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第56話 目を覚ましたベニー
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「う……ん」
ベニーは目を覚ます。
「ここは?」
目を覚ましたのはいいものの、まだ意識がもうろうとしているのか周りがはっきり見えない。
体を起こそうにもうまく力が入らないので、マーテルの力を押し返した時の影響はまだ強く残っているようだ。
「ぴぃ、ぴぃ!」
「プルン……?」
ベニーの耳にプルンの鳴き声が聞こえてくる。
「そっかあ、プルン、無事だったんだね」
朦朧とする中、ベニーはにこりと笑っている。
なにせプルンは導の灯の中にその身を投げたのだ。あれだけまぶしい魔力の塊に身を投じたのだから、到底無事だとは思えない。
だからこそ、プルンの無事を確認すると、ベニーは笑みをこぼしたのだった。
「それにしても、体に力が入らないわ……」
ベニーは横たわったまま、まったく動けずにいる。
「夢の中でお爺ちゃんと会ったけど、このままじゃ書いてくれた手紙を見ることもできなさそうだわ……。しばらく休んでいれば、動けるようになるかな」
体勢を変えることすらもできないので、ベニーはなんともやりきれない気持ちになっている。
「ぴぃ~……」
あまりにもつらそうなベニーの姿に、プルンも心配そうに鳴いている。
そうかと思うと、もぞもぞと動いてベニーの頬にその体を擦りつけている。
「ぴぃ、ぴぃ」
「うん、ありがとうプルン。もう少し休めば大丈夫だと思うから、今はこのままでいさせてちょうだい」
「ぴぃ」
プルンの優しさに、ベニーはこの上ない笑顔を浮かべていた。これにはプルンも喜んで、体を大きく動かしていた。
だけど、ベニーはまだまだ動けなさそうだ。
「うん、まだ動けそうにないわ。プルン、もうひと眠りするから、ずっとそばにいてね」
「ぴぃ」
ベニーはプルンに見守られながら、すっと目を閉じて眠ったのだった。
翌朝、ベニーは無事に目を覚ます。
「あ、私、寝ちゃってたんだ……」
眠い目を擦り、辺りを見回している。
さすがにひと晩眠ったおかげか、すっかりベニーは回復しているようだった。
無事に体を起こしたベニーは外の様子を確認している。
壁に開いた穴からは、外が白み始めている様子が見て取れる。
「そろそろ朝か……。それじゃ、朝のチェックから……、あっ」
上半身は起こせたものの、立ち上がろうとすると体が崩れてしまう。足に力が入らないようで、どうやらまだ完全には回復していないようだ。
「ぴぃ!」
ずっとベニー付き添っていたプルンが心配そうに膝の上に飛び乗ってくる。
「プルン、大丈夫だから。きっともう少し休めば歩けるようになるわ。だから、そんなに心配しないで」
「ぴぃ、ぴぃ」
なだめようとするものの、プルンはやはり心配のようで、ベニーの太ももの上を行ったり来たりしている。
プルンの必死な姿を見て、ベニーはだんだんと心が落ち着いてくる。
「ありがとう、プルン。……とりあえず今はこんな状態だけど、灯のチェックをしましょうか」
立ち上がれないながらも、同じ階層にいるのであれば何も問題はない。
腕の力を使いながら、ベニーは導の灯に近付いていく。
昨日のことがあったので何かと心配になったベニーだったが、そっと手を触れてみて大丈夫そうだということを確認していた。
「よかった……。私、導の灯を守れたのね。お爺ちゃんから、ご先祖様たちから受け継いだこの灯を守れたんだ……」
柔らかな光に触れて、ベニーの頬を光るものが伝っていく。
「あれ……? 涙がかってにあふれてきちゃうよ……」
気が付くと、ベニーの視界が完全にぼやけていた。そのくらいにベニーの瞳からは涙があふれているのである。
「ダメだよ、まだやることがあるのに。ここで安心しきっちゃダメだよ」
ベニーはまだやらなきゃいけないことを思い出して、どうにか涙を止めようとする。
だけど、まったく止まる気配がない。
しばらくの間、ベニーはその場で泣き続けたのだった。
「ぐすっ、ぐすっ……」
外もかなり明るくなってきた頃、ようやくベニーは泣き止んだようだ。
泣き止むと同時に気持ちも落ち着いてきたため、ベニーは改めて導の灯に向かう。いつもの朝のチェックを行うためだ。
結果、導の灯には何ら異常はなかった。
「ぐすっ、どうか今日も一日、その光でみんなをお守り下さい」
まだ少々ぐずってはいるものの、どうにか落ち着いたベニーはいつもの祈りを捧げたのだった。
「ぴぃ」
「ありがとう、プルン。おいで」
「ぴぃ!」
ベニーが手を差し出すと、プルンはぴょんと飛び乗って、いつもの場所に落ち着く。
プルンが左肩で落ち着くと、ベニーは思わずくすりと笑みをこぼしていた。
「あれ?」
朝の祈りも終わったことで、ベニーは台所に移動しようとして体を動かすと、なんと平然と立ち上がれてしまったのだ。
さっきまで力が入らなくてへたり込んでいたというのに、思わずベニーは首を傾げてしまう。
「まあいっか。考えたって仕方ないわ。立って歩けるならその方がいいもの」
ベニーは深く考えることをやめた。
ゆっくりではあるものの階段を降りていくベニー。その後ろ姿を導の灯が明るく照らしている。
ひとまず、ベニーの日常が無事に戻ってきたのだった。
ベニーは目を覚ます。
「ここは?」
目を覚ましたのはいいものの、まだ意識がもうろうとしているのか周りがはっきり見えない。
体を起こそうにもうまく力が入らないので、マーテルの力を押し返した時の影響はまだ強く残っているようだ。
「ぴぃ、ぴぃ!」
「プルン……?」
ベニーの耳にプルンの鳴き声が聞こえてくる。
「そっかあ、プルン、無事だったんだね」
朦朧とする中、ベニーはにこりと笑っている。
なにせプルンは導の灯の中にその身を投げたのだ。あれだけまぶしい魔力の塊に身を投じたのだから、到底無事だとは思えない。
だからこそ、プルンの無事を確認すると、ベニーは笑みをこぼしたのだった。
「それにしても、体に力が入らないわ……」
ベニーは横たわったまま、まったく動けずにいる。
「夢の中でお爺ちゃんと会ったけど、このままじゃ書いてくれた手紙を見ることもできなさそうだわ……。しばらく休んでいれば、動けるようになるかな」
体勢を変えることすらもできないので、ベニーはなんともやりきれない気持ちになっている。
「ぴぃ~……」
あまりにもつらそうなベニーの姿に、プルンも心配そうに鳴いている。
そうかと思うと、もぞもぞと動いてベニーの頬にその体を擦りつけている。
「ぴぃ、ぴぃ」
「うん、ありがとうプルン。もう少し休めば大丈夫だと思うから、今はこのままでいさせてちょうだい」
「ぴぃ」
プルンの優しさに、ベニーはこの上ない笑顔を浮かべていた。これにはプルンも喜んで、体を大きく動かしていた。
だけど、ベニーはまだまだ動けなさそうだ。
「うん、まだ動けそうにないわ。プルン、もうひと眠りするから、ずっとそばにいてね」
「ぴぃ」
ベニーはプルンに見守られながら、すっと目を閉じて眠ったのだった。
翌朝、ベニーは無事に目を覚ます。
「あ、私、寝ちゃってたんだ……」
眠い目を擦り、辺りを見回している。
さすがにひと晩眠ったおかげか、すっかりベニーは回復しているようだった。
無事に体を起こしたベニーは外の様子を確認している。
壁に開いた穴からは、外が白み始めている様子が見て取れる。
「そろそろ朝か……。それじゃ、朝のチェックから……、あっ」
上半身は起こせたものの、立ち上がろうとすると体が崩れてしまう。足に力が入らないようで、どうやらまだ完全には回復していないようだ。
「ぴぃ!」
ずっとベニー付き添っていたプルンが心配そうに膝の上に飛び乗ってくる。
「プルン、大丈夫だから。きっともう少し休めば歩けるようになるわ。だから、そんなに心配しないで」
「ぴぃ、ぴぃ」
なだめようとするものの、プルンはやはり心配のようで、ベニーの太ももの上を行ったり来たりしている。
プルンの必死な姿を見て、ベニーはだんだんと心が落ち着いてくる。
「ありがとう、プルン。……とりあえず今はこんな状態だけど、灯のチェックをしましょうか」
立ち上がれないながらも、同じ階層にいるのであれば何も問題はない。
腕の力を使いながら、ベニーは導の灯に近付いていく。
昨日のことがあったので何かと心配になったベニーだったが、そっと手を触れてみて大丈夫そうだということを確認していた。
「よかった……。私、導の灯を守れたのね。お爺ちゃんから、ご先祖様たちから受け継いだこの灯を守れたんだ……」
柔らかな光に触れて、ベニーの頬を光るものが伝っていく。
「あれ……? 涙がかってにあふれてきちゃうよ……」
気が付くと、ベニーの視界が完全にぼやけていた。そのくらいにベニーの瞳からは涙があふれているのである。
「ダメだよ、まだやることがあるのに。ここで安心しきっちゃダメだよ」
ベニーはまだやらなきゃいけないことを思い出して、どうにか涙を止めようとする。
だけど、まったく止まる気配がない。
しばらくの間、ベニーはその場で泣き続けたのだった。
「ぐすっ、ぐすっ……」
外もかなり明るくなってきた頃、ようやくベニーは泣き止んだようだ。
泣き止むと同時に気持ちも落ち着いてきたため、ベニーは改めて導の灯に向かう。いつもの朝のチェックを行うためだ。
結果、導の灯には何ら異常はなかった。
「ぐすっ、どうか今日も一日、その光でみんなをお守り下さい」
まだ少々ぐずってはいるものの、どうにか落ち着いたベニーはいつもの祈りを捧げたのだった。
「ぴぃ」
「ありがとう、プルン。おいで」
「ぴぃ!」
ベニーが手を差し出すと、プルンはぴょんと飛び乗って、いつもの場所に落ち着く。
プルンが左肩で落ち着くと、ベニーは思わずくすりと笑みをこぼしていた。
「あれ?」
朝の祈りも終わったことで、ベニーは台所に移動しようとして体を動かすと、なんと平然と立ち上がれてしまったのだ。
さっきまで力が入らなくてへたり込んでいたというのに、思わずベニーは首を傾げてしまう。
「まあいっか。考えたって仕方ないわ。立って歩けるならその方がいいもの」
ベニーは深く考えることをやめた。
ゆっくりではあるものの階段を降りていくベニー。その後ろ姿を導の灯が明るく照らしている。
ひとまず、ベニーの日常が無事に戻ってきたのだった。
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