彼は今日も私に嘘をつく

ヒカリと影

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神様は、私を見捨てた?

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「愛梨ー、屋上にいて熱出したなんていったい何してたのよー」
「いやー、ちょっとね」
「そうなの…?まぁ、食べたいものあるなら言ってね、仕事終わったら買ってきてあげるから」
え、今じゃなくて仕事終わってからなの?
「ありがとう」
私は心の中でつっこみながらお礼を言った。
「じゃあ仕事行ってくるね」
「行ってらっしゃい、私もしんどいから寝るわ」
「無理しちゃダメだからね!」
「はーい」
今のはお母さん。お父さんはいるんだけど、単身赴任で三重にいるから、なかなか会えないんだ。だってここ神奈川だし。
ピーンポーン
「ん…あ?寝てたのか…てか誰だろう」
私はフラフラした足取りで玄関まで向かった。
「愛梨ー!!お見舞いに来ました!」
夏波だったのか…、こんなうるさい子だったかな?
「はいはい、今開けますよ…っちょっと苦しい、熱移っちゃうよ!」
「良いの!良いんだよ愛梨!…それから、ふうちゃんに聞いたこと、愛梨の口から話してほしいな」
ふうちゃんの奴…言ったの!?
まぁ私と夏波が親友だってこと、知ってるもんね。
「わかった、じゃあ部屋に来て」
「うん」

「愛梨の言いたいタイミングでいいよ、私待ってるから」 
「ありがとう…」

私は、夏波にあったこと全部言った。そして、
「もう、好きって気持ち、無くなったの。屋上に置いてきたの。もう、嫌なの…これってダメなことなのかな?神様は、私を見捨てるの?智也の言葉にかけた私への天罰?」
「そんなことない!私も、嫌いになるよ、そんなことあったら。神様は、愛梨を見捨てたりしない。天罰も無い。愛梨は人一倍頑張ってきたの。今回のことは全部愛梨は悪くない!悪いのは全部あいつなの!だから!…だから、自分を責めないで、それから私に頼って。こんなこと、私以外に言える人、いないでしょ?」
そう言って、夏波は微笑んだ。
涙がひとつ、零れ落ちた。
「夏波…ありがとっ…本当にあり…がとっ」
「もう愛梨ったら、泣かないの!今日は私泊まるから、良いよね?それで私がずっと傍にいる。もちろん看病も兼ねて!」
「夏波の強引さ…変わってないね」
夏波の発言に涙も止まったよ。夏波、ありがとう。

ピーンポーン
「ん?誰だこんな時間に…夏波、ちょっと行ってくるね」
「あんたそんな身体で大丈夫?私が行こうか?」
「いいのいいの!」

玄関まで来た。
「どちら様ですか?」
「開けてほしい。」
私、やっぱり神様に見捨てられた?
夏波に行ってもらったほうが良かった…?
「…なんで、貴方がここにいるの…?」
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