き方にチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんがご了承ください。
緑の指を持つ娘
Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。
ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・
俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。
第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。
ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。
疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる