異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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プシュッ
「んんーー!お風呂上がりにはビールよね~」

キンキンに冷えたビールを飲みながら、椿(つばき)はソファーへと足を運ぶ。
今日は残業も無く、定時に上がれたので大好きなお風呂に入りながらふくらはぎを揉み解し疲れを取る。

今の時期は夏。世間では猛暑と言われているが、私には関係ない。だって、日中はエアコンが効いている室内でパソコンをカチカチと打ち込むのが仕事。
そう、私の仕事はデスクワークをしながら上司にお茶を出したり書類をコピーしたり。いわゆるOLってやつ。

ピッとテレビを付けながら、ビールのお供  枝豆くんを口に入れながらゴクゴクとビールを飲む。
「くぅーーーうまい!!はぁ~この時間が至福よね~~」
バスタオルを体に巻きながら、ソファーに深く座る。タオルの中にはパンツしか履いていないが気にしない。
だって、ここには私しか居ない。誰も見る人なんていないもんだから いつもタオルを巻いたまま寝てしまうのだ。
もうすぐ三十路。彼氏はいたけど、浮気現場を目撃して別れた。あんなクズ人間、こっちから願い下げよ。
っと、いけないいけない。
せっかくのビール、美味しく飲まなきゃ!あんな人間なんて忘れましょ!!ぐびぐび



今日もいつもの様に、1人晩酌をしていると携帯から聞き覚えの無い音が鳴り響いた。
ビックリしながらも携帯を見ると長ったらしい文章が目に入る。

「緊急警報。強い揺れに注意して下さい。」
その文字が目に入ると同時にドンッ!!!っと物凄い音がした。
すぐ後に視界がグニャリと曲がる。
体が揺れている、違う 部屋が揺れているんだ。と感じるのにそう時間はかからなかった。飲み過ぎて、頭の整理がつかないが地震だと気付いた時には立っていられなくなり その場にしゃがみ込んでしまった。
(怖い怖い!!早くおさまって!!!)
ぎゅうっと目をつぶりながら、テーブルの足を必死に掴み祈る様に何度も願う。






ようやく地震が収まった時には、部屋は暗く 停電したと思われる。
ブレーカーをあげなきゃと震える足を引きずりながら玄関へと向かうも、真っ暗な中を歩くのは怖い。
意を決して、一歩一歩ゆっくり足を前にと進む。




◇◇◇◇◇





(おかしいーーーこんなに歩いても玄関につかない?)
しばらく歩いたと感じるが、一向に辿り着けない。むしろ、壁も見当たらないのだ。手探りで進んでいるのにドアも見つからない。

(なんで?夢でも見てるのかな?ーーそんなに飲んだかな?)
立ち止まり、もしかしたら夢かもしれないっと自分の顔を叩くがジンジンと痛みがある為、現実だと理解する。
途方に暮れているとリィンーーーどこかで鈴の音が聞こえた。
バッと顔を上げたら目の前にドアがあったのだ。不思議に思いながらもそっと手をかけ、ガチャリとゆっくり開ける。
目に飛び込んで来たのは、白い部屋だった。

「・・・」
(やっぱり夢を見てるのね、夢でもいい!暗闇から出たい!)
そう決意し、部屋の中へと入る。すると、ドアはシュルシュル~と消えてしまった。

「あれ!?ドアが無くなった?」
ドアが無くなった事に気付き、くるくるとあたりを探すが見当たらない。
そんな椿の様子をクスクスっと笑う者がいた。

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